2019年11月8日金曜日

11/16おとがたり『太宰治/人間失格』公演@成城・第Q藝術

おとがたり:長浜奈津子(朗読)喜多直毅(ヴァイオリン)
おとがたり:長浜奈津子(朗読)喜多直毅(ヴァイオリン)

11/16は俳優座女優の長浜奈津子さんと太宰治『人間失格』の朗読会を行います。
会場は成城学園の第Q藝術。

今年4月に奈津子さんと石川啄木の『一握の砂』と『ローマ字日記』を題材にした朗読会を行いました。
かなり尖った作品となり個人的に大満足。
奈津子さんも本番では何かが取り憑いたかの如きパフォーマンスで、予想を遥かに超える凄いものが誕生したと思っています。
この世界観でもっと作品作りがしたいと思いました。
しかし今回の『人間失格』、稽古を重ねるほどに啄木の世界観と地続きとは行かないと思い知らされています。

啄木の言葉にも、太宰の言葉にもあるノイズを感じる。
擦過音的なサウンド。
しかしその温度や湿度や重量や速度は全く違い、啄木のが刺し貫く痛みとすれば太宰のは鈍痛です。
音楽でもそう言う“痛み”を出せたらと思っています。

さてさて長いのですが、小説から好きな箇所を引用します。
主人公・葉蔵が中学校のクラスメイトの竹一を自宅に呼んで画集を見せた時の話です。
葉蔵は絵が好きで自分でも描いていました。
竹一は“ちょっと頭の弱い子”とされており、葉蔵は半分彼を馬鹿にしていました。
ところが葉蔵は、周りの気を引くためにわざと道化を演じているのを竹一に見抜かれてしまいます。
それからと言うもの、わざと竹一に親切にしたり家に呼んだりしておもねるのです。

いつか竹一が、自分の二階へ遊びに来た時、ご持参の、一枚の原色版の口絵を得意そうに自分に見せて、そう説明しました。
それは、ゴッホの例の自画像に過ぎないのを知っていました。タッチの面白さ、色彩の鮮やかさに興趣を覚えてはいたのですが、しかし、お化けの絵、だとは、いちども考えた事が無かったのでした。
「では、こんなのは、どうかしら。やっぱり、お化けかしら」
自分は本棚から、モジリアニの画集を出し、焼けた赤銅のような肌の、れいの裸婦の像を竹一に見せました。

竹一は眼を丸くして感嘆しました。
「地獄の馬みたい」
「やっぱり、お化けかね」
「おれも、こんなお化けの絵がかきたいよ」
 あまりに人間を恐怖している人たちは、かえって、もっともっと、おそろしい妖怪を確実にこの眼で見たいと願望するに到る心理、神経質な、ものにおびえ易い人ほど、暴風雨の更に強からん事を祈る心理、ああ、この一群の画家たちは、人間という化け物に傷めつけられ、おびやかされた揚句の果、ついに幻影を信じ、白昼の自然の中に、ありありと妖怪を見たのだ、しかも彼等は、それを道化などでごまかさず、見えたままの表現に努力したのだ、竹一の言うように、敢然と「お化けの絵」をかいてしまったのだ、ここに将来の自分の、仲間がいる、と自分は、涙が出たほどに興奮し、「僕も画くよ。お化けの絵を画くよ。地獄の馬を、画くよ」と、なぜだか、ひどく声をひそめて、竹一に言ったのでした。

自分は、小学校の頃から、絵はかくのも、見るのも好きでした。
けれども自分は、竹一の言葉に依って、自分のそれまでの絵画に対する心構えが、まるで間違っていた事に気が附きました。美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。マイスターたちは、何でも無いものを、主観に依って美しく創造し、或いは醜いものに嘔吐をもよおしながらも、それに対する興味を隠さず、表現のよろこびにひたっている、つまり、人の思惑に少しもたよっていないらしいという、画法のプリミチヴな虎の巻を、竹一から、さずけられて、少しずつ、自画像の制作に取りかかってみました。
 自分でも、ぎょっとしたほど、陰惨な絵が出来上りました。しかし、これこそ胸底にひた隠しに隠している自分の正体なのだ、おもては陽気に笑い、また人を笑わせているけれども、実は、こんな陰鬱な心を自分は持っているのだ、仕方が無い、とひそかに肯定し、けれどもその絵は、竹一以外の人には、さすがに誰にも見せませんでした。


もしかしたらお化けは醜悪でも何でもない。
お化けはお化けであり、本人にとって美醜は本質ではない。
多分、見る人が感じるだけのこと。
ただお化けを強烈に激しく感じることによって、人間は尋常ならざる生を得るのだと思います。
音楽も一緒。

引用の通り、葉蔵は子供の頃、素晴らしいお化けの絵を描いたのですが成人してからは描かなくなってしまいました。
お化けの代わりに漫画や春画の写しを描いていたのです、アルコールに溺れながら。
しかし彼は落ちぶれの身でありながら、ことあるごとに周囲の人に『あのお化けの絵を見せてやりたい』と言う欲求にかられる。
そうすれば自分を理解させられると信じているのです。
或いは『もう一度生きられる!』と思ったのかも知れません。
でも見せられる絵はない。

それではダメなのです。
今のお化けを描かないと。
そして描き続けないと。
お化けの絵を描かずに何年も過ごし、葉蔵はついに破滅してしまうのでした。

この小説も太宰にとってはお化けの絵だったのだと思います。

今回の朗読会では上に紹介した場面も登場します。
長浜奈津子さんと一緒に作り出す朗読とヴァイオリンの世界。
あなたもあなたの中のお化けを見に来ませんか…?
お待ちしております!

【太宰治『人間失格』~道化と狂気のモノロギスト~】

『自分は、しばらくしゃがんで、それから、よごれていない個所の雪を両手で掬い取って、顔を洗いながら泣きました。』

真実と虚実の谷間を彷徨う男一人。
虚ろな目に映るのは、過ぎ去っていく一切…。

東北の田舎の裕福な家庭に生まれ育った葉蔵。厳格な父の存在と使用人による性的虐待が、彼の心に初源的な無力感と対人恐怖を植え付ける。彼にとって人間環境は過酷であり、そこを生き抜く術として葉蔵は人々の気持ちを先読みし、道化を演じる事により『気に入られる』ように務める。それは彼の恐れと弱さを覆い隠し、人々の好意を得るためには十分であったが、人を欺き続ける罪悪感も同時に強く抱えることになる。成人した後も人間恐怖は心の中で肥大し続け、激しく彼を苛むものとなった。他者に対する恐れ、不信感、諦めは、葉蔵を優しく庇う女性達に対しても抱かれた。やがて全てに絶望した葉蔵は死を希求する。このような精神状態が続く中、アルコールと薬物への依存は悪化し、遂に彼の人格は荒廃した。しかし発狂の後、彼の心にやっと初めての凪が訪れる。
物語が進むにつれ、葉蔵が徐々にモラルから逸脱し人として堕落していくのは明らかだが、一つ一つのエピソードに於ける彼の行動は、人間の恐怖から自分を守ること、“阿鼻叫喚”の世界で何とか生き延びることが動機となっている。全ては生きるため。
本公演は問いに満ちている。葉蔵は過ちを犯したのではなく、ただ悲劇の中に投げ込まれ道化の仮面をかぶることでしか生きられなかったのではないだろうか?彼は本当に人間として失格だったのか?そして私達は果たして『人間合格』なのであろうか?

出演:おとがたり
   長浜奈津子(朗読)
   喜多直毅(ヴァイオリン)

日時:2019年11月16日(土)14:30開場/15:00開演
会場:アトリエ第Q藝術1Fホール(成城学園)
   東京都世田谷区成城2-38-16
   03-6874-7739

料金:予約¥3,500/当日¥4,000
ご予約・お問い合わせ:
   nappy_malena@yahoo.co.jp(長浜)violin@nkita.net(喜多)
※メールタイトルは「おとがたり予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

【プロフィール】
おとがたり
女優・長浜奈津子とヴァイオリン奏者・喜多直毅は2013年に朗読と音楽によるコラボレーションで初共演。同年、長浜による一人芝居でも共演。(なつきの会公演「 ある晴れた夏の日 ‐エルフとホビット‐ 」辰澤敦史氏書下ろし作品@六本木ストライプハウススペース)その後、文芸作品の朗読にフォーカスし、首都圏を中心に意欲的に活動を行なっている。これまで市川文学ミュージアム『永井荷風展 ~荷風の見つめた女性たち~』や船橋市の文化事業、都内ライブハウス等で公演を行なっている。
物語の持つファンタジーを声や楽器の音を通して空間にありありと描き出すために、即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行するパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている。

長浜奈津子
桐朋学園演劇科卒業後、劇団俳優座へ。女優・歌手・朗読家として活動。ひとり語り『朗読空間』(於:六本木ストライプハウス)では永井荷風、坂口安吾、泉鏡花、小泉八雲他、文学作品を語る。市川市文学ミュージアム『荷風忌』では三味線語り、ヴァイオリニスト喜多直毅氏との朗読ユニット"おとがたり"では『濹東綺譚〜大江匡とお雪』上演。続いて2019年4月石川啄木作品を構成した作品「啄木といふ奴」へ出演。演劇では同年6月ロシア・ルーマニア海外公演『クスコ〜愛の叛乱』歌手とモナ役、9〜10月俳優座劇場プロデュース公演、音楽劇『人形の家』乳母ヘレーネ役で出演。

喜多直毅
国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。他に黒田京子、齋藤徹との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・現代舞踏家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行う。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。

2019年11月2日土曜日

喜多直毅・田中信正・西嶋徹トリオの次回ライヴは12月22日(日)です。

喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス) 2019年10月30日@公園通りクラシックス
喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス)
2019年10月30日@公園通りクラシックス

田中信正さん(ピアノ)、西嶋徹さん(コントラバス)とのライヴ、楽しかったです!!!
もともと喜多+田中さん、喜多+西嶋さんという二つのデュオがあって、それぞれアルバムも作っていました。
この二つを統合してトリオとして演奏してみたいと思い、この活動を始めました。
三人の相性もなかなか良く、これまでの二回のライヴを通して手応えを感じました。
それと同時に「もっと行ける!!!」とも思っています。

今は印象として暗い曲が多く、それはそれで僕の好きな世界なのですが、瞬発力に優れた田中さんと西嶋さんとのアンサンブルですので何かそう言う曲もやっていけたらと思っています。
今回はブラジルの曲を二曲演奏しましたが本当に楽しかった。
三人の間で音楽が生まれ、発展を遂げて、そして惜しまれながら終わる…という過程にどっぷりと浸かることが出来ました。

ゆくゆくはオリジナルのみで構成したプログラムでライヴを行いたい。
喜多クアルテットとはまた別の世界が誕生するかも知れません。
もしかしたら似通った音楽かも知れませんが、この素晴らしい演奏家二人との共演はそれ自体が喜びであり、何ものにも勝るものです。
他でやっている音楽と地続きであろうがなかろうが、演奏そのものを楽しむことが出来ればそれが会場に溢れるのではないでしょうか?

このトリオの演奏、次回は12/22(日)に予定されています。
会場は雑司ヶ谷エルチョクロ。
なんとクリスマスライヴです!!!

これまで二年間連続して田中さんとエルチョクロでのクリスマスライヴをして来ましたが、今年は西嶋さんにも参加して頂き更に華やかにお届けしたいと思います。

第一部はいつものレパートリーから演奏します。
第二部はクリスマスにちなんだ曲をお届けします。
お客さんに歌って頂くコーナーもあり。
絶対に思い出に残るライヴになるに違いありません。
年末の忙しい時期かと思いますが、ぜひお誘い合わせの上お越しください!

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   田中信正(ピアノ)
   西嶋徹(コントラバス)
第一部:暗く深い音楽選
第二部:クリスマスにちなんだ曲

日時:2019年12月22日(日)14:00開場 15:00開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:ご予約¥4,000 当日¥4,500 学生¥2,000
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)

キャンドルの灯揺れる会場で共に聖夜を祝いましょう。
皆さんのお越しをお待ちしています!!!

2019年10月22日火曜日

喜多直毅クアルテット福岡公演を最後に西日本ツアーは終了しました(寂しい)。

2019年10月15日 喜多直毅クアルテット福岡公演@西南学院大学ホール
2019年10月15日
喜多直毅クアルテット福岡公演@西南学院大学ホール
終演後、メンバーとスタッフの皆さんで記念撮影。

10/10からスタートし10/15まで西日本5カ所を回った喜多直毅クアルテットツアー。
最終日の福岡の後、東京に戻ってから他のライヴが続きいつの間にか一週間たってしまいました。
しかし今なお、このツアーの演奏の楽しかったことや主催者の方々・お越しくださった方々への感謝の気持ちで胸がいっぱいです。

最終日の福岡の会場は西南学院大学のホール。
丁度一年ぶりの福岡での演奏でしたが、昨年に引き続きお越しいただいた方もいらして大感謝です。
初めての方にはどんなふうに聴こえたのか興味津々ですが、アンケートのフィードバックによると映画のようにドラマティックに感じてくださった方が多かったです。

クアルテットでは東京以外の公演は珍しく、なかなか生演奏を聴いて頂くチャンスがありません。
CDは二枚出していますが、それだって一度生の演奏を聴いてからお買い求めになる方が大半だと思います。
ですから我々にとって色々な会場で聴いて頂くことは本当に重要なことなのです。

アンケートが全てを語っているわけではないと思いますが、しかし読ませて頂く限り、我々の演奏は確かに届き、聴いてくださった方の胸に何かを刻むことが出来たのではないかと思っています。
広島で被爆した方はご自身の人生を音楽に重ねて下さいました。
あるクリスチャンの女性は、懊悩する人間に対して『それでいいのか?どうするのか?』と問い迫る声になぞらえて下さいました。

僕自身、音楽と演奏の喜びや楽しさを感じつつ、一方で悩みながら、袋小路でもがきながら続けて来たクアルテット。
この音楽が聴く人の奥深くまで響いたことが嬉しくてならず、更に励みを与えられました。
新鮮な気持ちで東京での音楽作りが出来そうです。

変な言い方ですが、日本は広かった。
いつも東京でしか演奏していないクアルテットの音楽。
しかし全国にはまだ我々の演奏も音楽も知らない人々がいるのです。
『こんな音楽が今の日本にあってくれて嬉しい』(アンケートより)。
まだまだ行くべき町があるようです!

だいぶ前になりますが、亡くなったコントラバス奏者の齋藤徹さんがクアルテットのライヴを聴いて大変喜び、ご自身のブログに感想と応援の文章を書いてくださったことがあります。
おろかにもその記事を保存しておきませんでした。
当時、こんなに早く亡くなるなんて思いもしませんでしたので…。
ブログ自体はまだ残されていますが、該当記事は膨大なエントリーの中にあってまだ見つけられずにいます。
あの記事をもう一度読みたいと思っています。
お客様から頂いた感想と共にこれからの活動の励みになるでしょう。
そして事あるごとに読み返し、初心を思い出せるに違いありません。

さて西日本ツアーを終えて、クアルテットのライヴは今年あと一回となりました。
場所は神奈川県相模原市。
お寺での演奏です。
寒いかも知れませんので、十分防寒対策をしてお出かけください!!!

2019年11月9日(土) 喜多直毅クアルテット@相模原臨済宗常福寺 喜多直毅(ヴァイオリン・作曲)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)
2019年11月9日(土)
喜多直毅クアルテット@相模原臨済宗常福寺
喜多直毅(ヴァイオリン・作曲)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

日時:2019年11月9日(土)17:30開場 18:00開演
   神奈川県相模原市南区新戸2516
   Tel:046-251-5530 Fax:046-255-3372
アクセス:
◉小田急線「相武台前駅」下車、磯部行バス「常福寺」下車徒歩1分。原当麻駅行バス「武井橋」下車徒歩5分。
◉JR相模原「相武台下駅」下車徒歩12分。磯部行バス「常福寺」下車徒歩1分。

料金:¥3,000(前売り当日共)※要予約+終演後(希望者)会食¥1,000
◉お問い合わせ・予約申し込み
Tel:046-251-5530
Fax:046-255-3372
◉お問い合わせ・制作
Tel:03-3419-6261

さてツアー中に台風19号が日本を襲い、大きな被害をもたらしました。
殊に前回の台風15号で大きな被害を受けた千葉県は度重なる台風によるダメージも大きく、住民の方の失意の程を察してあまりあるものがあります。
被害地域の方々の暮らしが1日も早く戻りますように、また命を落とされた方々のご冥福をお祈りします。
大切なご家族、ご友人を失われた方々の悲しみが早く癒されますように。

2019年10月8日火曜日

喜多直毅クアルテット西日本ツアー、いよいよ木曜日から!!!:10/10神戸→10/11広島→10/12松山→10/14尾道→10/15福岡

喜多直毅クアルテット 左より:三枝伸太郎(piano)北村聡(bandoneon)喜多直毅(violin)田辺和弘(contrabass) 2019年10月7日リハーサル
喜多直毅クアルテット
左より:三枝伸太郎(piano)北村聡(bandoneon)喜多直毅(violin)田辺和弘(contrabass)
2019年10月7日リハーサル

いよいよ喜多直毅クアルテットの西日本ツアーが始まります。
旅程は10/10(木)神戸、10/11(金)広島、10/12(土)松山、10/14(月祝)尾道、10/15(火)福岡です。
地元の皆さん、ぜひお誘い合わせの上お越しください。

このクアルテットはメンバーの全員がアルゼンチンタンゴを演奏します。
それと並行してアルゼンチンタンゴ“以外”の音楽にも精力的に取り組んでいます。
また作曲もします(ヴァイオリニストとコントラバス奏者は歌手活動もしています…)。
これは一人一人、感覚が自由でオープンだということ。

現在、世界のミュージックシーンにおいて、我々の世代の演奏家の間では演奏分野の混血が進み『これは〇〇というジャンル』とカテゴライズ出来なくなっていますがタンゴの世界も同様。
その姿形が年月のうちに変質したとしても、音楽が音楽であることには変わりません。
源流から受け継がれた音楽的語法さえ変化するかも知れない。
しかしその中に息吹や生命がありありと感じられるなら、有りようが多少変わろうと音楽はビクともせず、演奏され聴かれる価値があるのだと思います。

そんな音楽を共に演奏出来るのが、北村、三枝、田辺の各氏です。
繊細かつ大胆なバンドネオン、エネルギーに溢れるピアノ、迫力と『うた』に満ちたコントラバス。
それぞれのソロパートが曲の随所に現れます。
今回のツアーを通して、一人一人の聴かせどころ・見せどころが豊富にありますので、個々人のプレイにもご注目頂きたいと思います。

上に記した通りこのカルテットのメンバーは全員タンゴプレイヤーではあるものの、内容的には伝統的なタンゴの語法は余り用いずに自由に音楽づくりをしてきました。
美しいか、カッコ良いか、面白いか…というところは二の次、三の次にし、サウンドが内面や精神や感情にどれだけ肉迫しているか、タイムラインに人生の四季があるか、を大切にしてきました。
そしてヴィジョンをどのように音楽で描くか。
例えば一人の酒乱の男、岸壁に打ち上げられた死体、真冬のさすらい人、戦場に張り巡らされた鉄条網。
こんなヴィジョンを音楽にすると共に、どの曲にも通奏低音的なノイズとして『寒さ』をこめて来ました。
やはり自分にとって『東北』は大事な要素の一つだと思ったからです。

生まれ故郷、ルーツ、地域性、郷土愛を大切にする音楽の一つにタンゴがあると思います。
タンゴはブエノスアイレスへの郷愁を歌う、ある時はしみじみと、ある時は声を振り絞るように。
シャンソンは、まるでパリを女神のように讃える。
であれば、このクアルテットで演奏している僕の音楽は東北への讃歌なのかなと思います。
声にならない咆哮、狂おしいほどの郷愁、そして情念に満ちた讃歌です。

さてさて広島・尾道は二年前に、福岡は昨年、このグループで演奏を聴いて頂いております。
神戸と松山には今回初めてお邪魔します。
各会場、出来るだけ曲が被らないようにプログラムを作ってみました。
しかし何曲かは僕の好きな曲を全会場で演奏させて頂きたいと思います。

各会場では喜多クアルテットのCDや個人のCDの販売も行います(神戸ではご注文のみ承ります)。
初めての方も、前回お越しの方も、是非是非我々の演奏を聴きにお越しください!


【ツアー詳細】

■10/10(木)神戸
共演:角正之(ダンス)
   レナート・レオ(ダンス)
   丹羽祥子(ダンス)
   越久豊子(ダンス)
日時:10月10日(木)18:30開場19:00開演
会場:CAP.Y3.5Fホール(海外移住と文化の交流センター)
   650-0003 兵庫県神戸市中央区山本通3-19-8
   電話 078-222-1003
料金:前売り3,500円 当日4,000円
申し込み:
◉CAP(下田)電話・ファックス 078-222-1003/info@cap-Kobe.com
◉DCP(角)電話 090-3622-1625/email=sumish@kazemai.com
主催:C.A.P(芸術と計画会議)
共催:D.C.P(ダンスキャンププロジェクト)

■10/11(金)広島
日時:2019年10月11日(金)開場18:30/開演19:00
会場:広島市西区民文化センター
   広島市西区横川新町6番1号
   082-234-1960
料金:大人前売り券 ¥3,000/当日券¥3,500
   学生前売り券 ¥1,000/学生当日券¥1,500
予約・問い合わせ先:080-6326-4047、keikuro0101@gmail.com(黒田)

■10/13(土)松山
日時:2019年10月12日(土)19:30開演(18:30受付開始)
会場:utaco drip
   愛媛県松山市大手町2-9-20
   JR松山駅前駅より徒歩1分
料金:予約¥3,500/当日¥4,000
   utaco drip店頭にてご予約承ります。
   ◆10歳以下のお子様のご入場はお断りする場合がございます。
予約:violin@nkita.net
※メールタイトルは「喜多直毅クアルテット10/12予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

■10/14(月・祝)尾道
日時:2019年10月14日(月・祝)開場18:00/開演18:30
会場:JOHN Burger & Cafe 
   広島県尾道市東御所町3-25
   0848-25-2688
料金:当日のみ(予約無し)3,000円(要ワンドリンクオーダー)
お問い合わせ先:0848-31-2212(杉山)

■10/15(火)福岡
日時:2019年10月15日(火)18:30開場/19:00開演/20:00頃終演予定
会場:西南学院大学 西南コミュニティーセンター ホール
   福岡県福岡市早良区西新6-2-92
   tel. 092-823-3952
料金:ご予約¥3,000/当日¥3,500/学生料金¥2,000
ご予約・お問い合わせ:
   090-6291-0610(トモナガ)092-712-7350(fax兼)grade-up@ezweb.ne.jp
   violin@nkita.net(喜多)
主催:喜多直毅コンサート実行委員会
後援:福岡市、(公財)福岡市文化芸術振興財団



喜多直毅クアルテットプロフィール
【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。ロシア音楽を彷彿とさせる濃厚な旋律と共に、日本の伝統音楽に通ずる“間”の感覚を併せ持った彼らの音楽は、その深い精神性を高く評価されている。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

圧倒的な演奏力と物語構成力で、期待を裏切らない進化をみせるクアルテット。無音の部分にこそひた寄せる鬼気がある。人間の業や人生の割り切れなさが照射され、鮮烈なイメージ喚起力とともに変転していく。聴いていて全く楽ではない彼らの音楽は、「表現せずにはいられない」という崖っぷちの必然性を常に感じさせる点で芸術の根源に忠実だ。ひりつくほどに美しい。個々のメンバーの今後の成熟を予想すると末恐ろしいほど。(JazzTokyo『#02 喜多直毅クアルテット『Winter in a Vision 2』リリース記念コンサート』2018年1月1日)
文章:伏谷佳代(音楽評論家)

メンバープロフィール
喜多直毅(ヴァイオリン・作曲)
国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。これまでにアルバムを二作品リリース。他に翠川敬基(vc)、黒田京子(pf)、齋藤徹(cb)との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・コンテンポラリーダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。
https://www.naoki-kita.com

北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太、フリオ・パネに師事。世界各国のフェスティバルに出演。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、エゴ・ラッピン、パブロ・シーグレル、ミカ&リチャード・ストルツマン、東京交響楽団と共演。タンゴだけに留まらず他ジャンルの音楽家と交流し、繊細な表現には定評がある。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」「マスカレード・ホテル」をはじめ様々な録音に参加。現在喜多直毅クアルテット、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

三枝伸太郎(ピアノ)
東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。ピアノの内部奏法を含む美しくも時として激しい独特な奏法に高い評価を得る。また作曲家として映画音楽、演劇のための音楽を多数手がけ、様々なジャンルでピアニスト、アレンジャー、音楽監督としても活躍中。2014年自身のオリジナル曲を主に演奏する三枝伸太郎Orquesta de la Esperanzaを結成、モダンタンゴからジャズ、現代音楽の要素を含むオリジナリティある作品を発表し続けている。

田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興的な音楽表現などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からクラシックでの活動をする中でアルゼンチンタンゴと出会う。これまでに国内の多くのタンゴミュージシャンと共演、アルゼンチンのミュージシャンとも若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも共演している。様々な活動をする中、2010年に即興演奏の第一人者コントラバス奏者の齋藤徹と出会う。その後はタンゴを始め他の音楽の中でも即興的なアプローチを試みている。その中でも喜多直毅クアルテットに参加。ジャンル関係なく音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。



2019年10月2日水曜日

喜多直毅クアルテット西日本ツアー:10/10神戸→10/11広島→10/12松山→10/14尾道→10/15福岡

喜多直毅クアルテット 喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)
喜多直毅クアルテット
喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)

喜多直毅クアルテットは今月西日本ツアーを行います。
お近くの皆さん、是非どうぞお出かけ下さい!
(それ以外の地域の皆さんも旅行を兼ねてお出かけ下さい!)
10/10神戸、10/11広島、10/12松山、10/14尾道、10/15福岡の5会場。
松山を除き一昨年・昨年とお邪魔して地元の方に大変好評を頂きました。
まさに体験する音楽…。
どうぞお誘い合わせの上、お越しください!

喜多直毅クアルテットFacebookページではこれまでの活動やPVをご覧いただけます。



【ツアー詳細】

10/10(木)神戸
共演:角正之(ダンス)
   レナート・レオ(ダンス)
   丹羽祥子(ダンス)
   越久豊子(ダンス)
日時:10月10日(木)18:30開場19:00開演
会場:CAP.Y3.5Fホール(海外移住と文化の交流センター)
   650-0003 兵庫県神戸市中央区山本通3-19-8
   電話 078-222-1003
料金:前売り3,500円 当日4,000円
申し込み:
◉CAP(下田)電話・ファックス 078-222-1003/info@cap-Kobe.com
◉DCP(角)電話 090-3622-1625/email=sumish@kazemai.com
主催:C.A.P(芸術と計画会議)
共催:D.C.P(ダンスキャンププロジェクト)

10/11(金)広島
日時:2019年10月11日(金)開場18:30/開演19:00
   広島市西区横川新町6番1号
   082-234-1960
料金:大人前売り券 ¥3,000/当日券¥3,500
   学生前売り券 ¥1,000/学生当日券¥1,500
予約・問い合わせ先:080-6326-4047、keikuro0101@gmail.com(黒田)

10/12(土)松山
日時:2019年10月12日(土)19:30開演(18:30受付開始)
会場:utaco drip
   愛媛県松山市大手町2-9-20
   JR松山駅前駅より徒歩1分
料金:予約¥3,500/当日¥4,000
   utaco drip店頭にてご予約承ります。
   ◆10歳以下のお子様のご入場はお断りする場合がございます。
予約:violin@nkita.net
※メールタイトルは「喜多直毅クアルテット10/12予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

10/14(月・祝)尾道
日時:2019年10月14日(月・祝)開場18:00/開演18:30
   広島県尾道市東御所町3-25
   0848-25-2688
料金:当日のみ(予約無し)3,000円(要ワンドリンクオーダー)
お問い合わせ先:0848-31-2212(杉山)

10/15(火)福岡
日時:2019年10月15日(火)18:30開場/19:00開演/20:00頃終演予定
   福岡県福岡市早良区西新6-2-92
   tel. 092-823-3952
料金:ご予約¥3,000/当日¥3,500/学生料金¥2,000
ご予約・お問い合わせ:
   090-6291-0610(トモナガ)092-712-7350(fax兼)grade-up@ezweb.ne.jp
   violin@nkita.net(喜多)
主催:喜多直毅コンサート実行委員会
後援:福岡市、(公財)福岡市文化芸術振興財団


喜多直毅クアルテットプロフィール
【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。ロシア音楽を彷彿とさせる濃厚な旋律と共に、日本の伝統音楽に通ずる“間”の感覚を併せ持った彼らの音楽は、その深い精神性を高く評価されている。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

圧倒的な演奏力と物語構成力で、期待を裏切らない進化をみせるクアルテット。無音の部分にこそひた寄せる鬼気がある。人間の業や人生の割り切れなさが照射され、鮮烈なイメージ喚起力とともに変転していく。聴いていて全く楽ではない彼らの音楽は、「表現せずにはいられない」という崖っぷちの必然性を常に感じさせる点で芸術の根源に忠実だ。ひりつくほどに美しい。個々のメンバーの今後の成熟を予想すると末恐ろしいほど。(JazzTokyo『#02 喜多直毅クアルテット『Winter in a Vision 2』リリース記念コンサート』2018年1月1日)
文章:伏谷佳代(音楽評論家)

メンバープロフィール
喜多直毅(ヴァイオリン・作曲)
国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。これまでにアルバムを二作品リリース。他に翠川敬基(vc)、黒田京子(pf)、齋藤徹(cb)との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・コンテンポラリーダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。

北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太、フリオ・パネに師事。世界各国のフェスティバルに出演。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、エゴ・ラッピン、パブロ・シーグレル、ミカ&リチャード・ストルツマン、東京交響楽団と共演。タンゴだけに留まらず他ジャンルの音楽家と交流し、繊細な表現には定評がある。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」「マスカレード・ホテル」をはじめ様々な録音に参加。現在喜多直毅クアルテット、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

三枝伸太郎(ピアノ)
東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。ピアノの内部奏法を含む美しくも時として激しい独特な奏法に高い評価を得る。また作曲家として映画音楽、演劇のための音楽を多数手がけ、様々なジャンルでピアニスト、アレンジャー、音楽監督としても活躍中。2014年自身のオリジナル曲を主に演奏する三枝伸太郎Orquesta de la Esperanzaを結成、モダンタンゴからジャズ、現代音楽の要素を含むオリジナリティある作品を発表し続けている。

田辺和弘(コントラバス)

クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興的な音楽表現などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からクラシックでの活動をする中でアルゼンチンタンゴと出会う。これまでに国内の多くのタンゴミュージシャンと共演、アルゼンチンのミュージシャンとも若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも共演している。様々な活動をする中、2010年に即興演奏の第一人者コントラバス奏者の齋藤徹と出会う。その後はタンゴを始め他の音楽の中でも即興的なアプローチを試みている。その中でも喜多直毅クアルテットに参加。ジャンル関係なく音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。 

2019年9月23日月曜日

今週金曜日(9/27)は初顔合わせによる即興トリオ!!!

元井美智子(箏)喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)
左から:元井美智子(箏)喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)

即興演奏というものはやればやるほど奥の深いもの。
自分の身体や呼吸、その時の精神状態が如実に現れ、面白いと同時に恐ろしくもあります。

さて何のために即興演奏をするのか?
なぜ即興演奏でなければならないのか?

即興演奏でなければならないなんてことはありません。
僕も色々な音楽をやっていますが、弾いていて・聴いていて『これは素晴らしい』と思えるものには別次元の時間が流れている。
この緊迫感。
まるで音楽の誕生から死にまで立ち会うかのよう。
そしてその一生が人ごとではなく、自分のことのように感じられる。

その音楽は「綺麗、うっとり」とか「絆って大事」とか「死ぬほど愛してる」とかではなくて(それも良いのですが)、もう少し違うところにある。
そういう世俗的な感じではなく、“自然”みたいなものかなと思います。

美しい花を咲かせて見せてくれたり、美味しい水を岩の隙間から出してくれたり、美味しい野菜や果物を育ててくれる。
絶景と呼ぶべき晴らしい景色も自然が作ってくれたもの。
海の中の色とりどりの魚、姿の美しい鳥達を見ると自然がいかに素晴らしいデザイナーか分かるし、虫の擬態や共生関係について調べるとそのプログラムの見事さに言葉を失うほどです。
また海岸を黄昏色に染めて彼氏or彼女とのアバンチュールを演出してくれるのも自然。
土砂降りの雨を降らせて恋人に振られるシーンをより惨めに演出してくれるのも自然です。

それと同時に猛威をふるって多くの人を死なせてしまったりする。
津波とか台風とか地震とか。
「わぁ可愛い子グマ!」「プーさんみたい!」「ハチミツ食べるかな」も数ヶ月経つと、口の周りに鮮血を滴らせて登山客の臓物を貪っていたりするのです。
でもそれも自然の与えた本能だから仕方ありません。

人間の都合とか善悪とかを超えたところにあって、四季折々の美しさを見せたり、弱肉強食の営みを司ったりしているもの。
美しくて残酷、それが自然です。
しかし自然の側からすると、自分が美しいとも残酷とも思っていないのです。
というか『思う』こともないのです。

良い音楽を聴くと『美しい』とか『面白い』とかと同様に背筋がゾクゾクして『怖い』と思う。
それは人間がまだ裸で暮らしていた頃、自然に対して抱いていた畏怖に近いものかも知れません。
現代のように人間が自然と対立するものではなく、自然の中の一部だった頃の話です。

太古の昔、人類には自然に抗うすべもコントロールするすべもなかった。
しかし人間達は自然の恵みに感謝し、恐ろしい猛獣を神と崇めた。
黄泉の国をまだ信じていた。
原始的な宗教の始まり。
宗教儀式には音楽がつきものだった…。

この感覚を音楽に感じると何かが騒ぎ出します。
遺伝子でしょうか。
もちろん他のどんな音楽でも良いのですが、僕の中ではこの原始の記憶に一番肉薄できるのが即興演奏なのです。

金曜日に行う即興演奏のライヴは箏の元井美智子さん、コントラバスの西嶋徹さんとお届けします。
二人ともそれぞれバックグラウンドとなる音楽を大切にしつつ、なおかつ自由な感覚を持っていらっしゃいます。
これまで元井さん+喜多、西嶋さん+喜多のデュオで別々にライヴを行ってきましたが、今回は初のトリオ演奏。
デュオがトリオになるとガラッとそれぞれの演奏が変わったりしますので、ぜひ楽しみにお越しいただきたいと思います。

喜多直毅(ヴァイオリン)元井美智子(箏)
喜多直毅(ヴァイオリン)元井美智子(箏)

喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)
喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   元井美智子(箏)
   西嶋徹(コントラバス)
内容:即興演奏、他

日時:2019年9月27日(金)19:00開場/19:30開演
会場:松本弦楽器(代々木)
   東京都渋谷区千駄ヶ谷5-28-10
   ドルミ第二御苑804号室
   03-3352-9892(場所の問い合わせのみ受け付け)
   
料金:予約3,500円/当日4,000円
ご予約・お問い合わせ:violin@nkita.net(喜多)
※12名様限定です。ご予約はお早めに!
※お申し込みの際は《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を必ずお書き下さい。
※19:30でメインエントランスの鍵が閉まります。遅刻にご注意下さい。

2019年9月20日金曜日

第二の人生・それはシンガーソングライター…。11/28は黒田京子さんとインエフで。

先日、音や金時で2回目のシンガーソングライターライヴを行いました。
ギターは加藤崇之さん。

喜多直毅シンガーソングライターライヴ with 加藤崇之

喜多直毅シンガーソングライターライヴ with 加藤崇之

喜多直毅シンガーソングライターライヴ with 加藤崇之

前回のいろいろな反省点を踏まえて臨んだライヴでしたが、まず音域をちゃんと設定したことでだいぶ歌いやすくなりました。
客席にはプロの歌手の方々もいらして、ちょっと緊張もしましたがとても楽しく歌うことが出来ました。

音や金時のママさんに勧められて歌い始めましたが、今はやりたかったことはこれだったかもと思えるくらいです。
第二の人生が始まったようにも感じています。
もちろんヴァイオリンも弾き続けていきますが、歌作りと歌うことにはまた別次元の強い動機を自覚しました。

自分の言葉と音楽が声でもって解放される。
それが嬉しくてたまりません。
人に何と言われようと確たる何かが腹の底にあって揺るがない。
なぜならそれは紛れも無い『自分自身』だからです。
強くても弱くても、綺麗でも醜くても『自分自身』。
カッコ良くても悪くても、それはどうしたって自分自身なのです。
歌には歌詞(言葉)があるからこそ、楽器の演奏よりもダイレクトに感じるものなのかも知れません。

そもそもなぜ歌を作り続けて来たのか?

別に発表する気持ちや機会がなくても、暇を見つけて歌を作り続けていました。
幸いにも機会に恵まれて、他の歌手の方達に命を吹き込んでもらえた曲もあります。
しかし僕の場合、〇〇について訴えたいから歌を作る、〇〇に望みを託して歌を作る、ということは全く無いのです。
人様に気に入ってもらえて歌って頂けたら嬉しいけれど、日の目を見ずとも構わないのです。

ただ浮かんだファンタジーや思いみたいなものに姿形を与えたくて作っているだけ。
そしてセロファンとセロファンを重ねるように、言葉とメロディから新しい色を作る。
それが歌作りの喜びです。
そう、まさに!
楽しいからやっているだけ。

そしてこの楽しさには強い必要性が含まれているのです。
別に誰にも歌われないなら(自分も歌わないなら)、歌なんか作る必要はないのです。
しかしやっぱり作らずにはいられない。
作らずにいると何かが死んでいく。
そんな思いさえ抱きながら、これまでひっそりと作り続けて来ました。
やらずにはいられないからやっている。

このようなソングライティングですが、二回人前で歌ってみて新しい疑問が生まれました。
それはこっそり作ってきた歌を人前で歌う意味についてです。
二回やってみてとても楽しかったのだから、もうそれで十分で、意味について考えなくても良いかも知れません。
でもライヴを重ねながらでも、このことについては考えてみたい。
とても大事なことだと思うからです。

もっと上手なプロの歌手に歌ってもらった方が良いんじゃないか?
下手な自分が歌う必要があるんだろうか?
それでもなぜ自分は歌いたいと思うんだろう?
歌が上手いって何だろう?
そもそも歌って何だろう?

いろいろな問いが派生的に生まれて来ます。
それを考えながら歩む第二の人生。
前途多難ですが、しかしますます楽しみになってきた!

このあいだの加藤さんとのライヴを終えて、とても楽しかったので早速二本もブッキングしてしまいました。
11月には黒田京子さんにピアノをお願いしました。
楽しみです!

出演:喜多直毅(歌・ヴァイオリン)
   黒田京子(ピアノ)
内容:喜多直毅オリジナルソング
日時:2019年11月28日(木)19:00開場/20:00開演
会場:インエフ(大泉学園)
   東京都練馬区東大泉3-4-19津田ビル3F
   03-3925-6967
料金:¥2,500+オーダー
ご予約&お問い合わせ:
   03-3925-6967
   in-f.sato@nifty.ne.jp

そして来年1月は再び加藤崇之さん(ギター)と音や金時で。

出演:喜多直毅(歌・ヴァイオリン)
   加藤崇之(ギター)
内容:喜多直毅オリジナルソング
日時:2020年1月30日(木)18:30開場/19:30開演
会場:音や金時(西荻窪)
   東京都杉並区西荻北2-2-14喜志コーポB1
   03-5382-2020
料金:¥2,500+オーダー
予約:必要ありません。そのままお越し下さい。

新人歌手です!!!
皆さま、どうぞ宜しくお願いします!

2019年9月14日土曜日

9/18来週水曜日はCoração Amoroso@雑司が谷エルチョクロ

Coração Amoroso:さがゆき(vo)喜多直毅(vln)田中信正(pf)
Coração Amoroso:さがゆき(vo)喜多直毅(vln)田中信正(pf)
2019年7月26日@雑司が谷エルチョクロ

さがゆきさん(vo)、田中信正さん(pf)とのユニット“Coração Amoroso”。
前回の演奏が思いの外面白く、2回目のライヴとなりました。
この三人ではブラジル音楽やラテン音楽のドロッとしたところをやっています。
日光が強い土地の日陰は闇が濃い。
そんな感じがする…。

昔、有名なイタリア映画『ひまわり』を見ていたら、最初のシーンに主人公のソフィア・ローレンがキッチンでパンを食べているシーンがありました。
その薄暗い台所が何故か今でもとても印象に残っています。
とても趣に満ちたシーンでした。

美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。
(谷崎潤一郎『陰翳礼讃』)

これは日本文化の中で暗がりや闇が美しいものとして尊ばれて来たことについての文章ですが、ヨーロッパにも別の形で息づいている美学だと思います。
かつて暗がりの美を大切にして来た日本人が、現代にあっては煌々と蛍光灯をつけて平気で暮らしていけるのが不思議。
昭和→平成→令和と、部屋や町からどんどん美しい暗がりが消え失せ、別な場所に闇が生じているのでしょうか。

さて前回は結構楽譜を見るのに必死(!)だったのですが、今回はもう少し余裕を持って演奏できたらと思います。
今の活動の中で、自分がセッションリーダーではないライヴの一つ。
貴重。
楽しみたいと思います。

出演:Coração Amoroso
   さがゆき(vo)
   喜多直毅(vln)
   田中信正(pf)
内容:ブラジル音楽&ラテン音楽

日時:2019年9月18日(水)18:30開場 19:30開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:ご予約¥3,500 当日¥3,800 学生(〜29歳)¥2,000
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com

2019年9月4日水曜日

今週金曜日(9/6)はシンガーソングライターライヴwith加藤崇之さん@西荻窪・音や金時

喜多直毅歌手デビューライヴwith加藤崇之(gt) 2019年5月8日@音や金時
喜多直毅歌手デビューライヴwith加藤崇之(gt)
2019年5月8日@音や金時

西荻窪のカレーが美味いライヴハウス・音や金時。
ここではずーっとウタウタというグループのメンバーとしてライヴをさせて頂いております。
ヴォーカルの松本泰子さん、ギターの長谷川友二さん、パーカッションの和田啓さん、そして僕。
四人が全員ソングライティングを行い、泰子さんが歌っています。

前から音金のママさんに『自分で作った歌を自分で歌ってみたらどうか?』と仕切りに勧められていたのですが、人並みはずれた歌唱力を理由に断り続けていました。
本当に人並外れているのです。
群を抜いています。
これはお金を頂いて人様にお聴かせ出来るレベルではない!と自己判断し、泰子さんが歌う歌を作るだけで十分楽しいから自分では歌わずとも良いと思っていました。

それに前から僕は自分の声が好きではありませんでした。
モサモサしている、古ぼけたリンゴのように。
歌うならイブ・モンタンのようでなければ!!!

しかしある日音金でのライヴの後、やっぱりママさんに勧められて、つい勢いで『やってみよう!』と言ってしまった。
しかもその場で日程も決定。
そしたらその後すぐに『加藤崇之さんにギターを頼んだからね』とメールが…。
あああ、加藤さんにギターを弾いてもらえるのは嬉しいけど良いのかなぁ…。

とは言え、一度引き受けたら断っていけません。
だいぶ緩くなりましたが、この業界にはそういう掟があるのです。
それに『やっぱりやめます』とは言いたくない。
なので早速加藤さんにリハーサルをお願いしました。

加藤さんのギターは素晴らしい。
美音、歌心。
しかし僕の歌は…。
音程は外れているし、発声は安定しないし、ビブラートもおかしい。

そんなこんなで迎えた第1回目のライヴ。
大勢のお客さんが来てくださり、それはそれで嬉しかったのですが、めちゃめちゃ緊張しました。
楽器を弾かずに人前に出て何かをすることがこんなに恥ずかしいとは。

それでも何とか歌い通した2ステージ。
久しぶりにとてつもない満足感を覚えたのは、難産の後の脳内快楽物質のせいでしょうか。
ここ数年の演奏活動の中でも最も楽しかったライヴの一つとなりました。
速攻で次回(9/6に行うライヴ)のブッキングもしました。

しかし反省点もいくつか。
まず僕の楽譜が見にくいということ。
『早く譜面書きが終わって楽になりたい』という思いだけで楽譜を作っているので、演奏する人にとってはとても読みづらい楽譜になってしまっているのです。
加藤さんにもそこは指摘され、今回は楽譜作成ソフトSibeliusを導入。
(バンドルソフト付きで12万円くらいした!!!なのにインストールもせず物入れの中に放置してありました。)
今回は説明書を見ながら14曲くらい楽譜を作りました。
一段は基本的に四分割し、コードもリハーサルマークも大きく。
それでもリハーサルで多数の間違いが見つかりました…。

それと1回目のライヴではどうもキーの設定がおかしく、声がちゃんと出なかった。
家でピアノを弾きながら歌ってみて丁度良かったキーなのに、ステージで歌うとやたら低く感じるのです。
客席には歌詞がハッキリと届いていなかったのかも知れない。
ということで、松本泰子さんに手伝っていただき、僕の音域に相応しいキーを決めました。
そしたら本来の僕の音域と前回の音域が五度も違っていたことが判明!(曲によってはもっと)
こりゃ歌いにくいはずだよ…。

ということで、以上2点を改善したので、第一回目よりは聴きやすくなるのでは?
そして加藤さんにとっては演奏しやすくなるのではないかと思います。

さて今回は新曲が一曲あります。
これは恐ろしく歌いにくい曲です。
コードも変わりまくり、しかもテンションノートがメロディに使われていて音程が取れません。
しかし挑戦します。
なぜかというと面白いことに気づいたからです。

実はこの曲はインストとして前から演奏していました。
『神保町夕間暮れ』という曲です。
原型はイギリス留学時代に浮かんだのです。
とは言え、英国調でも何でもなくて、タイトルの通り神保町の夕暮れ、昭和の学生街の黄昏を描いた作風です。

この原型が忘れられずにずっと頭の中にあって、実際に曲に仕立て上げて演奏をしてみた。
ところが何かが足りないのです。
こんなにずっと頭の中に鳴り続けているメロディなのに、何故ヴァイオリンで弾いてみても満足出来ないのか???

今回、歌詞をのせてみて分かりました。
この曲は歌詞を待っていたんだ!
弾く曲ではなく歌う曲だったのです。
先日、加藤さんとのリハーサルで歌ってみて、初めて納得できる仕上がりになりました。
これは下手だろうが間違おうが是非歌いたい。

加藤さんのギターも素晴らしく、サウダージ(郷愁・切なさ)の風がふんわりと吹いてくる。
まさにあの日・あの頃の神保町の夕暮れです。
大人になるって切なさや苦さの中に何とも言えない趣きを見出せるようになること。
もののあはれを知ること。

実はこの曲以外にも、十年以上頭の中にあったメロディを曲に仕立てて演奏しているものがあります。
しかし内心『何かが足りない』と思いながら弾いている。
こういう曲は案外歌詞を待っているメロディなのかも知れませんね。

良く男女を繋ぐ運命の赤い糸って喩えがあるでしょ?
そんな風にメロディと歌詞ってお互いに引き寄せ合っているのかも知れません。
それが出会って初めて『歌』になる。
もちろん独身のまま生きていくメロディも言葉もある。
しかしインストで弾いていて何かが足りないとか、何かを求めている気がする…、と言うときはメロディが言葉と出会いたくて仕方がない時なのでは?
面白い。

てな訳で、神保町の歌も歌ってみますので是非皆さんお越し下さい。
初めて作ったご当地ソングです。

出演:喜多直毅(歌・ヴァイオリン)
   加藤崇之(ギター)
内容:喜多直毅作詞作曲による歌の数々

日時:2019年9月6日(金)18:30開場/19:30開演
会場:音や金時(西荻窪)
   東京都杉並区西荻北2-2-14喜志コーポB1
   03-5382-2020

料金:¥2,500+オーダー
予約:必要ありません。そのままお越し下さい。

2019年8月18日日曜日

次回の喜多直毅+田中信正+西嶋徹トリオは12月22日(日)@雑司が谷エルチョクロ!!!

2019年8月17日 喜多直毅(violin)田中信正(piano)西嶋徹(contrabass) 雑司が谷エルチョクロ
2019年8月17日
喜多直毅(violin)田中信正(piano)西嶋徹(contrabass)
雑司が谷エルチョクロ

昨日は新しいトリオ、喜多直毅+田中信正+西嶋徹トリオの初ライヴでした。
会場は雑司が谷のエルチョクロ。
初めてのライヴにも関わらず満席にしていただき本当に有難うございました!!!
またアンケートも配らせて頂きましたが、お書きいただいて感謝!!!
三人で嬉しく読ませて頂きました。

さてこちらが昨日のセットリストです。

1. Alfama(ファド)
2. 五木の子守唄
3. Libertango(Astor Piazzolla)
4. 赤い橋(浅川マキ)
5. Chorinho pra Ele(Hermeto Pascoal)

1. Upa Nequinho
2. Contigo en La Distancia 遠く離れていても
3. アルフォンシーナと海
4. ふるさと(日本唱歌)

アンコール:Les yeux ouverts 瞳を開いて

2019年8月17日 喜多直毅(violin)田中信正(piano)西嶋徹(contrabass) 雑司が谷エルチョクロ

2019年8月17日 喜多直毅(violin)田中信正(piano)西嶋徹(contrabass) 雑司が谷エルチョクロ

もともと喜多直毅+田中信正デュオ、喜多直毅+西嶋徹デュオで演奏していたレパートリーをトリオで演奏しましたが、全く別のアプローチで演奏できたと思います。
田中さんと西嶋さんの見せ所・聴かせ所も、デュオとは違う形で曲に組み込むことが出来ました。
田中さんのファンにも西嶋さんのファンにも、いつもの二人とは違う魅力をお感じ頂けたのではないかと思います(そうだったら僕も本当に嬉しい)。

随所に溢れた西嶋さんの深く豊かな音色、そして歌ごころ。
美しいだけではなく、凄みと狂気を宿したノイズ。
田中さんの諧謔的なソロも楽しかった。
そしてアルフォンシーナと海で演奏された、ドラマティックで精神性に溢れたピアノソロ。
そこには人生の悲劇と同時に美しい海が表現されていたと思います。

楽しく軽快な曲やロマンティックな曲も演奏しましたが、『死』のある音楽を生み出せた。
これは僕の理想です。
こんなトリオを始められたことが嬉しくてなりません。

次回は12/22(日)。
是非是非お越しください!!!
西嶋さんのファンには初めてだと思いますが、この日はクリスマスライヴです!!!
これまで二年に亘り田中信正さんとのデュオで行った来たクリスマスライヴ。
二回とも大好評でした!!!

第一部はいつものレパートリーを、そして第二部はクリスマスにちなんだ曲を演奏いたします。
そしてキャンドルの灯る中、皆さんと賛美歌を歌います。
是非是非、我々と共に一足早いクリスマスをお過ごしください!!!

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   田中信正(ピアノ)
   西嶋徹(コントラバス)

第一部:ラテン音楽や日本の曲
第二部:クリスマスにちなんだ曲、賛美歌、etc.

日時:2019年12月22日(日)14:00開場 15:00開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   http://el-choclo.com/contents/?page_id=4
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:未定(昨年はご予約¥3,900 当日¥4,300)
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)

クリスマスにお目にかかれることを楽しみにしています。
どうぞよろしくお願いします!!!


もう一つ。
ぜひ田中さんとのデュオアルバム、そして西嶋さんとのデュオアルバムをお聴き頂けますと嬉しいです。
二つともe-onkyo musicのサイトでダウンロード販売中です。
それぞれに魅力ある内容で大変好評です。
こちらも宜しくお願いします。

喜多直毅&田中信正『Contigo en La Distancia ~遠く離れていても~』

喜多直毅&田中信正『Contigo en La Distancia ~遠く離れていても~』

OTVA-0014 ¥2,500+税
01 Naufrágio ナウフラージオ(難船)
02 Olha Maria オーリャ マリア
03 Soledad 孤独(ソレダー)
04 Chorinho Pra Ele ショリーニョ プラ エレ
05 Chiquilín de Bachín チキリン デ バチン(バチンの少年)
06 O Voo da Mosca 蚊の飛行
07 Eu the amo エウ チ アモ(I love you)
08 Alfonsina y El Mar アルフォンシーナと海
09 Contigo en La Distancia 遠く離れていても
RME Premium Recordings(高品質ハイレゾ音源ダウンロード販売)


喜多直毅&西嶋徹『L'Seprit de L’ENKA』

喜多直毅&西嶋徹『L'Seprit de L’ENKA』

UNAMAS 3,000円
1. 舟歌(浜圭介)
2. 赤い橋(山木幸三郎)
3. アリラン(朝鮮民謡)
4. 悲しい酒(古賀政男)
5. アカシアの雨がやむとき(藤原秀行)
6. ソルヴェイグの歌(Grieg E.Hagerup)
7. 五木の子守歌(熊本民謡)
8. ふるさと(岡野貞一)
e-onkyo music(高品質ハイレゾ音源ダウンロード販売)

2019年8月13日火曜日

9/6(金)は喜多直毅シンガーソングライターライヴwith加藤崇之(ギター)@西荻窪・音や金時

喜多直毅歌手デビューライヴvol.1with加藤崇之(gt) 2019年5月8日@西荻窪・音や金時
喜多直毅歌手デビューライヴvol.1with加藤崇之(gt)
2019年5月8日@西荻窪・音や金時

9/6(金)に行うシンガーソングライターライヴの為にキーを決めるべく、歌手の中で一番共演数の多い松本泰子さん(vo)に手伝って頂きました。
実は第一回目は家で歌って決めたキーが低すぎて、ボソボソボソボソ歌ってしまい歌詞が不明瞭になってしまったのです
近所迷惑を気にしてつい低い音域で歌っていて、それが自分にちょうど良いキーだと思っていたのです。
ところが本番、ステージでマイクを使って歌って余りの低さにびっくりしました。
喉も疲れました(それでも2ステージ歌い通した!!!)。

今日、相応しいキーを調べていく中で、案外自分の声が高いことが判明。
完全なテノールまでは行かないけどバリトンの高い方からテノールの低い方。
この音域だと無理なく歌えて、しかも歌詞も明瞭に届きそうです。

それと先日一緒にライヴで演奏した時、歌手のさがゆきさんにも歌詞を印象付けるコツみたいなものを教えてもらいました。
ある意味、朗読みたいなアプローチにも思えました。
語ることと歌うこと。
この微妙なバランス感覚と距離感が面白いのかなと思います。

そもそもソングライティングの方、特に歌詞のことに気を取られがちなのですが、歌うことも楽しくなるとより表現に幅が出てくるかも知れません。
家では研究のために器楽による即興演奏や現代音楽、クラシック、タンゴ、ポルトガルギター、韓国伝統音楽等を聴いていますが、それ以外では結構歌ものを流しているのです。
ロシアのリュドミラ・ズィキナ、ヴラジーミル・ヴィソツキー、ブラート・オクジャワ、アレキサンドル・グラツキー。
ポーランドのエヴァ・デマルチク。
フランスのバルバラ、レオ・フェレ、ジャック・ブレル。
シチリアのローザ・バリストレリ。
ロシアンジプシーのリダ・グレスコ、ヴァリア・ディミトリエヴィッチ。
アルゼンチンタンゴのロベルト・ゴジェネチェ。
器楽<歌、かも。

以上に掲げた歌手の方々は実に素晴らしく、その人がそのまま歌になっている。
そして聴いていると胸が熱くなる。
到底僕にはそんな大歌手のような歌は歌えませんが、それでも歌作りに加えて『歌うこと』にも面白さを見出して行けたらと思います。

ってなわけで、9/6(金)はどうぞ西荻窪へ!!!
加藤崇之さんの音色と歌心もたっぷり味わえます。

出演:喜多直毅(歌・ヴァイオリン)
   加藤崇之(ギター)
内容:喜多直毅作詞作曲による歌の数々

日時:2019年9月6日(金)18:30開場/19:30開演
会場:音や金時(西荻窪)
   東京都杉並区西荻北2-2-14喜志コーポB1
   03-5382-2020

料金:¥2,500+オーダー
予約:必要ありません。そのままお越し下さい。

ちなみに日本でも大好きな歌手が沢山いるのですが、多すぎて書ききれない…。
ただJ-Popでは《元気が出る、気合が入る、落ち込んだ時に聴く》という目的で聴き、例えばトータス松本さん、馬場俊英さんの歌は同世代で等身大の自分が歌の中に感じられて好きです。

2019年8月9日金曜日

喜多直毅クアルテット西日本ツアー2019:10/10神戸公演はダンサーの角正之さんと共に!!!

【喜多直毅クアルテット西日本ツアー・神戸公演】
10/10喜多直毅カル初の神戸公演!!!

ツアー初日となる10/10神戸公演では、コンテンポラリーダンスの角正之さん、レナート・レオさん、越久豊子さんの三名のダンサーの方々と喜多直毅クアルテットのコラボレーションを行います。

角正之(ダンス)
角正之(ダンス)

角正之さんとは昨年1月に久田舜一郎さん(小鼓)大島輝久さん(謡)との能楽公演でご一緒させて頂いた他、神戸での即興パフォーマンス、翠川敬基さん(チェロ)とのトリオでも共演させて頂きました。
身体に漲る静と動のエネルギー、ドラマティックな表現に大きなインパクトを与えられました。
そこに何か喜多カルテットの音楽と相通ずるものを感じ、今回共演をお願い致しました。

これまで音楽のみの公演を中心に行って来たクアルテットですが、今年4月の矢萩竜太郎さんとのセッションではダンスとのコラボによる音楽の変容と異化に作曲者自身、大きな驚きと喜びを得ました。
今回の角さんとの共演でも音楽とダンスの反目・同化・分裂が現れ、刻々と変わりゆく様を体験して頂けるでしょう。

関西地方にお住いの皆さん、どうぞお誘い合わせの上、お越しくださいますようお願い申し上げます。
また首都圏にお住いの方も是非是非ご参加ください。
普段とは全く異なる喜多カルテットの音楽をお聴き頂けるに違いありません。

TANGO’s EIDOS(タンゴの形相)シリーズーVol 2
Naoki Kita音楽作品とダンスHomo Motion // [沈黙と咆哮の対話]


TANGO’s EIDOS(タンゴの形相)シリーズーVol 2  Naoki Kita音楽作品とダンスHomo Motion // [沈黙と咆哮の対話]


TANGO’s EIDOS(タンゴの形相)シリーズーVol 2  Naoki Kita音楽作品とダンスHomo Motion // [沈黙と咆哮の対話]


………………………………………
[ダンス対話の説明]
2000年、音と動きの同一場における「インタラクティブなエネルギー交換対位法」を可視化したインターフェイスー集団即興対
話(ZOYD.LOGUE)は角正之の作案で始まるアモルファスな即興ダンスフィールドです。複数以上の行為者同士間に同期的関係、差異的関係、超越的関係が生まれ、そして無関係も隠れています。
2018年、瞑想ボディアウェアネスワークの中で、宇宙と身体のホロフィールド、息の響き合う遊戯的対話(レンマ/Limma-ギリシャ哲学)を着想し、独自のHomo Motion(動態ダンス)を考案する。
※レンマ(Limma/ギリシャ哲学)/尋常じゃない論理、手でつかむ、具体的直感的に理解する。

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

   角正之(ダンス)
   レナート・レオ(ダンス)
   越久豊子(ダンス)

期日/10月月10日(木)
会場/CAP.Y3.5Fホール(海外移住と文化の交流センター)
650-0003 神戸市中央区山本通3-19-8
TEL.FAX=078-222-1003
email=info@cap-Kobe.com/ URL=http://www.cap-kobe.com/

時間/18:30(開場)、19:00(開演)
料金/3500円(前売)、4000円(当日)
申込/:CAP(下田)TEL.FAX=078-222-1003
email=info@cap-Kobe.com/ URL=http://www.cap-kobe.com/
:DCP(角)TEL=090(3622)1625 email=sumish@kazemai.com

主催/C.A.P(芸術と計画会議)
共催/D.C.P(ダンスキャンププロジェクト)

2019年8月8日木曜日

8月17日(土)は喜多直毅/田中信正/西嶋徹トリオ@雑司が谷エルチョクロ!!!

喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス) 2019年8月7日@松本弦楽器でのリハーサル
喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス)
2019年8月7日@松本弦楽器でのリハーサル

田中信正さん(ピアノ)、西嶋徹さん(コントラバス)とはここ数年、それぞれデュオとしてライヴを重ね、アルバムも一作品作って来ました。

喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ) 2018年4月14日@雑司が谷エル・チョクロ
喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)
2018年4月14日@雑司が谷エル・チョクロ

喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス) “L'Seprit de L’ENKA”録音風景 2019年2月27日@日本音響エンジニアリングAGS Lab
喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)
“L'Seprit de L’ENKA”録音風景
2019年2月27日@日本音響エンジニアリングAGS Lab

最初は全く別のデュオとして考えていたのですが、次第に演奏の世界観が被って来ました。
それは曲目のジャンルが被って来たというよりも、音楽の色合いとか風景、曲の根底にある心情などが似通って来たという意味です。

これは僕の不器用さにも原因があるのですが、自分が選曲やアレンジやディレクションを行っていると、別々のユニットやプロジェクトでも何だか似通って来てしまう。
(本質が一緒だからかも知れません。)
しかし田中さんと西嶋さんという素晴らしいミュージシャンは、ともすると同じ色・同じ味になりがちな僕のアレンジに別のアングルから光を当て、風を吹き入れてくれる。
僕の意図を良い意味で裏切ってくれるわけですが、この裏切りの塩梅にも加減が必要で、彼らのは絶妙と感じることしきりです。

田中さんと2017年に発表したアルバム“Contigo en La Distancia -遠く離れていても-”ではラテン音楽を、西嶋さんと今年発表したアルバム“L'Seprit de L’ENKA”では日本の演歌や叙情歌を収録しました。
今回はこの二つのデュオのレパートリーをトリオで演奏したいと思いますが、より一層カラフルになった音楽をお楽しみ頂けると思います。

昨日三人でリハーサルを行いました。
田中さんの繊細で煌びやかなピアノの加わった『五木の子守唄』、西嶋さんの柔らかく深い音色で奏でられるファド『アルファーマ』。
音を出してみて確信を抱きました。
ぜひ多くの方にお聴き頂きたいトリオです。

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   田中信正(ピアノ)
   西嶋徹(コントラバス)
内容:暗く深いラテン音楽の数々

日時:2019年8月17日(土)18:30開場/19:30開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:ご予約¥4,000 当日¥4,500
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)

ちなみに二つのデュオのアルバム、どちらもハイレゾダウンロード方式でお求め頂けます。
お聴き頂けますと幸いです。

喜多直毅&田中信正『Contigo en La Distancia ~遠く離れていても~』

喜多直毅&田中信正『Contigo en La Distancia ~遠く離れていても~』
喜多直毅&田中信正『Contigo en La Distancia ~遠く離れていても~』

OTVA-0014 ¥2,500+税
01 Naufrágio ナウフラージオ(難船)
02 Olha Maria オーリャ マリア
03 Soledad 孤独(ソレダー)
04 Chorinho Pra Ele ショリーニョ プラ エレ
05 Chiquilín de Bachín チキリン デ バチン(バチンの少年)
06 O Voo da Mosca 蚊の飛行
07 Eu the amo エウ チ アモ(I love you)
08 Alfonsina y El Mar アルフォンシーナと海
09 Contigo en La Distancia 遠く離れていても
RME Premium Recordings(高品質ハイレゾ音源ダウンロード販売)


喜多直毅&西嶋徹『L'Seprit de L’ENKA』

喜多直毅&西嶋徹『L'Seprit de L’ENKA』

UNAMAS 3,000円
1. 舟歌(浜圭介)
2. 赤い橋(山木幸三郎)
3. アリラン(朝鮮民謡)
4. 悲しい酒(古賀政男)
5. アカシアの雨がやむとき(藤原秀行)
6. ソルヴェイグの歌(Grieg E.Hagerup)
7. 五木の子守歌(熊本民謡)
8. ふるさと(岡野貞一)
e-onkyo music(高品質ハイレゾ音源ダウンロード販売)

皆さん、どうぞ宜しくお願いします!

2019年7月17日水曜日

挫折と初心と喜多クアルテット

齋藤徹さんが亡くなって暫く経ちました。
これまでの歩みを振り返って、徹さんとの出会いは自分の人生の中でとても大きく、それだけに逝ってしまった事も大きな出来事です。
徹さんとの別れが自分の音楽人生の一つの節目ではないかと最近強く感じています。

この10年間、音楽活動に様々な事があったように、プライベートな生活にも大きな出来事が多々ありました。
寧ろプライベートな生活の方にこそ、巨大地震があり大津波があったと言って過言ではありません。
音楽活動は実は影のようなもので、実生活はもっとドラマティックで波乱に満ちたものでした。
いつの日か、この日々にどんな事を経験したか詳しく記したいと思っています。
それはきっと様々な人の役に立つ文章になると信じているからです。
しかし今はまだ伏せておきます。

ただ少しだけ、10年前のことを思いつくままにラフに書いてみたいと思います。
人様に迷惑をかけない範囲で、です。

2009年4月13日、10年前の演奏姿。翠川敬基さんのバンド“緑化計画”のライヴ。
@アケタの店(東京・西荻窪)

様々な人に出会いました。
両親から虐待され、40歳を過ぎてもその呪縛から逃れられずに苦しむ男性。
他者との関係だけではなく自分自身との関係がうまく築けずに悩んでいました。
彼とは何度か実際に会って色々な話をしたり、カラオケに行ったりしました。
高学歴なのに、能力があるのに、一度人生で躓いてしまった。
それが元で職を失い、家族を支えるためアルバイトスタッフとして不本意な仕事をしている。
それは社員さんに郵便物を配って回る仕事でした。
「仕事があるだけ感謝」と言って、自分自身の今の姿を何とか受け入れようとしていました。
めげつつもめげない様に、負けそうになりながらも負けない様に…、まるで嵐に揺れる一本の草のごとく生きている人でした。

拒食症の女性もいました。
彼女ともたまに会って食事をしたり、カラオケに行ったりしました。
旦那さんとの関係を断ち切って新しい人生を歩みたいのに、どうしても“元の鞘”に戻ってしまう。
そんな自分が嫌で嫌で仕方がないと言っていました。
別の女性は子供の頃にイジメにあった経験がトラウマとなり、ずっと引きこもっていました。
やっと外に出られる様になり、社会との関わり作りのリハビリとして、ホームレスの人たちの売る雑誌を買い彼らの話し相手になっていました。

入谷や竹ノ塚、梅島にも思い出があります。
そこには自分で自分の人生を台無しにしてしまった人たちがいました。
一度落ちるところまで落ちてやっと立ち直ったかと思うと、自らまた元の泥沼に戻ってしまうのです。
彼らの濁った目を忘れることが出来ません。
その目は単に濁っているのではなく、救いを求める弱い者の目でした。
殴られそうになった時、自分を庇う腕。
その腕の下から相手を見上げる時の、あの目です。

ある男性は奥さんに離婚を突き付けられました。
理由は彼が奥さんに暴力を振るうからです。
彼は何とか暴力を止めるべく努めていたのですが、「あなたは何も分かっていない!!!」とある女性から激しくなじられました。
返す言葉もなく額に脂汗を滲ませながら、彼はその場に立ち尽くしていました。
その女性もかつてパートナーから暴力を受けて、心に深い傷を負っていたのです。
彼は「人間失格」という烙印を押され、そして自らそう名乗ることでその場は許され、項垂れて帰って行きました。
後から知ったのですが、その女性は妻子ある男性と不倫関係にありました。
僕は何だか釈然としませんでした。

ここに書いた人たち以外にも様々な人に出会いました。
心の病と貧困に苦しむ人。
真夏の東京でエアコンもなく、板橋のゴミゴミした街路の奥に彼は暮らしていました。
近所のマンションには別れた奥さんが娘と暮らしており、たまに娘に会えることだけが楽しみだと言っていました。
抗うつ剤をビールで流し込んでいるので、酒と薬を一緒に飲むのは良くないと忠告すると「お前は真面目過ぎる」と言われました。

列挙してみると、所謂“不幸”な人たちですが、彼らからするとこの僕も“不幸”に見えたかも知れません。
実際、心の有り様や暮らしぶりは大して彼らとは違いなかったのではないかと思うのです。
彼らは社会や人間関係から孤立した人達。
世の中で尊ばれる価値観から遠く離れた人達。
自分なんかこの世に必要のない存在だと感じている人達。
そんな彼らと出会ったのは僕にとって意味のあることだったのでしょう。

10年前の僕の状態を一言で言い表すとすれば、それは挫折です。
僕は、挫折は誰にでもあり得ることで、それなくしては人間は成長しないと思っています。
挫折の只中は決して気分の良いものではありません。
しかしそれを通してしか分からないことがあり、後に人間に深みを与え、人生の大きな財産になり得る。
その輝きは決して人目を引くほど煌びやかではないかも知れない。
しかし心の目で見た時に分かる。
その人生は薫り高い。

潮が引く様に周囲から人が去っていく。
僕はそれを経験しました。
あぁ本当にこういうことがあるんだと一人呆然としていました。
去っていった人たちを恨みもしました。
しかし同時に、その人たちもそうせざるを得なかったんだと、自分を納得させることに努めました。
そして自分も間違っていた、自分の方が悪かったんだと次第に分かってきた。
(ここ数年です、やっと彼や彼女が去っていった理由が腑に落ちて恨みが消えたのは。)

実際、彼ら(上に書いた人達)が今どこでどうしているかは分かりません。
しかし悩みや問題が少しでも解決出来ていて、明るく暮らしていてくれればと願います。
そして人生の谷間を歩んだ経験がきっと彼らを幸せに導くと信じています。

世の中には躓き倒れる人がいる。
しかし起き上がる人だっている。
僕はその両方に向けて音楽をやりたいと思っています。
否、人に向けてというよりも、僕も躓き起き上がる人間として、自分が聴きたい音楽がやりたい。
それが喜多クアルテットの音楽です。

冒頭の話に戻りますが、僕は喜多クアルテットも一つの節目ではないかと思っています。
このグループを始めた頃は聴く人はまだまだ少なかった。
しかしそんなことは一つも気になりませんでした。
客席が空いていても、会場には気持ちや願いが満ちていて、ただ音楽がありさえすれば良かった。
メンバー達のエネルギーによって音楽は燃焼し、まるで黒い蒸気機関車の様に疾走しました。
僕は演奏で滅多に汗をかきませんが、このグループのライヴの後はシャツがびっしょりと濡れ、着替えの下着が必要なほどでした。

喜多直毅クアルテット結成後二度目の公演『新・東北音楽紀行』  喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)  2011年4月23日@渋谷・公園通りクラシックス
喜多直毅クアルテット結成後二度目の公演『新・東北音楽紀行』
喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)
2011年4月23日@渋谷・公園通りクラシックス

今、結成当時とそっくりそのまま同じ様にやろうとは言いませんが、やはり初心忘れるべからず。
自分がなぜこのグループを始め、何をやりたくてここまで来たのか。
改めて問い直す時期に来ているのかも知れません。

前回の記事でも書きましたが、今回の公演タイトルには丁度『青春』という言葉を使いました。
初心云々を込めて付けたタイトルではありませんが、このグループが若かった頃、言うなればクアルテットの青春時代をもう一度思い巡らしたい。
そしてあの頃の姿勢に立ち返るべく、今回の公演を行いたいと思います。
ある意味、再出発となろう公演です。
皆さま、是非お出かけください!

◉7/24夜 喜多直毅クアルテット『青春の立像』 ~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~(永福町)


喜多直毅クアルテット『青春の立像』~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~  喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)  2019年7月24日@sonorium
喜多直毅クアルテット『青春の立像』~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~
喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)
2019年7月24日@sonorium

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲とヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

技巧・楽曲構造・感情の発露の全面にわたり、大きな振れ幅をもつのが魅力のユニットであるが、同等な存在感をみせつけるのは、音楽の増幅の狭間から覗く現実感たっぷりのざらついたテクスチュアである。楽器と肉体との接合の在り様か。「いぶし銀」という単語も近くて遠い。ノイズとも異なる。プリペアド奏法やそれらが生む掠れや軋みや沈黙、さまざまな様式の諸要素をはらみつつ、感情面では喜怒哀楽が同期する。苦悩や贖罪意識、希望がないまぜに膨れ上がる。ハードなドライヴ感ではあるが、何かに突き動かされて前進せずにはおれないような逼迫感に貫かれる。
文章:伏谷佳代
JazzTokyo #12019年7月24日喜多直毅クアルテット@ソノリウム公演069 3/3 喜多直毅クァルテット二日連続公演『詩篇』ー沈黙と咆哮の音楽ドラマー』

日時:7月24日(水)19:00開場 19:30開演
会場:ソノリウム(永福町)
   168-0063 東京都杉並区和泉3-53-16 
   TEL 03-6768-3000
   京王井の頭線 永福町駅下車(北口) 徒歩7分 
   東京メトロ丸の内分岐線 方南町駅下車 徒歩10分

料金:予約¥4,000/当日¥4,500

ご予約/お問い合わせ
◾︎メール:violin@nkita.net
※メールタイトルは「喜多直毅クアルテット7/24予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

◉ ご予約に際しての注意事項
・ご予約の締め切りは公演前日7月23日深夜24:00までとさせて頂きます。
・10歳以下のお子様のご入場はお断りする場合がございます。

主催・企画制作:喜多直毅
制作アシスタント:山本悦子
フライヤーデザイン:山田真介

2019年7月15日月曜日

来週水曜日(7/24水)は喜多直毅クアルテット『青春の立像』!!!

喜多直毅クアルテット
喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)

危うく『青春の蹉跌』と書くところでした。
違います、『青春の立像』です。

いきなりですが、人間の身体に胸郭ってありますよね?
僕にはこれが鳥籠に見える。



この中に人は一羽の鳥を飼っており、強い思いや願いを抱く度、鳥籠の中で暴れ騒ぐ。
そして胸を突き破って外に飛び立とうとする。
この鳥の持つエネルギーを青春と呼びたいのです。
とてもとても強いエネルギーです。

皆さん、カラスを間近で見た事がありますか?
案外大きいですよね。
嘴も大きく、鋭く、強そう。
そして声も間近で聞くと思いの外大きくて驚く。

いつだったか怪我をしたカラスが道で踠いていて、バサバサと羽ばたきをしていました。
ごめんなさい、動物病院へは連れて行きませんでした。
正直、気持ち悪いと思ってしまいました。
でもその羽ばたきの異常なまでの強さは今でも強く印象に残っています。

人間は胸郭の中に、この強い羽と大きな鳴き声を持った鳥を飼っている。
大半の人がこの鳥を無事に飼い慣らして生きていく。
エネルギーを建設的でポジティブな方向に向け、他者と睦み合い、自己実現を叶えていく。

でもそれが出来ない人たちもいて、彼らは胸の中の鳥同様、悲鳴を上げたり暴れたりする。
暗いエネルギーが暴発し、時に雑踏に車で突っ込んで人をナイフで刺したりもする。
警官から拳銃を奪い、罪なき人を撃つ。
またある人たちは鳥籠から羽ばたくことが出来ず、長い間、閉ざされた日々を送る。
鳥籠の中は掃除されず、腐り果てた餌や糞でいっぱいなのです。

負のエネルギー・鬱屈としたエネルギーこそ、僕が音楽にしたいものです。
それは何故か?
問題があると思うからです。
この問題が気になって仕方がない。
この問題は音楽でどうにか出来るわけではない。
しかし問題がある限り、僕はそれを看過できず、やっぱり音楽を通して触れてみたい。

僕は別にルポライターでもドキュメンタリー作家でもなく、評論家でも犯罪心理学者でもない。
文学の人間でもない。
ただのヴァイオリン奏者に過ぎないのだから、何もこんな問題に題材を得なくても良いのです。

しかし自分の胸郭にも、もがく鳥がおり、それは今尚胸を突き破らんばかりに暴れている。
このエネルギーは何だろう?
もう50歳も目前となり、この歳で“青春”と自分の居場所を呼ぶのも恥ずかしいことだと了解しています。
しかし相変わらず挫折や失敗や他者との諍いを繰り返しても学ぶことのない僕は、未だに愚かな鳥を胸郭に秘めているのだと思っています。
だがこの鳥の声からメロディを、羽ばたきからリズムを得ることが僕にとっての音楽の作り方です。

本当はこの作り方は良くありません。
音楽をエゴで満たしてしまうから。
そして自分自身をも不健康にするからです。
しかしこんな作り方しか出来ない…。
(ここから先はキリスト教の領域。)

青春とはもがくエネルギー。
青春とはのたうつ力。
青春とは喉から血が出るほどの叫び。
青春とは閉ざされた内面に充満する黒い煙。
決して若さのことだけではない、鳥籠の中の有様・行為・思考。
青春、それは傷ついて血を流すこと。
社会で”生”から遠く“死”に近い人々が世を藪睨みをする、その眼力の強さ。

今まで何度も喜多カルテットの公演を行ってきました。
毎回異なるテーマを掲げて。
しかし僕が音楽でやりたい事、それは結局一つなのです。
毎回視点を変えるだけ。
曲調が変わっても描きたいものは一つ。
それはやっぱり”人間”なのです。

◉7/24夜 喜多直毅クアルテット『青春の立像』 ~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~(永福町)

喜多直毅クアルテット『青春の立像』~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~ 喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス) 2019年7月24日@sonorium
喜多直毅クアルテット『青春の立像』~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~
喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)
2019年7月24日@sonorium

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲とヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

技巧・楽曲構造・感情の発露の全面にわたり、大きな振れ幅をもつのが魅力のユニットであるが、同等な存在感をみせつけるのは、音楽の増幅の狭間から覗く現実感たっぷりのざらついたテクスチュアである。楽器と肉体との接合の在り様か。「いぶし銀」という単語も近くて遠い。ノイズとも異なる。プリペアド奏法やそれらが生む掠れや軋みや沈黙、さまざまな様式の諸要素をはらみつつ、感情面では喜怒哀楽が同期する。苦悩や贖罪意識、希望がないまぜに膨れ上がる。ハードなドライヴ感ではあるが、何かに突き動かされて前進せずにはおれないような逼迫感に貫かれる。
文章:伏谷佳代
JazzTokyo #12019年7月24日喜多直毅クアルテット@ソノリウム公演069 3/3 喜多直毅クァルテット二日連続公演『詩篇』ー沈黙と咆哮の音楽ドラマー』

日時:7月24日(水)19:00開場 19:30開演
会場:ソノリウム(永福町)
   168-0063 東京都杉並区和泉3-53-16 
   TEL 03-6768-3000
   京王井の頭線 永福町駅下車(北口) 徒歩7分 
   東京メトロ丸の内分岐線 方南町駅下車 徒歩10分

料金:予約¥4,000/当日¥4,500

ご予約/お問い合わせ
◾︎メール:violin@nkita.net
※メールタイトルは「喜多直毅クアルテット7/24予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

◉ ご予約に際しての注意事項
・ご予約の締め切りは公演前日7月23日深夜24:00までとさせて頂きます。
・10歳以下のお子様のご入場はお断りする場合がございます。

主催・企画制作:喜多直毅
制作アシスタント:山本悦子
フライヤーデザイン:山田真介

2019年7月11日木曜日

タンゴ関連の演奏後記とお知らせ

このところアルゼンチンタンゴのライヴが続きました。
6/28は池田みさ子さん(pf)早川純さん(bn)とのトリオ、6/30は北村聡さん(bn)松永裕平さん(pf)と自分がリーダーのトリオ、7/6は京谷弘司さん(bn)淡路七穂子さん(pf)チヅコ&エセキエルのお二人(dance)とディナーショー、7/7はレオナルド・ブラーボさん(gt)とのデュオ。
それぞれ楽しいライヴとなりました。
自分がリーダー or 半分リーダーとして行ったライヴは満席にして頂き大変嬉しかったです!

喜多直毅タンゴトリオ: 喜多直毅(ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)松永裕平(ピアノ) 2019年6月30日@雑司が谷エルチョクロ
喜多直毅タンゴトリオ:
喜多直毅(ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)松永裕平(ピアノ)
2019年6月30日@雑司が谷エルチョクロ

喜多直毅タンゴトリオ: 喜多直毅(ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)松永裕平(ピアノ) 2019年6月30日@雑司が谷エルチョクロ
喜多直毅タンゴトリオ:
喜多直毅(ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)松永裕平(ピアノ)
2019年6月30日@雑司が谷エルチョクロ

喜多直毅(ヴァイオリン)Leonardo Bravo(ギター) 2019年7月7日@雑司が谷エルチョクロ
喜多直毅(ヴァイオリン)Leonardo Bravo(ギター)
2019年7月7日@雑司が谷エルチョクロ

喜多直毅(ヴァイオリン)Leonardo Bravo(ギター) 2019年7月7日@雑司が谷エルチョクロ
喜多直毅(ヴァイオリン)Leonardo Bravo(ギター)
2019年7月7日@雑司が谷エルチョクロ

どうも僕はタンゴに、というかタンゴヴァイオリンに保守的なところがあり、タンゴヴァイオリンとはこう言う音色でなくてはダメだとかこう言うフレージングじゃなくてはダメだと思ってしまう。
それは単純に自分がCDや生演奏で聴いた巨匠タンゴヴァイオリニストたちの言わば『亡霊』なのですが、実際の自分はそのようには弾けない。
演奏技術も音楽性も断然劣る。

そして僕の中にはタンゴヴァイオリンと規定しているのとは全く異なる絵の具があって、それをタンゴに使ってはダメだと信じ込んでいる。
例えばノイズだったり、荒々しいジプシーフィドル的なボウイングだったり。
タンゴは『型』や『スタイル』の強い音楽なので、そこから逸脱することを恐れているのです。
とりあえずその『型』や『スタイル』を脇に置いて、『もう逸脱しても良いや、何か自分流の“タンゴ”が生まれれば』と思って始めたのが喜多直毅クアルテットでした。
それはタンゴに聴こえなくても良いし、もはや自分の中でタンゴで無くなっても良い。
自分にとってのリアリティと必然性に満ちた音楽ならばそれで構いません。

最近再び型のあるタンゴを弾くことが多くなり、この音楽に対する感じ方が前と少し変わって来ているのは確かです。
とにかく“今・ここ”で音楽が生み出されている感覚さえあれば、ジャズでもタンゴでもクラシックでも、それは“時間の無い時間”となり、素晴らしいものなんだと思えるようになりました。
この感覚が無ければ、どんなに型通りにタンゴを弾いていてもつまらない演奏になってしまうのではないか。

とにかく今は難しい問いだとかモヤモヤは頭の中から追い出して、ただタンゴを楽しもうと思っています。
やっぱり素晴らしい音楽だし、弾いていて楽しい。
一緒に演奏してくれる仲間がいること、誘ってくれる方がいること、会場に足を運んで下さる方がいてくれることは本当に嬉しいものです。


さて先日のブラーボさんとのライヴにはわざわざ地方からあるタンゴヴァイオリニストが聴きに来てくれました。
彼は僕よりも五歳年下ですが、タンゴに関しては僕以上に研究を重ね、ヴァイオリン独奏によるタンゴ曲のアレンジや録音も行っている。
またクラシックも弾きこなし、最近ではジャズや即興演奏にも精力的に取り組んでいます。
僕よりも確かなテクニックを持っていると思います(ちょっと嫉妬)。
その彼がライヴに足を運んでくれたことがとてもとても嬉しかった。

まだ宿泊するホテルを予約していないと言うし、東京都心のビジネスホテルでも結構な値段がする。
と言うことでウチに泊まってもらいました。
色々な話、音楽・演奏・タンゴについての話から、プライベートな話、はたまた下ネタまでw深夜まで話しました。
実は僕にはこう言う話が出来るタンゴヴァイオリニストが余りいなくて、寂しい寂しい人間なのです。
と言うかこれも長く鎖国政策をとって来た自業自得の結果なのですが。

僕はどうも先輩風を吹かせたり上から目線になってしまいがちなのですが、どうだったんだろう???
嫌じゃなかったかな。
前に彼からレッスンを頼まれたことがあるのですが、いえいえ、僕にレッスンできるほどのものはありません…。
寧ろヴァイオリンの基礎を教えて欲しいくらいです。

でも一つ言えるのは、もし僕がレッスンをするとしたら自分の失敗談を包み隠さず伝えることです。
奏法とかではなく、こう言う気持ちで音楽に向き合っていたら痛い目にあった、とか。
音楽面に限らず、こう言う生き方をしていたら挫折・破綻に至ったとか。
そういう話ならいくらでもあります。

とにかく彼と夜更けまで話せたことがとても嬉しかった。
今度はぜひ彼のライヴに行ってみたいと思っています。


さてさていつもの記事と同様、ここからは宣伝コーナー。
いくつかタンゴ演奏の予定が決まっています。
それぞれ皆さんのスケジュール帳にマークしておいて頂けると嬉しいです!!!

◉7/3午後 京谷弘司タンゴトリオ(銀座)


京谷弘司トリオ タンゴライブ 京谷弘司(バンドネオン)淡路七穂子(ピアノ)喜多直毅(ヴァイオリン) 2019年8月3日@銀座リベルタンゴ
京谷弘司トリオ タンゴライブ
京谷弘司(バンドネオン)淡路七穂子(ピアノ)喜多直毅(ヴァイオリン)
2019年8月3日@銀座リベルタンゴ

出演:京谷弘司(バンドネオン)
   淡路七穂子(ピアノ)
   喜多直毅(ヴァイオリン)
内容:アルゼンチンタンゴ
日時:2019年8月3日(土)13:30開場/14:30開演
会場:GINZA LIBERTANGO(銀座)
   東京都中央区 銀座5-10-6 第一銀座ビル7F
   03-6875-9899
   料金:予約¥4,000/当日¥4,500(+1ドリンクオーダー)
予約:03-6875-9899 / 090-3471-1317
         saeyjuan@yahoo.com


◉10/27 喜多直毅タンゴトリオ(府中)


『耳のごちそう』vol.3 極上のタンゴ:喜多直毅タンゴトリオ 喜多直毅(ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)松永裕平(ピアノ) 2019年10月27日@IN VINO VERITAS(府中)
『耳のごちそう』vol.3 極上のタンゴ:喜多直毅タンゴトリオ
喜多直毅(ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)松永裕平(ピアノ)
2019年10月27日@IN VINO VERITAS(府中)

『耳のごちそう』vol.3 極上のタンゴ
出演:喜多直毅タンゴトリオ
   喜多直毅(ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   松永裕平(ピアノ)
内容:アルゼンチンタンゴのスタンダード
日時:2019年10月27日(日)14:00開場/15:00開演/16:00終演予定
会場:IN VINO VERITAS(府中)
   東京都府中市本町1-1-7
   042-368-6368
料金:3,000円(ワンドリンク付き)※終演後、出演者と交流会を行います。
   全席自由
ご予約:ORT Music(オルト・ミュージック 黒田)kkyoko@ortopera.com042-334-3817
    SANTGRIA(サングリア 新井)info@santgria.jp 042-368-6368
    座席に限りがありますので、できるだけ事前にご予約ください。
主催:耳のごちそう実行委員会
共催:ORT Music/SANTGRIA

他に詳細はまだ未定ですが、レオナルド・ブラーボさんとのデュオが10月、京谷弘司さんのトリオでの演奏が11月に予定されています。
会場はどちらも東京のタンゴの殿堂・雑司が谷エルチョクロ。

おっと、それと忘れちゃならねぇ!!!
今月行われる喜多直毅クアルテットです!!!

オーソドックスなタンゴのスタンダードを演奏するわけではありません。
全曲僕のオリジナルです。
これまで『タンゴの喜多直毅』を聴いて下さった方にも是非一度足を運んで頂きたいコンサートです。
どこかにタンゴをエッセンスとしつつも、それだけではない熱い音楽をお届けします!!!

今回のコンサートテーマは青春。
迸るエネルギー、情熱、そして謳歌。
それと同時に葛藤や迷い、苦悩や闘い。
果てしなきものへの憧れ。
それらを音楽で表現したいと思います。

◉7/24夜 喜多直毅クアルテット『青春の立像』 ~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~(永福町)


喜多直毅クアルテット『青春の立像』沈黙と咆哮の音楽ドラマ 喜多直毅クアルテット: 喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン) 三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス) 2019年7月24日@sonorium(永福町)
喜多直毅クアルテット『青春の立像』沈黙と咆哮の音楽ドラマ
喜多直毅クアルテット:
喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)
三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス)
2019年7月24日@sonorium(永福町)

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲とヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

技巧・楽曲構造・感情の発露の全面にわたり、大きな振れ幅をもつのが魅力のユニットであるが、同等な存在感をみせつけるのは、音楽の増幅の狭間から覗く現実感たっぷりのざらついたテクスチュアである。楽器と肉体との接合の在り様か。「いぶし銀」という単語も近くて遠い。ノイズとも異なる。プリペアド奏法やそれらが生む掠れや軋みや沈黙、さまざまな様式の諸要素をはらみつつ、感情面では喜怒哀楽が同期する。苦悩や贖罪意識、希望がないまぜに膨れ上がる。ハードなドライヴ感ではあるが、何かに突き動かされて前進せずにはおれないような逼迫感に貫かれる。
文章:伏谷佳代
JazzTokyo #12019年7月24日喜多直毅クアルテット@ソノリウム公演069 3/3 喜多直毅クァルテット二日連続公演『詩篇』ー沈黙と咆哮の音楽ドラマー』

日時:7月24日(水)19:00開場 19:30開演
会場:ソノリウム(永福町)
   168-0063 東京都杉並区和泉3-53-16 
   TEL 03-6768-3000
   京王井の頭線 永福町駅下車(北口) 徒歩7分 
   東京メトロ丸の内分岐線 方南町駅下車 徒歩10分

料金:予約¥4,000/当日¥4,500

ご予約/お問い合わせ
◾︎メール:violin@nkita.net
※メールタイトルは「喜多直毅クアルテット7/24予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

◉ ご予約に際しての注意事項
・ご予約の締め切りは公演前日7月23日深夜24:00までとさせて頂きます。
・10歳以下のお子様のご入場はお断りする場合がございます。

主催・企画制作:喜多直毅
制作アシスタント:山本悦子
フライヤーデザイン:山田真介


以上、タンゴ関連のお知らせでした。
皆さん、どうぞ宜しくお願いします!!!

2019年7月4日木曜日

7月7日(日)は雑司が谷エルチョクロで喜多直毅&レオナルド・ブラーボ

2018年8月25日喜多直毅(ヴァイオリン)レオナルド・ブラーボ(ギター) 雑司が谷エルチョクロ
2018年8月25日喜多直毅(ヴァイオリン)レオナルド・ブラーボ(ギター)
雑司が谷エルチョクロ

七夕の日の午後、レオナルド・ブラーボさんとのデュオライヴを行います。
会場は雑司が谷エル・チョクロ。
時間は14:00開場15:00開演です。
(まだお席に余裕がございますのでどうぞお誘い合わせの上お越し下さい!)

ブラーボさんとのデュオライヴはもう3回目になりますが、初めてお会いしたのはもう10年以上前かも知れません。
小松亮太さん(バンドネオン)、そしてつい先日共に作ったデュオアルバムをリリースしたばかりの西嶋徹さん(コントラバス)とのクアルテットで全国各地でコンサートを行いました。
何とYouTubeに大阪で行った10年前の演奏の動画がありました!(バンドネオンは早川純さん、コントラバスは田中伸司さんです。)


それから暫くブランクがあり、昨年こちらからお声がけして久々の共演につながりました。

ブラーボさんは素晴らしいところはやはり音色の美しさと、そして響きのコントロールが巧みなところだと思います。
ブラーボさんとのデュオの為に僕も安いギターを買って下手なりに弾いたりしてみたのですが、ギターの魅力とは弾いた音そのものだけではなく、弾いた後の残響をどう処理するのかにもあったんですね!
弾いた後の残響を残しつつ次の音を弾くことによって、そこに音のレイヤーが生まれるのです。
特にブラーボさんのギターソロを聴いていてその美しさと面白さに気づきました。
こんなふうに気付かせてくれるブラーボさん、やはり凄い人です。

7/7はピアソラ作品『忘却』や定番『タンゴの歴史』の他、僕が編曲をさせて頂いた『カミニート』や『ロス・マレアドス』、『パロミータ・ブランカ』も演奏予定です。
タンゴの好きな方、ピアソラの好きな方、ギターファンの皆さん、きっとお楽しみ頂ける内容になると思います。
前回も前々回も大好評でしたので、是非お越し下さい!
どうぞよろしくお願いします!

【7/7(日)喜多直毅(ヴァイオリン)レオナルド・ブラーボ(ギター)】
出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   レオナルド・ブラーボ(ギター)
内容:アストル・ピアソラ作品、古典タンゴ、etc.
日時:2019年7月7日(日)14:00開場/15:00開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョク
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539
料金:ご予約¥3,500 当日¥3,800
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)

喜多直毅&西嶋徹アルバム『L'Seprit de L'ENKA』リリース!!!

コントラバス奏者の西嶋徹さんと共に今年2月末に録音した『L'Seprit de L’ENKA』がリリースされました。
このアルバムはCDではなくハイレゾダウンロード配信ですがぜひ多くの方にお聞き頂きたい…、そんな作品です。

L' Esprit de l’ ENKA UNAMAS 喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)
L' Esprit de l’ ENKA
UNAMAS
喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)

L' Esprit de l’ ENKA

(試聴も可能です。)
Naoki Kita, Toru Nishijima
UNAMAS
2019/06/30
(P)2019 沢口音楽工房
(C)2019 沢口音楽工房
3,000円

収録曲:
・舟歌
・赤い橋
・アリラン
・悲しい酒
・アカシアの雨がやむとき
・ソルヴェイグの歌
・五木の子守歌
・ふるさと

アルバムタイトルは直訳すれば『演歌の精神』。
その名の通り、日本の演歌の名曲と演歌的な情念や『泣き』の込められた歌を収録しました。
八代亜紀さん、美空ひばりさん等、演歌の女王たちの代表曲や、70年代から長きにわたり日本のアンダーグラウンドシーンの女王として黒い輝きを放った浅川マキさんの名曲を、オリジナルアレンジで演奏しています。
また六曲目にはグリーグの名曲『ソルヴェイグの歌』をコントラバスソロで収録。
この曲目の中にあって異色のナンバーですが、西嶋さんの深みのある豊かな音色、そして歌心をたっぷりと味わっていただけると思います。

最近は様々なシンガーや演奏家が昭和歌謡のカバーを行っています。
昭和時代にはそれ程多くの名曲が存在したということでしょう。
今回のアルバムでもコンセプトとして昭和時代の歌を取り上げてはいますが、編曲を担当した僕としては『ヴァイオリンとコントラバスのアンサンブル』という点に重きを置きたかった。
即興演奏シーンでは決してヴァイオリンとコントラバスのアンサンブルは珍しいものではありません。
しかし『歌物』、しかも日本の演歌のカバー集としては、全く異色の、そしてチャレンジングな作品と言えるでしょう。

作品作りにあたっては、殊に西嶋さんの豊かな響きと、彼のソロアルバムで発見したノイズやエクスペリメンタルなサウンドを活かすようなものにしたいと思いました。
実は彼の新たな側面(エクスペリメンタルなアプローチ)を知ったのは割とレコーディングの直前、編曲の最終段階で、もっと早く彼のそう言った面を知っていれば更に多彩なサウンドに溢れた作品作りが行えていたのではないかと少し反省しています。
しかしそれでもなお本作品には彼の様々な表現が随所に現れており、西嶋ファン必聴の出来となっています。

今まで西嶋さんと共同作業を行うことは余りなかったのですが、彼の音楽に対する真摯な姿勢にはとても心打たれるものがありました。
また音楽以外でも、彼が様々なことに興味を持ち、人間の歴史や社会の有り様に対してユニークな視点を抱いていることがリハーサル時の雑談から分かりました。
ミュージシャンとして優れていることは前から知っていましたが、音楽だけではなく、音楽を取り巻く人間社会の有り様にも目を向けている西嶋さんと協働できることは大きな喜びでした。
また同世代と仕事をする機会がめっきり無くなってしまった僕にとって、一つ違いの彼と音楽作りができることも嬉しかったです。
何度もリハーサルに付き合ってくれ、僕の拙い編曲にもちゃんと向き合ってくださった西嶋さんに改めて感謝を申し上げたいと思います。

喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス) 2019年2月27日レコーディング風景 日本音響エンジニアリング株式会社 Sound Lab (AGS studio)
喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス)
2019年2月27日レコーディング風景
日本音響エンジニアリング株式会社 Sound Lab (AGS studio)

さて以下に僕が今回のライナーノーツに綴った文章を引用したいと思います。

今回ミックさん(録音エンジニア・プロデューサー)からアルバム制作のお話を頂き、話し合った末、コンセプトはインストによる『演歌』と決まりました。但し演歌と言っても、収録曲は日本の歌に限定せず、“演歌の精神”を持つ曲ならば世界中のどんな曲でも良いということになりました。
しかし実際の選曲はそう簡単ではありませんでした。

そもそも演歌の精神とは何か?
涙、酒、慕情、港町、ふるさと。これらは演歌の歌詞の頻出ワードです。ファドやタンゴの歌詞とも少し共通するかも知れません。言葉一つや比喩一つに込められているのは生きる悲しみ、やるせなさ、失ったものへの追憶、届かぬ慕情などではないかと思います。人生には暗い夜があり、坂道があり、寒々しい冬がある。人が人生の谷間で膝を抱える時、寄り添い共に涙してくれる歌、或いは聴き手の方が心を委ねられる歌、それが演歌ではないかと思います。“聴こえ”は決して明るくはなく物悲しい。しかし、だからこそ誰もが心に宿す影の部分に深く入り込んでくれるのではないでしょうか。器楽演奏には歌のことばはありません。しかし今回の作品作りにおいて、歌詞こそが編曲と演奏の出発点だったことを強調したいと思います。

レコーディングでは演歌以外にシャンソンやラテン音楽も演奏しました。しかしそれらのテイクは日本人が弾く日本の歌の強度に敵わず、結果、不採用となりました。実は演歌を弾き続けるうちに私の指がすっかり“和風”になってしまったのです。これではシャンソンもラテンも弾けない。バッハなどもってのほか。日本人演奏家が自国の歌謡に向き合う時、こんなに身体性が変わるものかと驚きました。

今回の録音のためにヴァイオリンは裸ガット弦を、コントラバスはそれに非常に近い弦を用いています。これらの弦は邦楽器に似たノイズ成分を含んでおり魅力となっています。その弦によって日本の情緒や心の機微を表現出来たらと思いました。

歌は世につれ世は歌につれ。この作品に収録された歌の大半が昭和時代に作られ、歌われたものです。昭和も遥か昔のように思われ、平成から令和へと年号が変わろうとしている今、本作品を通して問いたいことは日本人にとって歌とは何かということです。奏者にとっても聴き手にとっても、歌は心に誠実に向き合った時に始まるもの。現代を生きる日本人は、昭和の演歌や叙情歌の傑作を聴いて、今でも胸を熱くし涙することがあるだろうか?また演奏家である私自身が歌というものに、そして心というものに誠実であるかという自問自答でもあります。
喜多直毅

そしてジャズ評論家の長谷川通教さんによる解説からの引用(抜粋)です。

1曲目から紹介していこう。まずは八代亜紀が1979年に歌った「舟唄」。おそらく誰もが喜多直毅の弾くヴァイオリンに度肝を抜かれるだろう。甘い音色のヴァイオリンで郷愁を……などとイメージしたら、強烈なカウンターを食らう。かすかに聴こえるイントロは、押し殺すような呻き声。西嶋徹のベースは意図的に擦れた音を混ぜ込み、音程も揺さぶっていく。
 「赤い橋」も異彩を放つ。「不思議な橋がこの町にある 渡った人は 帰らない」と、喉から絞り出すように歌う浅川マキの声は鋭い刃のようだった。喜多が技術の限りを尽くして凄絶に弾くヴァイオリンからは、寂しさや哀しさ、怒り、反抗、怨みが聴こえる。これを「ENKA」と言わずして何と言う。
朝鮮民謡の「アリラン」、美空ひばりの「悲しい酒」、西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」、そしてノルウェーの作曲家グリーグの「ソルヴェイグの歌」が続く。主人公のペール・ギュントが放浪の末に老いさらばえて帰郷する。彼の帰りを待ち続けた少女ソルヴェイグも老いていく……そんなソルヴェイグが歌う子守歌。
喜多と西嶋の表現は、クラシック音楽で求められる美しさとはまったく違う。清らかさの中に潜む痛切な哀しみを旋律の奥から引きずり出してくる。
「五木の子守歌」では赤子を背負う少女の口からかすかに漏れてくる涙ながらの呟きだろうか。「ふるさと」の既成概念をはるかに超えた鋭敏さや凄味……それでいて何と叙情的であることだろうか。
 喜多直毅、西嶋徹のデュオが描き出す「ENKA」の世界は、日本人の心に刻み込まれたDNAに訴えかけ、心を震わせるほど強く深いメッセージを秘めている。これはリスナーに向けた果敢な挑戦でもある。2人が寄り添うように近づき、相手の息づかいを感じとりながら、喜多が挑発するようにイントロを弾くと、すかさず西嶋が受けて立つ。喜多としても、これほどまでにENKA魂をぶつけ合ったことはなかったかもしれない。互いに触発し合いながら音楽が創り出される瞬間の何とスリリングなことだろう。
長谷川通教氏

是非皆さんにこのアルバムをお聴き頂いて、溢れる叙情を味わって頂けたらと思います。
録音に『歌詞』という情報が欠けていても(演歌の歌詞は素晴らしいものですが)、何か心に浮かび上がる人それぞれの言葉や映像が
あるのではないでしょうか?

この曲集には、昭和の路地裏がある。
暗い電球の灯る酒場がある。
ひと気のない夜の港がある。
そして胸に秘めた熱情と郷愁がある。


尚、レコ発ではありませんが、8月17日に西嶋徹さんとピアノ奏者の田中信正さんとのトリオでライヴを行いました。
田中信正さんとは二年前に、今回お世話になったミック沢口さんの録音で『Contigo en La Distancia』というアルバムを作っております。
このアルバムでは主にラテン音楽を収録しました。

8/17のライヴは、西嶋さんとのデュオ・田中さんとのデュオの一体化を目指したいと思います。
それぞれ主に僕の編曲作品を演奏していますので、何か統一感のある世界が生まれるのではないかと思いますし、或いは予想とは異なった全く別の音楽が誕生するかも知れません。
とても楽しみです。
どうぞお誘い合わせの上、お越し下さい!

喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス)
喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス)

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
         田中信正(ピアノ)
         西島徹(コントラバス)
内容:暗黒ラテン音楽、演歌、喜多直毅オリジナル

日時:2019年8月17日(土)14:00開場/15:00開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:ご予約¥4,000 当日¥4,500
           学割(30歳まで)ご予約¥1,500 当日¥2,000
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)