2017年9月16日土曜日

10月21日(土)22日(日)喜多直毅クアルテット二日連続公演『無慚』・ご予約受付中!!!

喜多直毅クアルテット:喜多直毅(vln)北村聡(bn)三枝伸太郎(pf)田辺和弘(cb)
喜多直毅クアルテット
喜多直毅(音楽とヴァイオリン)、北村聡(バンドネオン)、
三枝伸太郎(ピアノ)、田辺和弘(コントラバス)
写真:山口敦
2017年6月10日求道会館(東京・本郷)

皆さん、こんにちは。
いよいよ今年最後の喜多直毅クアルテット公演です!
暫くぶりの公園通りクラシックスでの演奏。
至近距離で迫力あふれる演奏をお楽しみ頂けます!

昨年から今年のCDリリースまで、ちょっと大きめの会場でのライヴを暫く続けて来ました。
毎回多くのお客様に足を運んで頂き感謝しておりますが、ここでちょっと初心に戻りたくなりました。
2ndアルバム『Winter in a Vision 2』は一つの区切り
原点に立ち返りつつ、しかし何か新しい感覚も取り入れた上でこのライブを行えたらと思います。

ちょっと古いレパートリーも演奏するかもしれません。
しかしもちろん新曲もあり!
どうぞお誘い合わせの上お越しください!

タイトルは『無慚』!!!

【喜多直毅クアルテット2日連続公演】
無慚 ~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~


喜多直毅クアルテット:喜多直毅(vln)北村聡(bn)三枝伸太郎(pf)田辺和弘(cb)
喜多直毅クアルテット『無慚』~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~
2017年10月21日(土)22日(日)二日間連続公演
@公園通りクラシックス(渋谷)
写真:山口敦、デザイン:山田真介


【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。ロシア音楽を彷彿とさせる濃厚な旋律と共に、日本の伝統音楽に通ずる“間”の感覚を併せ持った彼らの音楽は、その深い精神性を高く評価されている。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、圧倒的な実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

◉出演:喜多直毅(音楽とヴァイオリン)
    北村聡(バンドネオン)
    三枝伸太郎(ピアノ)
    田辺和弘(コントラバス)
◉内容:喜多直毅オリジナル作品

◉日時:
2017年10月21日(土)、10月22日(日)
14時30分開場/15時開演(両日とも)
※二日とも異なるプログラムでお届けします。

◉会場:
   公園通りクラシックス(渋谷)
   〒150-0042東京都渋谷区宇田川町19-5
   東京山手教会B1F
   03-6310-8871
   ※JR・東京メトロ・東急線・京王井の頭線渋谷駅下車徒歩8分

◉料金 
・どちらか一日分のご予約 ¥4,000 
・二日連続予約 ¥7,000(10月21日(土)のご来場時に¥4,000、翌10月22日(日)に¥3,000を申し受けます。)
・当日(両日とも)¥4,500 

◉ ご予約に際しての注意事項 
・二日連続予約は10月20日までにお願い致します。 
・10月21日に翌日10月22日のご予約を頂いた場合は¥4,000を申し受けます。
・小学生以下のお子様のご入場はお断りする場合がございます。

◉メール予約アドレス:violin@nkita.net
 電話予約:03-6310-8871(公園通りクラシックス)
※メールタイトルは「喜多クアルテット10月予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》《予約日》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

◉Web予約フォーム
10月21日(土)
10月22日(日)


主催/企画制作:喜多直毅
協力:山本悦子
フライヤー:山口敦(写真)、山田真介(デザイン)

喜多直毅クアルテット

2017年9月15日金曜日

今週土曜日は長浜奈津子さん(女優)の朗読とコラボ!@下北沢LadyJane

喜多直毅(vln)長浜奈津子(女優)
長浜奈津子さん(女優)とリハーサルしました!

昨日・今日と女優の長浜奈津子さんと、今週土曜日に下北沢LadyJaneで行う朗読会のリハーサルでした。
奈津子さんは俳優座に所属し様々な公演に出演していらっしゃる他、朗読会も頻繁になさっています。
またタンゴ歌手としても活躍中。
共演は今回が初めてではなく、前に二度ほどご一緒させて頂いています(一度は芝居、一度は朗読)。

実は最近、朗読とのコラボが続いており、何か『今やるべきこと』として神様に示されているような気がします。
8月には軽井沢朗読館で高樹のぶ子さんの短編小説を元NHKアナの青木裕子さんと。
やはり8月下旬、横濱エアジンで宮沢賢治の作品(主に詩)。
9月に入って永井ウィメンズクリニックで女優の森都のりさんの朗読で宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』。
そして今回の奈津子さんとの朗読会@LadyJaneです。

さてこの度奈津子さんが取り上げたのは永井荷風の『濹東綺譚』と坂口安吾の『桜の森の満開の下』。
休憩を挟んでどちらかを第一部、どちらかを第二部としてお送りします。

濹東綺譚は、昭和初期に賑わった私娼街『玉の井』での老作家とお雪という女の恋愛を描いています。
玉の井とは現在の東京都墨田区東向島五丁目、東向島六丁目、墨田三丁目周辺。
僕は町歩きが趣味なのですが、このあたりはたま〜に散歩に行っていました。
入り組んだ路地の奥にレトロな娼館がまだ少しだけ残っていたりして、当時を偲ぶことができます。
今となっては寂れた感も否めないのですが、たまに良い感じのカフェがあってコーヒーや食事を楽しめます。
皆さんも是非散歩してみて下さいね!

古民家カフェ『こぐま』。鳩の街商店街にあります。ランチが美味い!そして寛げる。

喫茶店『カド』。壁や天井を埋め尽くす絵画に圧倒されます!
この前行ったらスクリャービンがかかってた…。
くるみパンとか自家製生野菜ジュースが最高です!

比較的淡々とした筆致で老作家と若い娼妓の恋愛が綴られていますが、繊細で“もののあわれ”に満ちた情景描写が素晴らしい!
この“もののあわれ”、紫式部、否、古今和歌集やもっと遡って万葉集の時代から、日本文学の根底にある美学のようなものだと思います。
※Wikipediaには“もののあわれ”=無常感的哀感と説明がありました。
わが国ではこの感覚が尊ばれて、ずっと昭和の頃まで続いているのを実感。
作品中、風鈴の幽けき音色や秋風でへし折れた庭の草花の描写が何度か現れるのですが、それらを通して登場人物の微妙な心模様をしみじみと描いており、実に哀愁と情趣にあふれています。
今回は僕の演奏にも作品と朗読の力によって“ものあわれ”が加わるのではないか…、そんな期待をしています。

さて、今回の朗読では読まれない箇所ですが、濹東綺譚には後書きの様な部分が続いています(後書きとしては結構長い?)
その中に荷風の価値観を表現している様な箇所があり、とても気に入ったので引用したいと思います。

以下引用:

「然し今の世の中のことは、これまでの道徳や何かで律するわけに行かない。何もかも精力発展の一現象だと思えば、暗殺も姦淫も、何があろうとさほど眉を顰しかめるにも及ばないでしょう。精力の発展と云ったのは慾望を追求する熱情と云う意味なんです。スポーツの流行、ダンスの流行、旅行登山の流行、競馬其他博奕ばくえきの流行、みんな慾望の発展する現象だ。この現象には現代固有の特徴があります。それは個人めいめいに、他人よりも自分の方が優れているという事を人にも思わせ、また自分でもそう信じたいと思っている――その心持です。優越を感じたいと思っている慾望です。明治時代に成長したわたくしにはこの心持がない。あったところで非常にすくないのです。これが大正時代に成長した現代人と、われわれとの違うところですよ。」

~途中略~

現代人がいかなる処、いかなる場合にもいかに甚しく優越を争おうとしているかは、路地裏の鮓屋に於いても直ただちに之を見ることができる。
 彼等は店の内なかが込んでいると見るや、忽たちまち鋭い眼付になって、空席を見出すと共に人込みを押分けて驀進ばくしんする。物をあつらえるにも人に先さきんじようとして大声を揚げ、卓子たくしを叩き、杖で床を突いて、給仕人を呼ぶ。中にはそれさえ待ち切れず立って料理場を窺のぞき、直接料理人に命令するものもある。日曜日に物見遊山ゆさんに出掛け汽車の中の空席を奪取うばいとろうがためには、プラットフームから女子供を突落す事を辞さないのも、こういう人達である。戦場に於て一番槍の手柄をなすのもこういう人達である。乗客の少い電車の中でも、こういう人達は五月人形のように股またを八の字に開いて腰をかけ、取れるだけ場所を取ろうとしている。
 何事をなすにも訓練が必要である。彼等はわれわれの如く徒歩して通学した者とはちがって、小学校へ通う時から雑沓ざっとうする電車に飛乗り、雑沓する百貨店や活動小屋の階段を上下して先を争うことに能よく馴ならされている。自分の名を売るためには、自ら進んで全級の生徒を代表し、時の大臣や顕官に手紙を送る事を少しも恐れていない。自分から子供は無邪気だから何をしてもよい、何をしても咎とがめられる理由はないものと解釈している。こういう子供が成長すれば人より先に学位を得んとし、人より先に職を求めんとし、人より先に富をつくろうとする。此努力が彼等の一生で、其外には何物もない。
 円タクの運転手もまた現代人の中うちの一人いちにんである。それ故わたくしは赤電車がなくなって、家に帰るため円タクに乗ろうとするに臨んでは、漠然たる恐怖を感じないわけには行かない。成るべく現代的優越の感を抱いていないように見える運転手を捜さなければならない。必要もないのに、先へ行く車を追越そうとする意気込の無さそうに見える運転手を捜さなければならない。若しこれを怠るならばわたくしの名は忽たちまち翌日の新聞紙上に交通禍の犠牲者として書立てられるであろう。

これ、当時の世人に対する批判ですが、現代にも当てはまりますよね。
我先に!とばかり、皆んなが自己実現のために汲々として押し合いへし合い蹴落とし合いをしている。

この文章が書かれたのは昭和初期(戦前)。
で、明治生まれの人と大正生まれの人を比較している。
今なんかと比べて、当時はまだ社会がノンビリしていて人々にも心の余裕があった時代だと思っていたのですが、実は既に現代とそう変わりなかったようです。
荷風が今の世の中を見たら何て言うでしょう?

いつの時代でも人は華美な流行を追い、他の人に遅れまい・先んじようとする。
目先のものに囚われて欲望の赴くままに生きようとする。
(僕もその通りの人間で実に情けなく思います。)

荷風はそう言うものから一歩距離を置いて、時代から置き去りにされた様なものに眼差しを注いでいた様な気がします(決して上から目線ではない)。
東京でも辺鄙なエリア、貧しい路地裏、人々の日常…。
実はこれらにこそ趣きがある。
荷風はここに侘び寂びを見出して作品にしたのだと思います。

是非、今回の濹東綺譚でこんな世界に触れて頂きたいと思います。


さてもう一つの作品は坂口安吾の『桜の森の満開の下』。
こちらは濹東綺譚とは全く異なる世界!
時代は平安の頃、一人の山賊と美しい女の幻想的な物語です。
この美しい女は大変わがままで気位が高い。
そして残酷!

かなりグロテスクなシーンもあるのですが、同時に大変美しい場面も登場します。
この“美”と“醜悪さ”の拮抗が実に素晴らしい!
ストーリーにも変化とリズムがあって面白いです。

どうぞお楽しみに!


それと二つの作品の奈津子さんの読み分けも聴きどころと思います。
リハーサルは坂口安吾、永井荷風の順で行ったのですが、奈津子さんが荷風を読み始めた時、目の前に昭和初期の東京が現れた気がしました!
これは実に見事!
小説の内容と同様に朗読そのものもお楽しみ頂けると思います!


今週土曜日は是非下北沢へお出かけください!
お待ちしています!


墨東奇譚」の地 
長浜奈津子(朗読)喜多直毅(ヴァイオリン)

タンゴの調べに乗って、ボルヘス詩を多々朗読してきた女優が、ヴァイオリンのディアスポラを道づれに荷風世界に踏み入れる。

1部~ 永井荷風「墨東奇譚」より「玉ノ井夜想~大江匡とお雪」
2部~ 坂口安吾「桜の森の満開の下」

出演:長浜奈津子(朗読)
   喜多直毅(ヴァイオリン)

日時:2017年9月16日(土)19:00開場 19:30開演
会場:Lady Jane(下北沢)
   155-0032  東京都世田谷区代沢5-31-14
   TEL 03-3412-3947

料金:ご予約¥2,700 当日¥3,200(+ドリンクオーダー)
ご予約・お問い合わせ03-3412-3947Lady Jane


そしてこの朗読会の翌日となりますが、日曜日の午後はお馴染み『ファド化計画』のライヴがあります。
メンバーはさがゆきさん(vo/gt)、翠川敬基さん(vc)、そして喜多(vln)の三名。
日本語歌詞によるファド、その他ラテン音楽やブラジル音楽、昭和歌謡などをお送りする予定。
会場は雑司が谷の古民家を改装したカフェバー・El Chocloです。

皆さん、こちらもどうぞ宜しくお願いします!

2017年9月17日ファド化計画:さがゆき(vo&gt)喜多直毅(vln)翠川敬基(vc)@雑司が谷TangoBarエル・チョクロ
2017年9月17日
ファド化計画:さがゆき(vo&gt)喜多直毅(vln)翠川敬基(vc)
@雑司が谷TangoBarエル・チョクロ

出演:ファド化計画
   さがゆきvocal and guitar
   翠川敬基(cello)
   喜多直毅(violin)
内容:日本語によるファド、ラテン、昭和歌謡、オリジナルetc

日時:2017年9月17日(日)14:00開場 15:00開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:ご予約¥3,900 当日¥4,300
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)

2017年9月12日火曜日

永井ウィメンズクリニックでの朗読会&コンサート楽しく終了しました!

『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』 森都のり(朗読)、喜多直毅(ヴァイオリン)、黒田京子(ピアノ) 2017年9月9日@永井ウィメンズクリニック(埼玉県三郷市)
『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』
森都のり(朗読)、喜多直毅(ヴァイオリン)、黒田京子(ピアノ)
2017年9月9日@永井ウィメンズクリニック(埼玉県三郷市)

先週土曜日は三郷の永井ウィメンズクリニックでのコンサートでした。
今回は午後【子供の部】、夜【大人の部】に分けて、地元の方々や病院関係者の方々にお楽しみ頂きました。

午後の子供の部は黒田京子さん(pf)、森都のりさん(女優)との三人で『チェロ弾きのゴーシュ』改め『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』を上演。
もちろん朗読は森都のりさん(通称:のんちさん)。
基本的にストーリーは原作に沿ったものですが、朗読では賢治のテキストを大事にしつつ、のんちさんの脚本+アドリブでお届けしました。

会場には子供さん達がお父さんやお母さん、お婆ちゃんに連れられて見に来てくれました。
病院には森永とグリコから差し入れのお菓子が届いていて、子供さん達だけではなく大人のお客さんにもプレゼントされましたよ!
(子供以上に喜んでいる方々もいました…w)

『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』 森都のり(朗読)、喜多直毅(ヴァイオリン)、黒田京子(ピアノ) 2017年9月9日@永井ウィメンズクリニック(埼玉県三郷市)
『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』、子ダヌキのシーン。
皆んなでリズムに合わせて手拍子!

本番はのんちさんの見事な朗読で、ぐいぐい引き込まれる子供達!
ホント、登場人物が目の前に次々と現れて来るようでした!
お話に登場する動物達の名前を子供に言い当てて貰ったり、鳴き声を真似して貰ったり(大人達も参加してくれました)、客席とのコミュニケーションを交えながら朗読は進んで行きました。
僕も横でお話に耳を傾けて、つい演奏を忘れそうになる始末。
ホント、実に素晴らしい朗読でした!

僕は芝居の世界の事は良く知らないのですが、これってのんちさんだからこそ出来る事なのだと感じます。
役者さんだから全員こう出来るとは思いません。
彼女が経営する両国のジャズバーb.b.では何度か黒田さんと演奏させて頂いてますし、両国門天ホールでのパフォーマンスも一度拝見しています。
しかし一緒に舞台に立つのはこれが初めて。
のんちさんの朗読には、何と言うか強い求心力を感じました。
これを機会にまた是非一緒にやらせて頂きたいです。
(今本当にやろうと考え中。)

森都のりさん(朗読)
素晴らしい朗読でした!

黒田さんと僕はお話の中の音楽を担当。
実は原作の『チェロ弾きのゴーシュ』って音楽劇とも言えますよね。
まず冒頭と最後の方に、ゴーシュがチェリストを務める楽団がベートーヴェンの田園交響曲を奏でるシーンが出て来る。
もちろんピアノとヴァイオリンで演奏しました!

それと『インドの虎狩り』!
この曲、架空の曲だそうで、他の朗読劇のチェロの方はオリジナル曲を弾いたり即興演奏をなさったりしているようです。
今回は僕のオリジナル曲『夢』を演奏させて頂きました。
(大分前に作った曲で“Viohazard"と言うアルバムに収録されています。)
もしまた次にこの演目に取り組むことがあったら、オリジナルの『インドの虎狩り』をやりたいっすね!

そしてお話のエンディングには黒田さんの『With You』を演奏。
優しくて温かい本当に良い曲です。
この曲が流れるのはこんなシーン。

演奏会で思う存分演奏して、小さな水車小屋へ帰って来たゴーシュ。
空には月が輝いています。
訪ねて来て一緒に音楽を練習してくれた動物達は、今夜は現れません。

台詞:

お〜い、猫。
君は音楽には表情があることを教えてくれた。
ああ、カッコウ。
君は口から血を吐くまで練習するように教えてくれた。
ああ、子ダヌキ。
君はリズムのとり方を教えてくれた。
ああ、野ネズミ。
君は音楽に心を込めなければいけないことを教えてくれた。
皆んな、有難う。

外は月夜でした。
ゴーシュには、小川の向こうや、畑のどこかで、みんなが喜んで聞いてくれているように思いました。

原作はもっとハードボイルドな感じのゴーシュの呟きで締めくくられます。
そしてちょっと曖昧な感情を残して終わります(それがこの作品に深みを与えている)。
実はこうした大人好みな渋い表現の他、作中には暴力的だったり、ブラックだったり、小さな子供には刺激の強い箇所があるのです。
今回は配慮をして、少し内容を変更させて頂きました。
このエンディング、とてもとても良かったと思います。
子供達だけではなく、大人の方々の胸にも温かい余韻が残ったのではないでしょうか。

僕はこうした子供向けの朗読と音楽の仕事は初めてでしたが、やってみて実に楽しかった!
もちろんのんちさんの素晴らしい朗読あってこそでした。
今回お越しになれなかった方々にも是非御覧頂きたいと思っています。

もしこのブログをお読みになって、子供さんの集まりで『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』を是非やって!と言う方、どうぞ遠慮なくご連絡下さい!
資料をお送りすることも可能です。
連絡先:violin@nkita.net(喜多直毅)

終演後、すっかりのんちさんと打ち解けた女の子。楽しそう!

さて夜は同じ会場で喜多&黒田デュオのライヴ。
こちらでは我々がいつも聴いて頂いているレパートリーから映画音楽やヨーロッパのポピュラー音楽、昭和歌謡などを演奏いたしました。
病院の永井院長からの『激しい曲をお願いします!』と言うリクエストにお応えして、『ラストタンゴインパリ』や『アルハンブラの思い出』を演奏。
『アルハンブラの思い出』、原曲は静かな曲なのですが、我々流にアレンジして“激しく”弾かせて頂きました。
他に『アメイジング・グレイス』、『スマイル』など。
ホント、謂わゆる“スタンダード”ほど、個性を発揮するデュオだと思います。

実は夜の部の演奏をしながら、少し自分がゴーシュになった様な気がしました。
実際に猫・カッコウ・子ダヌキ・野ネズミが我が家に来たことはありません。
でもこれまでに色んな人が僕に音楽の表情や練習の大切さ、リズム、心を込めることを教えてくれたのだと思います。
普段はこんな事、余り意識していなかったのですが、この夜はそうした人たちに聴いてもらう様な気持ちで演奏をしました。

それにしても僕もゴーシュの様な家に住んでみたい!
水車小屋。
畑。
小川が側を流れている。
月が綺麗に見える。
こんな場所、良いですよね!
花巻にあるのでしょうか???
僕は東京の片隅に一人で暮らしていますが、これからは東京のゴーシュになった積りでいよう!www

さてクリニックの永井先生とはもう20年近くお付き合いをさせて頂いております。
僕のファーストアルバムとなった『Tangophobia』の制作を全面的に応援して下さいました。
幾度もコンサートにも足を運んで頂き、演奏の機会も作って頂きました。
本当に有難い事です…。
他にもプライベートで困った時など、いつもお世話になって来ました。

ところが何もご恩返しが出来ていないのです。
それどころか、いつしか永井先生が応援して下さることに感謝を忘れていたのではないかと反省する次第です。
せめてこの日の演奏を喜んで下さればと思います。
そして微力ながら、これからは病院や地元・三郷市に何かの形で貢献させて頂きたいと思っています。

大変忙しい先生で、この日も診察やその他様々な用事の合間、客席で演奏を聴いて下さいました。
本当に有難うございました!

また病院のスタッフの皆さんも、このコンサートの為に忙しい中を協力して下さいました。
飲み物やお菓子を出したり、会場設営をして下さったり、朗読会のスライドショーの準備・PowerPointの操作をして下さいました。
また宣伝や予約の受付にもご協力頂きました。
心から感謝いたします!

そしてお集まり頂いた皆さん。
地元の方々も、東京や遠く茨城・北海道からお越し下さった方々も本当に有難うございました!!!
また是非聴きに来て下さいね!


さて黒田さんとの次回の演奏のご案内です。

Jazz Platz 第29回ライヴ

第29回JazzPlatz:喜多直毅&黒田京子デュオ
2017年10月14日:ルヴェソンヴェール南大沢


出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   黒田京子(ピアノ)
内容:映画音楽・ヨーロッパのポピュラー音楽・昭和歌謡・それぞれのオリジナル曲・etc.

日時:2017年10月14日(土)18:00開場 19:00開演
会場:ルヴェソンヴェール南大沢
   〒192-0397東京都八王子市南大沢1-1
   首都大学東京国際交流会館内
   042-677-3301
   ※京王相模原線南大沢駅徒歩10分(首都大学内)
   ※駐車場はございませんので、お車でのご来店はお控えください。

料金:¥4,000(お食事付き)
ご予約:042-677-3301(ルヴェソンヴェール南大沢)

主催の大澤郁枝さんは多摩地区でもう28回もジャズのライヴを行なっていらっしゃいます。
29回目として我々の演奏の機会を作って下さいました。
ヴァイオリニストの出演はこれが初めてだそうです。

大澤さんがJazz Platzのブログに我々の紹介記事を書いて下さっています。
恐らくネットにある僕の昔のインタビュー記事を参考に書かれたと察します。
若気の至り的な発言もあり今となってはちょっと恥ずかしい…。
でもこうしてわざわざ記事を書いて下さったこと、本当に嬉しく思います。
皆さん、良かったらお読み下さい!
Jazz Platz ジャズプラッツ 喜多直毅&黒田京子デュオ

会場は首都大学東京のキャンパス内にあるフレンチレストランです。
美味しい食事も召し上がれます。
どうぞご参加下さい!

それでは皆さん、宜しくお願いします!

『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』 森都のり(朗読)、喜多直毅(ヴァイオリン)、黒田京子(ピアノ) 2017年9月9日@永井ウィメンズクリニック(埼玉県三郷市)
朗読会の最後にアンコールとして全員で『星めぐりの歌』(宮沢賢治作詞作曲)を歌いました。

2017年9月7日木曜日

今週土曜日は三郷・永井ウィメンズクリニックでライヴです!!!

今日も都内の日帰り温泉へ!
低気圧症候群にはこれが一番です。
熱すぎないお湯に浸かって夢気分。
露天風呂で手足を伸ばし、浮いたり沈んだりしています。


さて今週土曜日は三郷の永井ウィメンズクリニックで黒田京子さん(pf)とライヴを行います。
午後の部・夜の部と分けて、午後は子供さん対象、夜は大人対象としております。
勿論、午後の部に来てくださる大人の方も大歓迎です!

午後の部では森都のりさんの朗読による『チェロ弾きのゴーシュ』ならぬ『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』をお送りします。
森都さん(通称:のんちさん)はトランクシアターと言う劇団で活動を続けて来られ、音楽を担当していた黒田さんとは長いお付き合い。
黒田さん企画のライヴにも女優として、時には歌手として出演されています。
僕も一度黒田さん&のんちさんによるパフォーマンスを両国門天ホールで拝見しましたが、ユーモアとペーソスたっぷり。
ステージからエネルギー迸るホントに素晴らしい公演でした。

今回取り上げるのは、宮沢賢治による童話の中でも馴染み深い『チェロ弾きのゴーシュ』。
え?チェロ弾きはどこ?
…僕はヴァイオリンしか弾けません。
ってなわけで、タイトルを『ヴァイオリン弾きのゴーシュ』とさせて頂きました。
お話の筋は原作とほぼ同じです。

朗読は勿論のんちさん。
音楽は喜多&黒田デュオ。
先日リハーサルをしましたが、のんちさんの朗読、すっごく楽しいです!
脚本はご自身で書いておられますが、アドリブもきっと飛び出します。

さて、主人公のゴーシュは町の活動写真館(映画館)でチェロを弾いている若者です。
余り上手ではなく、他の楽師の足を引っ張ったりして、指揮者に怒られてばかりいます。
ボロボロ悔し涙を流しながら練習に励むものの、なかなか上達しない。
彼が演奏するのは粗末な酷い楽器…。

そんな彼の家を一夜ごとに猫、カッコウ、たぬき、ネズミが訪ねて来て、色んなやり取りが始まります。
ゴーシュは仕事場では怒られてばかりのくせに、小さな動物たちには大威張りなのです。
傲慢さや意地悪さも感じる。
こういう人いますよね。
僕は自分の事かと思い、日頃をちょっと反省しました…。

この童話はゴーシュが動物たちとの出会いを通して、音楽とは何かを学んでいく物語です。
いえ、音楽だけではありません。
動物たちと話したり、一緒に演奏をしたりしていくうち、彼の“心”が少〜しずつ変わっていくのです。
どんな変化がゴーシュに起こるのか、それをのんちさんの朗読とデュオの演奏を通して発見していただければ嬉しいです。

さて夜の部は大人向けのコンサート。
お馴染み、黒田京子さんとのデュオをたっぷりお届け致します。
映画音楽、昭和歌謡、オリジナル…。
普段のライヴハウスでの演奏とはまた一味違うデュオをお楽しみ頂ければ幸いです。

午後の部、夜の部共にまだお席に余裕がございます。
ぜひお誘い合わせの上、お出かけください!

喜多直毅&黒田京子デュオ guest:森都のり@永井ウィメンズクリニック

喜多直毅&黒田京子デュオ guest:森都のり@永井ウィメンズクリニック
2017年9月9日喜多直毅&黒田京子デュオ、guest:森都のり
三郷市・永井ウィメンズクリニック
フライヤーデザイン:山田真介

◉午後の部・子供のコンサート

出演:森都のり(女優)
   喜多直毅(ヴァイオリン)
   黒田京子(ピアノ)
内容:宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』を朗読と音楽で

日時:2017年9月9日(土)14:00開場/14:30開演/15:10頃終演
会場:永井ウィメンズクリニック1Fミルキーウェイ(三郷)
   埼玉県三郷市早稲田2-2-10
   048-950-1103

料金:子供 予約¥500 当日¥800
   大人 予約¥1,500 当日¥1,800
御予約・お問い合わせ:
nagai@nagai-cl.com、048-950-1103(永井クリニック・小沢、又は新井
violin@nkita.net(喜多直毅)

◉夜の部・大人のコンサート

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   黒田京子(ピアノ)
内容:映画音楽、ポピュラー音楽、昭和歌謡etc

日時:2017年9月9日(土)17:00開場/17:30開演/19:30頃終演
会場:永井ウィメンズクリニック1Fミルキーウェイ(三郷)
   埼玉県三郷市早稲田2-2-10
   048-950-1103

料金:予約¥3,000/当日¥3,500(ワンドリンク付き)
御予約・お問い合わせ:
nagai@nagai-cl.com、048-950-1103(永井クリニック・小沢、又は新井
violin@nkita.net(喜多直毅)

会場の永井ウィメンズクリニックはJR武蔵野線北口から徒歩4分〜5分(僕の足で)。
近くに『永井マザーズホスピタル』という同じ系列の病院もありますので、どうぞお間違いなく!



皆さん、どうぞ宜しくお願いします!

2017年9月6日水曜日

ちょっと演奏後記(8月下旬のミニツアー:名古屋→軽井沢→横浜)

皆さん、お元気ですか?
大分涼しくなってきましたね。
僕は深夜徘徊が趣味なのですが、やっと歩きやすい気候になって嬉しいです。
ちなみにこの記事は深夜のファミレスで書いています。
他に客が誰もいなくて素晴らしいです!

さて先月8月末はちょっとしたミニツアーでした。
8/24から8/27まで。
とても楽しかったので、写真を交えてどんな感じだったかご紹介したいと思います。

まず8/24は田中信正さんpfと名古屋のgallery feel art zeroと言う美しいギャラリーで演奏をさせて頂きました

演奏スペース。可愛いホフマンのピアノ。
壁にかけてあるのはオーストリアの美術作家・ヴォルフガング・ザイエール氏の作品。

この二人では今年6月にアルバム『Contigo en La Distancia』をリリースしたばかり。
今回の名古屋での演奏会は、このアルバム制作に初っ端から関わって下さった地元のピアノ調律師・三ヶ田美智子さんの主催企画です。
わざわざホフマンと言う可愛いアップライトピアノも運び込んで下さいました。
東京以外でこうして演奏会を開いてくださる方の存在は実に実に有難いっす!(増してCD制作までお世話になり、本当に大感謝!)
三ヶ田さん、有難うございます!!!

そして会場のオーナー、正木なおさん。
(正木さんも前述の三ヶ田さんも美人です。)
gallery feel art zeroではキュレーターとして本当に多くの作品展を開いておられます
これまでの作品展の資料写真を見せて頂いたのですが、どれも斬新さとエネルギーを強く感じさせるものでした。
こんな作品が普段から展示されている場所ですからパワーを感じる感じる!
控え室に置いてあったヴォルフガング・ザイエール氏の作品がとても素晴らしく、この作品の前で演奏したいと申し出たところ、わざわざ演奏スペースの壁にかけて下さいました。
有難うございます!
ちなみに正木さんには田中さんとのCDジャケットのデザインでもお世話になりました。

当日は会場入りして直ぐに動画の撮影。
(そのうちYouTubeなどで公開するかも?)

喜多直毅(vln)、田中信正(pf)@名古屋gallery feel art zero
撮影中。

本番はお陰様で満員となりました!
嬉しいっすね〜!
コンサートは7/14に東京で行ったコンサートに曲解説などのMCを加えてお届けしました。
皆さん、本当に喜んで下さいました!
田中さんとのCDに加えて、喜多直毅クアルテットの1stアルバムと2ndアルバムも沢山お買い求め頂き有難うございました!

喜多直毅(violin)、田中信正(piano) 2017年8月24日@名古屋gallery feel art zero

喜多直毅(violin)、田中信正(piano) 2017年8月24日@名古屋gallery feel art zero
喜多直毅(violin)、田中信正(piano)
2017年8月24日@名古屋gallery feel art zero


さて田中さんとのアルバムのジャケットには名古屋の写真家・辻徹さんの作品を使わせて頂きました。

『Contigo en La Distancia』喜多直毅(vln)、田中信正(pf)
『Contigo en La Distancia』喜多直毅(vln)、田中信正(pf)
写真:辻徹、アートワークデザイン:正木なお

正木さんからは辻徹さんの『刻 ~Toki~』と言う写真集を頂きました。
タイトルのごとく、どの写真にも時間が停止した世界を見るようです。
そして静寂。
否、無音だからこそ、耳の奥で何か音楽が生まれて来る感じもします。
喜多直毅クアルテットで使わせて頂いた小島一郎さんの写真の世界にも、どこか通ずるところがあるように思います。

皆さんにも是非御覧頂きたく、ここに辻さんの過去の作品展のサイトのリンクを貼っておきます。
VOL.94_Toru Tsuji_Exhibition 辻 徹 刻

当日は辻さんの奥様が聴きに来てくださり、ご挨拶をさせて頂きました。
有難うございました!

終演後は僕もホフマンのピアノを弾いてみました。
丸くて優しい音色。
モーツァルトのピアノソナタに合うかも。

打ち上げは正木さんの行きつけのモロッコ料理店。
タジン料理、その他諸々。
実に美味くて大満足!





打ち上げは今回の演奏会に色々とご協力下さった佐藤貢さんも交えて、深夜まで盛り上がりました!
貢さんは手作り楽器による演奏もされていて、ちょっと音源を聴かせて頂きましたがこれが素晴らしい。

僕も含めて音楽家はその演奏の価値を巧さに求めてしまう傾向がある。
『良い音楽=上手な演奏』と言うふうに。
それは決して間違いではないと思いますが、貢さんの様に音楽活動をしている美術家の演奏を聴くと、また違った音楽の可能性に気づかされる。
(貢さんの演奏が下手だと言っているのではありません。)
美術の方々の音楽へのアプローチは大変刺激になります。
『上手・下手』だけの価値観ではなく、技術的な精進もした上で、そこに依存しすぎない音楽を探し求めたいと思います。
名古屋の皆さん、機会があったらどうぞ貢さんのライヴやCDを聴いてみて下さい!

ちなみに田中信正さんとは12月に東京でライヴを行います。
何と12/24のクリスマスイヴ!
会場は雑司が谷のエル・チョクロです。
名古屋での演奏、とても喜んで頂けましたので、東京でも頑張りたいと思います!

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   田中信正(ピアノ)
内容:中南米音楽、スタンダードナンバー、クリスマスソング、etc.

日時:2017年12月24日(日)14:00開場 15:00開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:ご予約¥3,500 当日¥3,800
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)

この日はクリスマスソングも何曲か演奏したいと思っています。
何か良い曲ないだろうか。
これから探します…。

それともう一つお知らせ。
『Contigo en La Distancia』のCDレビューが、タワーレコードのウェブサイト“Mikiki”に掲載されました。
文章は板谷祐輝さん。
皆さん、どうぞお読み下さい!



Mikiki
喜多直毅 , 田中信正
『Contigo en La Distancia』~遠く離れていても~



さて翌日は一人軽井沢へ。
※時間が無くて名古屋おもしろグルメの総本山・喫茶マウンテンには行けず…。
ちょっと残念。
このお店は“甘口いちごスパゲティ”や“納豆サボテン卵とじスパ”、“小倉丼”などの奇想天外なメニューで有名です。
次回の名古屋では絶対行ったるぜい!

軽井沢には“軽井沢朗読館”という朗読専門のホールがあり、今回はこちらで高樹のぶ子さんの書き下ろし短編小説“蜜蜂とバッタ”の朗読会で演奏させて頂きました。
朗読は元HNKアナウンサーの青木裕子さん、そして共に演奏するのはチェンバリストの小澤章代さん(ピアノも演奏)です。
青木裕子さんは朗読館の館長でいらっしゃいます。
こちらの会場では青木さんの朗読の他、他にも多くの朗読館・作家の方々や演奏家が出演しています。
僕が行った二日前は谷川俊太郎さん(詩人)・賢作さん(ピアノ奏者)親子、翌日は坂田明さん(サックス)のソロ公演でした。

朗読館のテラスで青木裕子さんと。手前のワンちゃんは青木さんの愛犬。
この後ここにテーブルと椅子を出して皆んなで朝食。

高木さんの短編は前もって読ませて頂いていたのですが、じんわりと感動が広がるような物語。
舞台は僕の大好きなイタリアなのが嬉しい!(正確にはベネツィアのリド島)
大人の男女の愛、別れ、老いと死が描かれており、人生についてしみじみと考えさせらる小説でした。
そして情景描写が本当に美しい。
優雅でちょっと感傷的な夕暮れのリド島の風景が浮かんだりしました。

小説の中ではビスコンティ監督の“ベニスに死す”や、この映画に使われたマーラーの“アダージェット”が重要な役割を果たしています。
ということで、朗読会でも小澤さんと共にアダージェットを演奏。
本来はオーケストラで演奏される楽曲ですが、ピアノソロ版の楽譜を用いて演奏。
遅めのテンポでピアノが3連音符のアルペジオを奏で、それがまるで打ち寄せる波のよう。
その上でヴァイオリンがゆったりと甘美で退廃的なメロディを歌います。

実は、僕はこう言う曲は弓が保たなくて苦手なのです。
ブラームスのヴァイオリンソナタにも良く出て来るのですが、ppからmpくらいの音量をキープしつつ息の長いフレーズがずっと続く。
直情的な性格故か、すぐガーッと弾きたくなってしまう。
ホント向いていないと思うのですが、今回は小澤さんのフワッと包むようなペダリングに助けられてたっぷりと歌うことが出来ました。

マーラー以外には、僕のオリジナル作品“月と星のシンフォニー”の一部分と“残された空”を演奏させて頂きました。
他に小澤さんが選んで下さったバッハのチェンバロ協奏曲に合わせて即興演奏をしたり。
実はチェンバロとの演奏は生まれて初めて。
ピアノとは違ったアンサンブルを楽しむことが出来ました。

本番では朗読と共に演奏も大変喜んで頂けました。
客席の反応がとても良くて嬉しかった!
客席で聴いていらした高樹のぶ子さんも喜んで下さった様で良かったなぁ!

朗読館で初めて高木さんにお目にかかってご挨拶をさせて頂いた時、『盛岡出身の45歳ね、ふ〜ん…』とちょっと意味ありげに言われたのです。
何でかなぁと思っていたのですが、高木さんが選考委員を務めておられる芥川賞の今年の受賞者(沼田真佑さん)は盛岡市在住だったんですね。
年齢は僕より若く38歳だけど、高木さんの中では“盛岡”で繋がったのでしょうか???
それは分かりません…。

実は軽井沢には本番の前日に前乗りして、リハーサルをしておりました。
人生初の軽井沢!
泊めて頂いた朗読館は山の中だったので一人で遊びに出歩くわけには行きませんでしたが、車で“星野温泉・トンボの湯”に連れていって頂きました。
露天風呂最高!

公演の後はお客様を交えた盛大なパーティ(高木さんの日本芸術院賞受賞記念)の後、スタッフのみによる楽しく激しい(!?)打ち上げが行われました。
ここで素晴らしい英語朗読を披露して下さったのが、元NHK英語アナウンサー・青谷優子さん。
夏目漱石の夢十夜の怪談をユーモアと臨場感たっぷりに朗読して下さいました。
いや〜面白かった!

小澤さんも僕も興に乗って、青谷さんの朗読に即興演奏で参戦!
これも大変盛り上がりました!
(この後、そして皆さんのリクエストにお応えして、ちょこっとヴァイオリンソロを演奏させて頂きました。)

ここは朗読館のエントランス。吹き抜けで響きは最高!

朗読館にはこの会の為に何人か協力者の方々が集まっていらして、和気藹々と良い雰囲気!(夜は酒盛り)
その中に料理研究家の女性がいらして、滞在中の三食と打ち上げやパーティの料理を作って下さいました。
健康的で美味い!
こんな料理を毎日食べられたらなぁ…。
最近ちょっとアレルギー体質になって来たので、尚更そう思います。





さてさて軽井沢の後は横浜へ直行。
横濱エアジンで行われた宮沢賢治生誕121年祭に参加。
企画とメンバーの人選はエアジン店主のうめもとさんです。

『イーハトーブ農学校』書はゆいさんです。

メンバーは小谷真由美さん(vo)、ゆい。Soleiyu Eyeさん(pf)、高原朝彦さん(10弦ギター)、喜多(vln)。
それぞれが賢治のテキストを朗読し、文章からイメージされる即興演奏を行いました。
僕は岩手弁で『永訣の朝』を読ませて頂きました。
ゆいさんはピアノ演奏と朗読の他、書のライヴペインティング。


2017年8月27日・宮沢賢治生誕121年祭@横濱エアジン
小谷真由美(vo)、ゆい。Soleiyu Eye(pf)、高原朝彦(10弦ギター)、喜多直毅(vln)

僕は主に賢治の詩集『疾中』から選ばせて頂きました。

『ひるすぎの三時となれば』

ひるすぎの三時となれば
わが疾める左の胸に
濁りたる赤き火ぞつき
やがて雨はげしくしきる
はじめは熱く暗くして
やがてまばゆきその雨の
杉と榊を洗ひつゝ
降りて夜明けに至るなれ

これは選んだうちの一編。
賢治には多くの作品があって、それぞれに違った味わいがあるのは言うまでもありません。
『疾中』にはその名の通り、病に臥せっている様子や心情が綴られています。
僕はこの詩集を通して描かれる“熱”、“吹きすさぶ風”、“静けさ”、“荒々しさ”にとても惹かれます。

詩集全体を通して“病”と言う言葉が何度も登場しますが、これは胸の病気(結核や肋膜炎)であることは明らかです。
そして迫り来る死の恐ろしさや身体的な苦しみが詩に表現されています。

しかし彼の脳裏に浮かんでいるイメージに思いを巡らすと、双極性障害の“鬱”と“躁”が混じり合った状態も感じてしまう。
死にまつわる黒々とした想念が物凄いスピードで脳内を回転する感じ。
頭を乗せている枕がブスブスと焼け焦げ始めるほどの灼熱の想念です。

『丁丁丁丁丁』

     丁丁丁丁丁
     丁丁丁丁丁
 叩きつけられてゐる 丁
 叩きつけられてゐる 丁
藻でまっくらな 丁丁丁
塩の海  丁丁丁丁丁
  熱  丁丁丁丁丁
  熱 熱   丁丁丁
    (尊々殺々殺
     殺々尊々々
     尊々殺々殺
     殺々尊々尊)
ゲニイめたうとう本音を出した
やってみろ   丁丁丁
きさまなんかにまけるかよ
  何か巨きな鳥の影
  ふう    丁丁丁
海は青じろく明け   丁
もうもうあがる蒸気のなかに
香ばしく息づいて泛ぶ
巨きな花の蕾がある

実際、彼が双極性障害を患っていたという説があるそうです(あくまでも“説”です)。
以上は僕の勝手な深読みで、学術的にはちっとも正しくないと思います。
(きっと研究者には怒られます、こんな事言ってたら…。)
でも僕には何だかこのように感じられて、どうも『疾中』には強烈に惹かれてしまいます。

ちなみにこれらの詩は高原朝彦さんに朗読をお願いしました。
とても素晴らしかったです!
『田園に死す』と言う映画で、監督・脚本の寺山修司自身が自分の短歌を朗読しているのですが、高原さんの朗読はまさに寺山の語りを思わせました。
朴訥としていて、飾りっ気がない。
闇の中から聞こえて来る呟きのようでした。


会場のエアジンは超満員!(今まで僕がエアジンに出演した中で最多動員数!)
そして偶然にもこの日は小谷まゆみさんの誕生日!
お店からはバースデーケーキが!
そして我々の演奏で会場のお客さんたちにハッピーバースデーの歌を歌って頂きました。
盛り上がったぜい!

小谷さんはロック出身ですが、最近は詩吟もパフォーマンスに取り入れていらして、一度ライヴを聴きに行ったのですがとても素晴らしかったです。
実は先日帰省した時に僕の叔父が詩吟の先生だと初めて知りました。
『今度宮沢賢治にちなんだライヴをやるんだけど、ヴォーカルの女性が詩吟を取り入れてるんだよ』と言ったところ、『雨ニモマケズ』の詩吟バージョンがあると教えてくれました。
おおお、小谷さんに知らせなくては。

さて、このライヴで共演した高原朝彦さんとは10月にデュオで演奏いたします。
皆さん、是非お越しください!

出演:高原朝彦(10弦ギター)
   喜多直毅(ヴァイオリン)
内容:即興演奏

日時:2017年10月6日(金)19:30開場/20:00開演
会場:喫茶茶会記(四谷三丁目)
   160-0015東京都新宿区大京町2-4-1F
   03-3351-7904

料金:2,500円(ドリンク付き)
ご予約・お問い合わせ:
   sakaiki@modalbeats.com
   03-3351-7904


ってなわけで、充実のミニツアーでした!
新しい出会いもあって、これからに繋げて行きたいと思います!
各地でお世話になった皆さん、演奏を聴いて下さった方々、本当に有難うございました!
(写真は共演者や会場などのFacebookから勝手に拝借しました…。ごめんなさい。)