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2016年7月8日(金)齋藤徹の世界 ~還暦記念コントラバスリサイタル~ @sonorium(永福町)

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齋藤徹(コントラバス) 撮影:南谷洋策さん 昨年末より齋藤徹さん(コントラバス)の独奏リサイタルを企画制作しています。 実は人様の演奏会に裏方として関わるのは生まれて初めて。 しかし還暦という人生の節目を迎えた徹さんに思い切りホールで弾いて頂きたい、そして一人でも多くの方に徹さんの世界に触れて欲しいという思いからこの企画をスタートしました。 実行委員は僕の他、お嬢さんの真妃さん、そして近年頻繁に徹さんと共演しているかみむら泰一さん(サックス)、徹さんのベースアンサンブルでお馴染みの田辺和弘さん(コントラバス)、田嶋真佐雄さん(コントラバス)の5名です。 皆、日頃から徹さんにはお世話になり多くの学びの機会を頂いています。 さて僕と徹さんとの出会いは2009年の春。長く徹さんと演奏を続けていらっしゃる黒田京子さん(ピアノ)からのご紹介でした。「徹さんとトリオをやってみない?」、そう誘われたのです。 実は徹さんの演奏はそれまでにもCD等で聴いており、強い衝撃を受けていました。 まるで大地に根をはる大木の様にどっしりとした音色。太古の儀式を思わせる野生的なリズム。静寂を破るノイズの一撃やウブ毛を撫でるかの様にデリケートなアルコ。 それらはクラシック奏者にもジャズ奏者にもないコントラバスのサウンドであり、まさに“齋藤徹のサウンド”でした。 唯一無二と呼ぶに相応しい孤高の音楽家…、それが徹さんに抱いていた印象です。 そして演奏される音楽も単に楽しいとか美しいとか癒されるとかではなく、もっと魂の奥深くに触れるもの。強い生命力と共に“死”をも内包する音楽です。 こんな凄い演奏をする人と自分は共演させてもらえるのだろうか、何をどう弾いたら良いんだろう…。 最大の緊張感と期待を伴ってリハーサルにのぞんだのを覚えています。 徹さんとの出会いは、僕の音楽人生にとっての“黒船”でした。それまで自分が取り組んでいた音楽やその姿勢を根本から問い直さざるを得ない、実に大きなインパクトでした。 共演して間もない頃は様々な特殊奏法に目や耳を奪われていました。しかしそのうち、徹さんの音楽の魅力はもっと深い所にあると思う様になりました。 例えばそれは“巧さ”や“自己表現”の次元で音楽をしないところだと思います。 (誤解