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北海道の思い出

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北海道へは何回も行っています。 小学生の頃、夏休みの家族旅行で連れて行ってもらいました。 台風と共に本土から渡り、行く先々で大雨だの洪水だので散々でした。 苫小牧の親戚の家に泊めてもらったのですが、そこのお姉さんから色んな漫画を借りて読みました。 一番衝撃的だったのは楳図かずお先生の『まことちゃん』です。 こんなに面白い漫画があったのかと思いました。 登別のクマ牧場にも連れて行ってもらいました。 堀を隔てた飼育場にクマが所狭しと立ち並び、観光客に向かって餌をねだっているのです。 人間の入った着ぐるみのように見えて、ちょっと悪夢のような光景でした。 クマ牧場と同じく登別の温泉ホテルにも泊まりました。 今でこそ違いますが、当時はまだ男湯の方が大きかったのです。 何種類ものお風呂があって、僕はそこに二時間くらいいました。 親が心配して様子を見にきたくらいです。 さて男湯と女湯は普通は壁で仕切られているものですが、そこは高さ2メートルくらいの生垣があるだけでした。 その生垣の前に男性がズラリと並んで、葉っぱや枝の間から女湯をのぞいていました。 これには子供ながら驚きました。 こんなインモラルな行為が公然と行われていて、しかも誰も注意しない。 きっと温泉側も黙認しているのでしょう。 あぁ、あんな大人にはなりたくない…と思いました(なっていません)。 ここまでは子供の頃の思い出。 大人になってからは観光で北海道に行くということは全く無くなり、仕事で行くだけになりました。 僕はツアー先で観光することは滅多にありません(演奏以外のことにエネルギーを使わないようにしたいから)。 しかし一日オフの日があれば話は別です。 何年前だったか、ピアノの黒田京子さんと二人で北海道に行きました。 その時、ちょうど1日だけ休みが取れたのです。 それならば、ということで、僕の希望で富良野へ行くことにしました。 ラベンダーも何もない冬の季節です。 富良野では有名なカレー屋さんにも行きました。 そこはカレーのルーをお代わり出来るのですが、その時厨房に向かって『ルールルルー』とキタキツネを呼ぶ時みたいに声をかけなければならない。 そういうルールがあって、ある雑誌にも載

楽しいシンガーソングライターライブ!!!(動画あり)

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色んな音楽活動をしていますが、その時楽しいと思うことに力を注ぐようにしています。 力を自動的に注ぐようになっているのです。 寝食を忘れて、ピアノやパソコンの前に座ってあーでもないこーでもないと歌を作っています。 今までは歌手の皆さんに歌ってもらうだけでした。 でも自分で歌うことにしてみたら、その難しさを痛感すると共に、自分の言葉(歌詞)を自分の口から発することが新鮮で楽しくてなりません。 僕は普段は寡黙か饒舌でふざけているのです。 しかし誰にも見せてこなかった部分を歌では曝け出す。 これは大変勇気がいるのですが、しかし自分にはこれが必要だったんだとも思う。 もちろん誰に請われてやっていることではない。 本来なら黙ってヴァイオリンだけ弾いていれば良い。 しかし歌を作らずにはいられないし、歌ってみたら自分の声を通して何かが人に伝わっていることがわかる。 素晴らしいことだと思います。 歌は下手なのです。 ジャイアンリサイタル。 たいていの人はこの人並み外れた歌唱力にびっくりすると思います。 気の毒に思う人もいるかも知れませんし、嘲笑も覚悟です。 でもやりたいからやる。 一番最初のデビューリサイタルでは会場が満員になりました。 それ以来二回ライヴをやりましたが、確実にお客さんは減ってしまいました。 そりゃそうです。 こんな歌唱力なんだから。 しかし今でも何人かお客さんは来てくれる。 こんな歌でも聴きたいと思って、わざわざ時間とお金を使って、寒い中来てくださるのです。 心から感謝しています。 楽しみにして下さる方がいる限り、やらねばなりません。 一緒に演奏してくれているのはギターの加藤崇之さん。 『良い曲書くね』と褒めてくれます。 僕は素直に喜んでいます。 加藤さんはその美音と芸術性の高いアレンジで歌に寄り添ってくれます。 喜多直毅シンガーソングライターライヴ with 加藤崇之(ギター) 2019年5月8日@音や金時 先日は初めてピアノの黒田京子さんに共演をお願いしました。 黒田さんは言葉を大切にして、その言葉からピアノを弾いてくれます。 そして思いもしないアングルから光をあて、闇を作ってくれる。 歌に立体感と奥行きを与えてくれるのです。 喜多直毅氏ンガーソングライター

今週金曜日は下北沢にて喜多直毅&黒田京子デュオのレコ発コンサートです!!!

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喜多直毅&黒田京子デュオ いよいよ!!! このデュオ三枚目のアルバムリリース記念コンサートが行われます!!! 演奏内容はCDからの曲目。 ライヴでは演奏していなかったけどCDに収めた曲、また超久しぶりの曲など、色々演奏します。 アルバムでは戦争と平和を思わせる曲をちょっとコンセプチュアルな形で幾つか続けて収録しています。 主に第二次世界大戦前後のヨーロッパの曲ですが、ヴァイオリンとピアノによる演奏では歌詞がありません。 しかし楽曲の持つ存在感みたいなものによって何かが伝わって欲しいと思っています。 重さ、明暗、音色など。 別に直截『戦争』を想起させない演奏でも構わないと思っています。 でも心の中にある弾痕、蹂躙された思い、抑圧された自由への叫び。 比喩としての『戦争』は誰の人生にも生活にもあると思うので、そこに触れる音楽ではありたい。 その自分の中の小さな戦争から、大きな戦争を見つめる視座が得られればと個人的に思っています。 さて、このアルバムでは宮沢賢治の童話『よだかの星』をイメージした曲を演奏しています。 本当は夏の夜空を思い描いて三年ほど前に作った曲ですが、それを膨らませて、『よだかの星』の物語の筋に比較的忠実に沿う形で音楽にしました。 しかもよだかが風を切って飛ぶ様子や星がさざめいている様子も音にしています。 描写音楽としてお楽しみ頂ければ幸いです。 ちなみに宮沢賢治の童話の中で、否、あらゆる文学作品の中で、号泣して読み終わったのはこの物語だけです。 それは当時(小学生)、僕が友達とうまく付き合えなかったからよだかに共感したのでしょう。 アルバムが全体として訴えていること、それは一言では言えません。 戦争と平和だけではない。 それを声高に訴えている政治的な作品ではありません。 兎に角なかなかうまい言葉が見つからずにいます。 皆んなが寝静まった真夜中、私たちが住む街の下を走る地下鉄がある。 闇の中を轟音を立てて走る、誰も知らない地下鉄。 車輪の振動は微かに伝わってくるけれど、じっと耳を澄まさなければ聞こえてこない。 乗客が乗っているのかいないのかも定かではない。 でも、兎に角そんな地下鉄があるんだよ、と言っているアルバムに

11/16おとがたり『太宰治/人間失格』公演@成城・第Q藝術

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おとがたり:長浜奈津子(朗読)喜多直毅(ヴァイオリン) 11/16は俳優座女優の長浜奈津子さんと太宰治『人間失格』の朗読会を行います。 会場は成城学園の第Q藝術。 今年4月に奈津子さんと石川啄木の『一握の砂』と『ローマ字日記』を題材にした朗読会を行いました。 かなり尖った作品となり個人的に大満足。 奈津子さんも本番では何かが取り憑いたかの如きパフォーマンスで、予想を遥かに超える凄いものが誕生したと思っています。 この世界観でもっと作品作りがしたいと思いました。 しかし今回の『人間失格』、稽古を重ねるほどに啄木の世界観と地続きとは行かないと思い知らされています。 啄木の言葉にも、太宰の言葉にもあるノイズを感じる。 擦過音的なサウンド。 しかしその温度や湿度や重量や速度は全く違い、啄木のが刺し貫く痛みとすれば太宰のは鈍痛です。 音楽でもそう言う“痛み”を出せたらと思っています。 さてさて長いのですが、小説から好きな箇所を引用します。 主人公・葉蔵が中学校のクラスメイトの竹一を自宅に呼んで画集を見せた時の話です。 葉蔵は絵が好きで自分でも描いていました。 竹一は“ちょっと頭の弱い子”とされており、葉蔵は半分彼を馬鹿にしていました。 ところが葉蔵は、周りの気を引くためにわざと道化を演じているのを竹一に見抜かれてしまいます。 それからと言うもの、わざと竹一に親切にしたり家に呼んだりしておもねるのです。 いつか竹一が、自分の二階へ遊びに来た時、ご持参の、一枚の原色版の口絵を得意そうに自分に見せて、そう説明しました。 それは、ゴッホの例の自画像に過ぎないのを知っていました。タッチの面白さ、色彩の鮮やかさに興趣を覚えてはいたのですが、しかし、お化けの絵、だとは、いちども考えた事が無かったのでした。 「では、こんなのは、どうかしら。やっぱり、お化けかしら」 自分は本棚から、モジリアニの画集を出し、焼けた赤銅のような肌の、れいの裸婦の像を竹一に見せました。 竹一は眼を丸くして感嘆しました。 「地獄の馬みたい」 「やっぱり、お化けかね」 「おれも、こんなお化けの絵がかきたいよ」  あまりに人間を恐怖している人たちは、かえって、もっともっと、おそろしい妖怪を確実にこの眼で見たいと願望するに到る心理、神経質な、ものにおびえ

喜多直毅・田中信正・西嶋徹トリオの次回ライヴは12月22日(日)です。

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喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス) 2019年10月30日@公園通りクラシックス 田中信正さん(ピアノ)、西嶋徹さん(コントラバス)とのライヴ、楽しかったです!!! もともと喜多+田中さん、喜多+西嶋さんという二つのデュオがあって、それぞれアルバムも作っていました。 この二つを統合してトリオとして演奏してみたいと思い、この活動を始めました。 三人の相性もなかなか良く、これまでの二回のライヴを通して手応えを感じました。 それと同時に「もっと行ける!!!」とも思っています。 今は印象として暗い曲が多く、それはそれで僕の好きな世界なのですが、瞬発力に優れた田中さんと西嶋さんとのアンサンブルですので何かそう言う曲もやっていけたらと思っています。 今回はブラジルの曲を二曲演奏しましたが本当に楽しかった。 三人の間で音楽が生まれ、発展を遂げて、そして惜しまれながら終わる…という過程にどっぷりと浸かることが出来ました。 ゆくゆくはオリジナルのみで構成したプログラムでライヴを行いたい。 喜多クアルテットとはまた別の世界が誕生するかも知れません。 もしかしたら似通った音楽かも知れませんが、この素晴らしい演奏家二人との共演はそれ自体が喜びであり、何ものにも勝るものです。 他でやっている音楽と地続きであろうがなかろうが、演奏そのものを楽しむことが出来ればそれが会場に溢れるのではないでしょうか? このトリオの演奏、次回は12/22(日)に予定されています。 会場は雑司ヶ谷エルチョクロ。 なんとクリスマスライヴです!!! これまで二年間連続して田中さんとエルチョクロでのクリスマスライヴをして来ましたが、今年は西嶋さんにも参加して頂き更に華やかにお届けしたいと思います。 第一部はいつものレパートリーから演奏します。 第二部はクリスマスにちなんだ曲をお届けします。 お客さんに歌って頂くコーナーもあり。 絶対に思い出に残るライヴになるに違いありません。 年末の忙しい時期かと思いますが、ぜひお誘い合わせの上お越しください! 出演:喜多直毅(ヴァイオリン)    田中信正(ピアノ)    西嶋徹(コントラバス) 第一部:暗く深い音楽選 第二部:クリスマスにちなんだ曲 日時:2019年12月22日(

喜多直毅クアルテット福岡公演を最後に西日本ツアーは終了しました(寂しい)。

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2019年10月15日 喜多直毅クアルテット福岡公演@西南学院大学ホール 終演後、メンバーとスタッフの皆さんで記念撮影。 10/10からスタートし10/15まで西日本5カ所を回った喜多直毅クアルテットツアー。 最終日の福岡の後、東京に戻ってから他のライヴが続きいつの間にか一週間たってしまいました。 しかし今なお、このツアーの演奏の楽しかったことや主催者の方々・お越しくださった方々への感謝の気持ちで胸がいっぱいです。 最終日の福岡の会場は西南学院大学のホール。 丁度一年ぶりの福岡での演奏でしたが、昨年に引き続きお越しいただいた方もいらして大感謝です。 初めての方にはどんなふうに聴こえたのか興味津々ですが、アンケートのフィードバックによると映画のようにドラマティックに感じてくださった方が多かったです。 クアルテットでは東京以外の公演は珍しく、なかなか生演奏を聴いて頂くチャンスがありません。 CDは二枚出していますが、それだって一度生の演奏を聴いてからお買い求めになる方が大半だと思います。 ですから我々にとって色々な会場で聴いて頂くことは本当に重要なことなのです。 アンケートが全てを語っているわけではないと思いますが、しかし読ませて頂く限り、我々の演奏は確かに届き、聴いてくださった方の胸に何かを刻むことが出来たのではないかと思っています。 広島で被爆した方はご自身の人生を音楽に重ねて下さいました。 あるクリスチャンの女性は、懊悩する人間に対して『それでいいのか?どうするのか?』と問い迫る声になぞらえて下さいました。 僕自身、音楽と演奏の喜びや楽しさを感じつつ、一方で悩みながら、袋小路でもがきながら続けて来たクアルテット。 この音楽が聴く人の奥深くまで響いたことが嬉しくてならず、更に励みを与えられました。 新鮮な気持ちで東京での音楽作りが出来そうです。 変な言い方ですが、日本は広かった。 いつも東京でしか演奏していないクアルテットの音楽。 しかし全国にはまだ我々の演奏も音楽も知らない人々がいるのです。 『こんな音楽が今の日本にあってくれて嬉しい』(アンケートより)。 まだまだ行くべき町があるようです! だいぶ前になりますが、亡くなったコントラバス奏者の

喜多直毅クアルテット西日本ツアー、いよいよ木曜日から!!!:10/10神戸→10/11広島→10/12松山→10/14尾道→10/15福岡

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喜多直毅クアルテット 左より:三枝伸太郎(piano)北村聡(bandoneon)喜多直毅(violin)田辺和弘(contrabass) 2019年10月7日リハーサル いよいよ喜多直毅クアルテットの西日本ツアーが始まります。 旅程は10/10(木)神戸、10/11(金)広島、10/12(土)松山、10/14(月祝)尾道、10/15(火)福岡です。 地元の皆さん、ぜひお誘い合わせの上お越しください。 このクアルテットはメンバーの全員がアルゼンチンタンゴを演奏します。 それと並行してアルゼンチンタンゴ“以外”の音楽にも精力的に取り組んでいます。 また作曲もします(ヴァイオリニストとコントラバス奏者は歌手活動もしています…)。 これは一人一人、感覚が自由でオープンだということ。 現在、世界のミュージックシーンにおいて、我々の世代の演奏家の間では演奏分野の混血が進み『これは〇〇というジャンル』とカテゴライズ出来なくなっていますがタンゴの世界も同様。 その姿形が年月のうちに変質したとしても、音楽が音楽であることには変わりません。 源流から受け継がれた音楽的語法さえ変化するかも知れない。 しかしその中に息吹や生命がありありと感じられるなら、有りようが多少変わろうと音楽はビクともせず、演奏され聴かれる価値があるのだと思います。 そんな音楽を共に演奏出来るのが、北村、三枝、田辺の各氏です。 繊細かつ大胆なバンドネオン、エネルギーに溢れるピアノ、迫力と『うた』に満ちたコントラバス。 それぞれのソロパートが曲の随所に現れます。 今回のツアーを通して、一人一人の聴かせどころ・見せどころが豊富にありますので、個々人のプレイにもご注目頂きたいと思います。 上に記した通りこのカルテットのメンバーは全員タンゴプレイヤーではあるものの、内容的には伝統的なタンゴの語法は余り用いずに自由に音楽づくりをしてきました。 美しいか、カッコ良いか、面白いか…というところは二の次、三の次にし、サウンドが内面や精神や感情にどれだけ肉迫しているか、タイムラインに人生の四季があるか、を大切にしてきました。 そしてヴィジョンをどのように音楽で描くか。 例えば一人の酒乱の男、岸壁に打ち上げられた死体、真冬のさすらい人、戦場に張り巡らされた鉄条網。 こんなヴィ

喜多直毅クアルテット西日本ツアー:10/10神戸→10/11広島→10/12松山→10/14尾道→10/15福岡

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喜多直毅クアルテット 喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス) 喜多直毅クアルテットは今月西日本ツアーを行います。 お近くの皆さん、是非どうぞお出かけ下さい! (それ以外の地域の皆さんも旅行を兼ねてお出かけ下さい!) 10/10神戸、10/11広島、10/12松山、10/14尾道、10/15福岡の5会場。 松山を除き一昨年・昨年とお邪魔して地元の方に大変好評を頂きました。 まさに体験する音楽…。 どうぞお誘い合わせの上、お越しください! ※ 喜多直毅クアルテットFacebookページ ではこれまでの活動やPVをご覧いただけます。 【ツアー詳細】 10/10(木)神戸 共演:角正之(ダンス)    レナート・レオ(ダンス)    丹羽祥子(ダンス)    越久豊子(ダンス) 日時:10月10日(木)18:30開場19:00開演 会場: CAP.Y3.5Fホール (海外移住と文化の交流センター)    650-0003 兵庫県神戸市中央区山本通3-19-8    電話 078-222-1003 料金:前売り3,500円 当日4,000円 申し込み: ◉CAP(下田)電話・ファックス 078-222-1003/ info@cap-Kobe.com ◉DCP(角)電話 090-3622-1625/email= sumish@kazemai.com 主催:C.A.P(芸術と計画会議) 共催:D.C.P(ダンスキャンププロジェクト) 10/11(金)広島 日時:2019年10月11日(金)開場18:30/開演19:00 会場: 広島市西区民文化センター    広島市西区横川新町6番1号    082-234-1960 地図: http://www.cf.city.hiroshima.jp/nishi-cs/frame_main.htm 料金:大人前売り券 ¥3,000/当日券¥3,500    学生前売り券 ¥1,000/学生当日券¥1,500 予約・問い合わせ先:080-6326-4047、 keikuro0101@gmail.com (黒田)

今週金曜日(9/27)は初顔合わせによる即興トリオ!!!

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左から:元井美智子(箏)喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス) 即興演奏というものはやればやるほど奥の深いもの。 自分の身体や呼吸、その時の精神状態が如実に現れ、面白いと同時に恐ろしくもあります。 さて何のために即興演奏をするのか? なぜ即興演奏でなければならないのか? 即興演奏でなければならないなんてことはありません。 僕も色々な音楽をやっていますが、弾いていて・聴いていて『これは素晴らしい』と思えるものには別次元の時間が流れている。 この緊迫感。 まるで音楽の誕生から死にまで立ち会うかのよう。 そしてその一生が人ごとではなく、自分のことのように感じられる。 その音楽は「綺麗、うっとり」とか「絆って大事」とか「死ぬほど愛してる」とかではなくて(それも良いのですが)、もう少し違うところにある。 そういう世俗的な感じではなく、“自然”みたいなものかなと思います。 美しい花を咲かせて見せてくれたり、美味しい水を岩の隙間から出してくれたり、美味しい野菜や果物を育ててくれる。 絶景と呼ぶべき晴らしい景色も自然が作ってくれたもの。 海の中の色とりどりの魚、姿の美しい鳥達を見ると自然がいかに素晴らしいデザイナーか分かるし、虫の擬態や共生関係について調べるとそのプログラムの見事さに言葉を失うほどです。 また海岸を黄昏色に染めて彼氏or彼女とのアバンチュールを演出してくれるのも自然。 土砂降りの雨を降らせて恋人に振られるシーンをより惨めに演出してくれるのも自然です。 それと同時に猛威をふるって多くの人を死なせてしまったりする。 津波とか台風とか地震とか。 「わぁ可愛い子グマ!」「プーさんみたい!」「ハチミツ食べるかな」も数ヶ月経つと、口の周りに鮮血を滴らせて登山客の臓物を貪っていたりするのです。 でもそれも自然の与えた本能だから仕方ありません。 人間の都合とか善悪とかを超えたところにあって、四季折々の美しさを見せたり、弱肉強食の営みを司ったりしているもの。 美しくて残酷、それが自然です。 しかし自然の側からすると、自分が美しいとも残酷とも思っていないのです。 というか『思う』こともないのです。 良い音楽を聴くと『美しい』とか『面白い』とかと同様に背筋がゾクゾクして『怖い』と思う。 それは人間がまだ

第二の人生・それはシンガーソングライター…。11/28は黒田京子さんとインエフで。

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先日、音や金時で2回目のシンガーソングライターライヴを行いました。 ギターは加藤崇之さん。 前回のいろいろな反省点を踏まえて臨んだライヴでしたが、まず音域をちゃんと設定したことでだいぶ歌いやすくなりました。 客席にはプロの歌手の方々もいらして、ちょっと緊張もしましたがとても楽しく歌うことが出来ました。 音や金時のママさんに勧められて歌い始めましたが、今はやりたかったことはこれだったかもと思えるくらいです。 第二の人生が始まったようにも感じています。 もちろんヴァイオリンも弾き続けていきますが、歌作りと歌うことにはまた別次元の強い動機を自覚しました。 自分の言葉と音楽が声でもって解放される。 それが嬉しくてたまりません。 人に何と言われようと確たる何かが腹の底にあって揺るがない。 なぜならそれは紛れも無い『自分自身』だからです。 強くても弱くても、綺麗でも醜くても『自分自身』。 カッコ良くても悪くても、それはどうしたって自分自身なのです。 歌には歌詞(言葉)があるからこそ、楽器の演奏よりもダイレクトに感じるものなのかも知れません。 そもそもなぜ歌を作り続けて来たのか? 別に発表する気持ちや機会がなくても、暇を見つけて歌を作り続けていました。 幸いにも機会に恵まれて、他の歌手の方達に命を吹き込んでもらえた曲もあります。 しかし僕の場合、〇〇について訴えたいから歌を作る、〇〇に望みを託して歌を作る、ということは全く無いのです。 人様に気に入ってもらえて歌って頂けたら嬉しいけれど、日の目を見ずとも構わないのです。 ただ浮かんだファンタジーや思いみたいなものに姿形を与えたくて作っているだけ。 そしてセロファンとセロファンを重ねるように、言葉とメロディから新しい色を作る。 それが歌作りの喜びです。 そう、まさに! 楽しいからやっているだけ。 そしてこの楽しさには強い必要性が含まれているのです。 別に誰にも歌われないなら(自分も歌わないなら)、歌なんか作る必要はないのです。 しかしやっぱり作らずにはいられない。 作らずにいると何かが死んでいく。 そんな思いさえ抱きながら、これまでひっそりと作り続けて来ました。 やらずにはいられないからやっている。 このようなソングライティングですが、二回

9/18来週水曜日はCoração Amoroso@雑司が谷エルチョクロ

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Coração Amoroso:さがゆき(vo)喜多直毅(vln)田中信正(pf) 2019年7月26日@雑司が谷エルチョクロ さがゆきさん(vo)、田中信正さん(pf)とのユニット“Coração Amoroso”。 前回の演奏が思いの外面白く、2回目のライヴとなりました。 この三人ではブラジル音楽やラテン音楽のドロッとしたところをやっています。 日光が強い土地の日陰は闇が濃い。 そんな感じがする…。 昔、有名なイタリア映画『ひまわり』を見ていたら、最初のシーンに主人公のソフィア・ローレンがキッチンでパンを食べているシーンがありました。 その薄暗い台所が何故か今でもとても印象に残っています。 とても趣に満ちたシーンでした。 美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。 (谷崎潤一郎『陰翳礼讃』) これは日本文化の中で暗がりや闇が美しいものとして尊ばれて来たことについての文章ですが、ヨーロッパにも別の形で息づいている美学だと思います。 かつて暗がりの美を大切にして来た日本人が、現代にあっては煌々と蛍光灯をつけて平気で暮らしていけるのが不思議。 昭和→平成→令和と、部屋や町からどんどん美しい暗がりが消え失せ、別な場所に闇が生じているのでしょうか。 さて前回は結構楽譜を見るのに必死(!)だったのですが、今回はもう少し余裕を持って演奏できたらと思います。 今の活動の中で、自分がセッションリーダーではないライヴの一つ。 貴重。 楽しみたいと思います。 出演:Coração Amoroso    さがゆき(vo)    喜多直毅(vln)    田中信正(pf) 内容:ブラジル音楽&ラテン音楽 日時:2019年9月18日(水)18:30開場 19:30開演 会場: 雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ     〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8    03-6912-5539 料金:ご予約¥3,500 当日¥3,800 学生(〜29歳)¥2,000 予約・問合せ:エル・チョクロ    03-6912-5539/ info@el-choclo

今週金曜日(9/6)はシンガーソングライターライヴwith加藤崇之さん@西荻窪・音や金時

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喜多直毅歌手デビューライヴwith加藤崇之(gt) 2019年5月8日@音や金時 西荻窪のカレーが美味いライヴハウス・音や金時。 ここではずーっとウタウタというグループのメンバーとしてライヴをさせて頂いております。 ヴォーカルの松本泰子さん、ギターの長谷川友二さん、パーカッションの和田啓さん、そして僕。 四人が全員ソングライティングを行い、泰子さんが歌っています。 前から音金のママさんに『自分で作った歌を自分で歌ってみたらどうか?』と仕切りに勧められていたのですが、人並みはずれた歌唱力を理由に断り続けていました。 本当に人並外れているのです。 群を抜いています。 これはお金を頂いて人様にお聴かせ出来るレベルではない!と自己判断し、泰子さんが歌う歌を作るだけで十分楽しいから自分では歌わずとも良いと思っていました。 それに前から僕は自分の声が好きではありませんでした。 モサモサしている、古ぼけたリンゴのように。 歌うならイブ・モンタンのようでなければ!!! しかしある日音金でのライヴの後、やっぱりママさんに勧められて、つい勢いで『やってみよう!』と言ってしまった。 しかもその場で日程も決定。 そしたらその後すぐに『加藤崇之さんにギターを頼んだからね』とメールが…。 あああ、加藤さんにギターを弾いてもらえるのは嬉しいけど良いのかなぁ…。 とは言え、一度引き受けたら断っていけません。 だいぶ緩くなりましたが、この業界にはそういう掟があるのです。 それに『やっぱりやめます』とは言いたくない。 なので早速加藤さんにリハーサルをお願いしました。 加藤さんのギターは素晴らしい。 美音、歌心。 しかし僕の歌は…。 音程は外れているし、発声は安定しないし、ビブラートもおかしい。 そんなこんなで迎えた第1回目のライヴ。 大勢のお客さんが来てくださり、それはそれで嬉しかったのですが、めちゃめちゃ緊張しました。 楽器を弾かずに人前に出て何かをすることがこんなに恥ずかしいとは。 それでも何とか歌い通した2ステージ。 久しぶりにとてつもない満足感を覚えたのは、難産の後の脳内快楽物質のせいでしょうか。 ここ数年の演奏活動の中でも最も楽しかったライヴの一つとなりました。 速攻で次回(9/6に行うライヴ)のブッキングも

次回の喜多直毅+田中信正+西嶋徹トリオは12月22日(日)@雑司が谷エルチョクロ!!!

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2019年8月17日 喜多直毅(violin)田中信正(piano)西嶋徹(contrabass) 雑司が谷エルチョクロ 昨日は新しいトリオ、喜多直毅+田中信正+西嶋徹トリオの初ライヴでした。 会場は雑司が谷のエルチョクロ。 初めてのライヴにも関わらず満席にしていただき本当に有難うございました!!! またアンケートも配らせて頂きましたが、お書きいただいて感謝!!! 三人で嬉しく読ませて頂きました。 さてこちらが昨日のセットリストです。 1. Alfama(ファド) 2. 五木の子守唄 3. Libertango(Astor Piazzolla) 4. 赤い橋(浅川マキ) 5. Chorinho pra Ele(Hermeto Pascoal) 1. Upa Nequinho 2. Contigo en La Distancia 遠く離れていても 3. アルフォンシーナと海 4. ふるさと(日本唱歌) アンコール:Les yeux ouverts 瞳を開いて もともと喜多直毅+田中信正デュオ、喜多直毅+西嶋徹デュオで演奏していたレパートリーをトリオで演奏しましたが、全く別のアプローチで演奏できたと思います。 田中さんと西嶋さんの見せ所・聴かせ所も、デュオとは違う形で曲に組み込むことが出来ました。 田中さんのファンにも西嶋さんのファンにも、いつもの二人とは違う魅力をお感じ頂けたのではないかと思います(そうだったら僕も本当に嬉しい)。 随所に溢れた西嶋さんの深く豊かな音色、そして歌ごころ。 美しいだけではなく、凄みと狂気を宿したノイズ。 田中さんの諧謔的なソロも楽しかった。 そしてアルフォンシーナと海で演奏された、ドラマティックで精神性に溢れたピアノソロ。 そこには人生の悲劇と同時に美しい海が表現されていたと思います。 楽しく軽快な曲やロマンティックな曲も演奏しましたが、『死』のある音楽を生み出せた。 これは僕の理想です。 こんなトリオを始められたことが嬉しくてなりません。 次回は12/22(日)。 是非是非お越しください!!! 西嶋さんのファンには初めてだと思いますが、この日はクリスマスライヴです!!! これまで二年に亘り田中信正さんとのデュオで行った来たクリスマスライヴ。

9/6(金)は喜多直毅シンガーソングライターライヴwith加藤崇之(ギター)@西荻窪・音や金時

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喜多直毅歌手デビューライヴvol.1with加藤崇之(gt) 2019年5月8日@西荻窪・音や金時 9/6(金)に行うシンガーソングライターライヴの為にキーを決めるべく、歌手の中で一番共演数の多い松本泰子さん(vo)に手伝って頂きました。 実は第一回目は家で歌って決めたキーが低すぎて、ボソボソボソボソ歌ってしまい歌詞が不明瞭になってしまった のです 。 近所迷惑を気にしてつい低い音域で歌っていて、それが自分にちょうど良いキーだと思っていたのです。 ところが本番、ステージでマイクを使って歌って余りの低さにびっくりしました。 喉も疲れました(それでも2ステージ歌い通した!!!)。 今日、相応しいキーを調べていく中で、案外自分の声が高いことが判明。 完全なテノールまでは行かないけどバリトンの高い方からテノールの低い方。 この音域だと無理なく歌えて、しかも歌詞も明瞭に届きそうです。 それと先日一緒にライヴで演奏した時、歌手のさがゆきさんにも歌詞を印象付けるコツみたいなものを教えてもらいました。 ある意味、朗読みたいなアプローチにも思えました。 語ることと歌うこと。 この微妙なバランス感覚と距離感が面白いのかなと思います。 そもそもソングライティングの方、特に歌詞のことに気を取られがちなのですが、歌うことも楽しくなるとより表現に幅が出てくるかも知れません。 家では研究のために器楽による即興演奏や現代音楽、クラシック、タンゴ、ポルトガルギター、韓国伝統音楽等を聴いていますが、それ以外では結構歌ものを流しているのです。 ロシアのリュドミラ・ズィキナ、ヴラジーミル・ヴィソツキー、ブラート・オクジャワ、アレキサンドル・グラツキー。 ポーランドのエヴァ・デマルチク。 フランスのバルバラ、レオ・フェレ、ジャック・ブレル。 シチリアのローザ・バリストレリ。 ロシアンジプシーのリダ・グレスコ、ヴァリア・ディミトリエヴィッチ。 アルゼンチンタンゴのロベルト・ゴジェネチェ。 器楽<歌、かも。 以上に掲げた歌手の方々は実に素晴らしく、その人がそのまま歌になっている。 そして聴いていると胸が熱くなる。 到底僕にはそんな大歌手のような歌は歌えませんが、それでも歌作りに加えて『歌うこと』にも面白さを見出して行けたらと思います。 ってな

喜多直毅クアルテット西日本ツアー2019:10/10神戸公演はダンサーの角正之さんと共に!!!

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【喜多直毅クアルテット西日本ツアー・神戸公演】 10/10喜多直毅カル初の神戸公演!!! ツアー初日となる10/10神戸公演では、コンテンポラリーダンスの角正之さん、レナート・レオさん、越久豊子さんの三名のダンサーの方々と喜多直毅クアルテットのコラボレーションを行います。 角正之(ダンス) 角正之さんとは昨年1月に久田舜一郎さん(小鼓)大島輝久さん(謡)との能楽公演でご一緒させて頂いた他、神戸での即興パフォーマンス、翠川敬基さん(チェロ)とのトリオでも共演させて頂きました。 身体に漲る静と動のエネルギー、ドラマティックな表現に大きなインパクトを与えられました。 そこに何か喜多カルテットの音楽と相通ずるものを感じ、今回共演をお願い致しました。 これまで音楽のみの公演を中心に行って来たクアルテットですが、今年4月の矢萩竜太郎さんとのセッションではダンスとのコラボによる音楽の変容と異化に作曲者自身、大きな驚きと喜びを得ました。 今回の角さんとの共演でも音楽とダンスの反目・同化・分裂が現れ、刻々と変わりゆく様を体験して頂けるでしょう。 関西地方にお住いの皆さん、どうぞお誘い合わせの上、お越しくださいますようお願い申し上げます。 また首都圏にお住いの方も是非是非ご参加ください。 普段とは全く異なる喜多カルテットの音楽をお聴き頂けるに違いありません。 TANGO’s EIDOS(タンゴの形相)シリーズーVol 2 Naoki Kita音楽作品とダンスHomo Motion // [沈黙と咆哮の対話] ……………………………………… [ダンス対話の説明] 2000年、音と動きの同一場における「インタラクティブなエネルギー交換対位法」を可視化したインターフェイスー集団即興対 話(ZOYD.LOGUE)は角正之の作案で始まるアモルファスな即興ダンスフィールドです。複数以上の行為者同士間に同期的関係、差異的関係、超越的関係が生まれ、そして無関係も隠れています。 2018年、瞑想ボディアウェアネスワークの中で、宇宙と身体のホロフィールド、息の響き合う遊戯的対話(レンマ/Limma-ギリシャ哲学)を着想し、独自のHomo Motion(動態ダンス)を考案する。 ※レンマ(Limma/ギリシャ哲学)/尋常じゃない論理

8月17日(土)は喜多直毅/田中信正/西嶋徹トリオ@雑司が谷エルチョクロ!!!

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喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ)西嶋徹(コントラバス) 2019年8月7日@松本弦楽器でのリハーサル 田中信正さん(ピアノ)、西嶋徹さん(コントラバス)とはここ数年、それぞれデュオとしてライヴを重ね、アルバムも一作品作って来ました。 喜多直毅(ヴァイオリン)田中信正(ピアノ) 2018年4月14日@雑司が谷エル・チョクロ 喜多直毅(ヴァイオリン)西嶋徹(コントラバス) “L'Seprit de L’ENKA”録音風景 2019年2月27日@日本音響エンジニアリングAGS Lab 最初は全く別のデュオとして考えていたのですが、次第に演奏の世界観が被って来ました。 それは曲目のジャンルが被って来たというよりも、音楽の色合いとか風景、曲の根底にある心情などが似通って来たという意味です。 これは僕の不器用さにも原因があるのですが、自分が選曲やアレンジやディレクションを行っていると、別々のユニットやプロジェクトでも何だか似通って来てしまう。 (本質が一緒だからかも知れません。) しかし田中さんと西嶋さんという素晴らしいミュージシャンは、ともすると同じ色・同じ味になりがちな僕のアレンジに別のアングルから光を当て、風を吹き入れてくれる。 僕の意図を良い意味で裏切ってくれるわけですが、この裏切りの塩梅にも加減が必要で、彼らのは絶妙と感じることしきりです。 田中さんと2017年に発表したアルバム“Contigo en La Distancia -遠く離れていても-”ではラテン音楽を、西嶋さんと今年発表したアルバム“L'Seprit de L’ENKA”では日本の演歌や叙情歌を収録しました。 今回はこの二つのデュオのレパートリーをトリオで演奏したいと思いますが、より一層カラフルになった音楽をお楽しみ頂けると思います。 昨日三人でリハーサルを行いました。 田中さんの繊細で煌びやかなピアノの加わった『五木の子守唄』、西嶋さんの柔らかく深い音色で奏でられるファド『アルファーマ』。 音を出してみて確信を抱きました。 ぜひ多くの方にお聴き頂きたいトリオです。 出演:喜多直毅(ヴァイオリン)    田中信正(ピアノ)    西嶋徹(コントラバス) 内容:暗く深いラテン音楽の数々 日時:2019年

挫折と初心と喜多クアルテット

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齋藤徹さんが亡くなって暫く経ちました。 これまでの歩みを振り返って、徹さんとの出会いは自分の人生の中でとても大きく、それだけに逝ってしまった事も大きな出来事です。 徹さんとの別れが自分の音楽人生の一つの節目ではないかと最近強く感じています。 この10年間、音楽活動に様々な事があったように、プライベートな生活にも大きな出来事が多々ありました。 寧ろプライベートな生活の方にこそ、巨大地震があり大津波があったと言って過言ではありません。 音楽活動は実は影のようなもので、実生活はもっとドラマティックで波乱に満ちたものでした。 いつの日か、この日々にどんな事を経験したか詳しく記したいと思っています。 それはきっと様々な人の役に立つ文章になると信じているからです。 しかし今はまだ伏せておきます。 ただ少しだけ、10年前のことを思いつくままにラフに書いてみたいと思います。 人様に迷惑をかけない範囲で、です。 2009年4月13日、10年前の演奏姿。翠川敬基さんのバンド“緑化計画”のライヴ。 @アケタの店(東京・西荻窪) 様々な人に出会いました。 両親から虐待され、40歳を過ぎてもその呪縛から逃れられずに苦しむ男性。 他者との関係だけではなく自分自身との関係がうまく築けずに悩んでいました。 彼とは何度か実際に会って色々な話をしたり、カラオケに行ったりしました。 高学歴なのに、能力があるのに、一度人生で躓いてしまった。 それが元で職を失い、家族を支えるためアルバイトスタッフとして不本意な仕事をしている。 それは社員さんに郵便物を配って回る仕事でした。 「仕事があるだけ感謝」と言って、自分自身の今の姿を何とか受け入れようとしていました。 めげつつもめげない様に、負けそうになりながらも負けない様に…、まるで嵐に揺れる一本の草のごとく生きている人でした。 拒食症の女性もいました。 彼女ともたまに会って食事をしたり、カラオケに行ったりしました。 旦那さんとの関係を断ち切って新しい人生を歩みたいのに、どうしても“元の鞘”に戻ってしまう。 そんな自分が嫌で嫌で仕方がないと言っていました。 別の女性は子供の頃にイジメにあった経験がトラウマとなり、ずっと引きこもっていました。 やっと外に出られる様になり、社会との関わり作りのリハビ

来週水曜日(7/24水)は喜多直毅クアルテット『青春の立像』!!!

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喜多直毅クアルテット 喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)北村聡(バンドネオン)三枝伸太郎(ピアノ)田辺和弘(コントラバス) 危うく『青春の蹉跌』と書くところでした。 違います、『青春の立像』です。 いきなりですが、人間の身体に胸郭ってありますよね? 僕にはこれが鳥籠に見える。 この中に人は一羽の鳥を飼っており、強い思いや願いを抱く度、鳥籠の中で暴れ騒ぐ。 そして胸を突き破って外に飛び立とうとする。 この鳥の持つエネルギーを青春と呼びたいのです。 とてもとても強いエネルギーです。 皆さん、カラスを間近で見た事がありますか? 案外大きいですよね。 嘴も大きく、鋭く、強そう。 そして声も間近で聞くと思いの外大きくて驚く。 いつだったか怪我をしたカラスが道で踠いていて、バサバサと羽ばたきをしていました。 ごめんなさい、動物病院へは連れて行きませんでした。 正直、気持ち悪いと思ってしまいました。 でもその羽ばたきの異常なまでの強さは今でも強く印象に残っています。 人間は胸郭の中に、この強い羽と大きな鳴き声を持った鳥を飼っている。 大半の人がこの鳥を無事に飼い慣らして生きていく。 エネルギーを建設的でポジティブな方向に向け、他者と睦み合い、自己実現を叶えていく。 でもそれが出来ない人たちもいて、彼らは胸の中の鳥同様、悲鳴を上げたり暴れたりする。 暗いエネルギーが暴発し、時に雑踏に車で突っ込んで人をナイフで刺したりもする。 警官から拳銃を奪い、罪なき人を撃つ。 またある人たちは鳥籠から羽ばたくことが出来ず、長い間、閉ざされた日々を送る。 鳥籠の中は掃除されず、腐り果てた餌や糞でいっぱいなのです。 負のエネルギー・鬱屈としたエネルギーこそ、僕が音楽にしたいものです。 それは何故か? 問題があると思うからです。 この問題が気になって仕方がない。 この問題は音楽でどうにか出来るわけではない。 しかし問題がある限り、僕はそれを看過できず、やっぱり音楽を通して触れてみたい。 僕は別にルポライターでもドキュメンタリー作家でもなく、評論家でも犯罪心理学者でもない。 文学の人間でもない。 ただのヴァイオリン奏者に過ぎないのだから、何もこんな問題に題材を得なくても良いのです。 しかし自分の胸郭にも、も