2017年9月6日水曜日

ちょっと演奏後記(8月下旬のミニツアー:名古屋→軽井沢→横浜)

皆さん、お元気ですか?
大分涼しくなってきましたね。
僕は深夜徘徊が趣味なのですが、やっと歩きやすい気候になって嬉しいです。
ちなみにこの記事は深夜のファミレスで書いています。
他に客が誰もいなくて素晴らしいです!

さて先月8月末はちょっとしたミニツアーでした。
8/24から8/27まで。
とても楽しかったので、写真を交えてどんな感じだったかご紹介したいと思います。

まず8/24は田中信正さんpfと名古屋のgallery feel art zeroと言う美しいギャラリーで演奏をさせて頂きました

演奏スペース。可愛いホフマンのピアノ。
壁にかけてあるのはオーストリアの美術作家・ヴォルフガング・ザイエール氏の作品。

この二人では今年6月にアルバム『Contigo en La Distancia』をリリースしたばかり。
今回の名古屋での演奏会は、このアルバム制作に初っ端から関わって下さった地元のピアノ調律師・三ヶ田美智子さんの主催企画です。
わざわざホフマンと言う可愛いアップライトピアノも運び込んで下さいました。
東京以外でこうして演奏会を開いてくださる方の存在は実に実に有難いっす!(増してCD制作までお世話になり、本当に大感謝!)
三ヶ田さん、有難うございます!!!

そして会場のオーナー、正木なおさん。
(正木さんも前述の三ヶ田さんも美人です。)
gallery feel art zeroではキュレーターとして本当に多くの作品展を開いておられます
これまでの作品展の資料写真を見せて頂いたのですが、どれも斬新さとエネルギーを強く感じさせるものでした。
こんな作品が普段から展示されている場所ですからパワーを感じる感じる!
控え室に置いてあったヴォルフガング・ザイエール氏の作品がとても素晴らしく、この作品の前で演奏したいと申し出たところ、わざわざ演奏スペースの壁にかけて下さいました。
有難うございます!
ちなみに正木さんには田中さんとのCDジャケットのデザインでもお世話になりました。

当日は会場入りして直ぐに動画の撮影。
(そのうちYouTubeなどで公開するかも?)

喜多直毅(vln)、田中信正(pf)@名古屋gallery feel art zero
撮影中。

本番はお陰様で満員となりました!
嬉しいっすね〜!
コンサートは7/14に東京で行ったコンサートに曲解説などのMCを加えてお届けしました。
皆さん、本当に喜んで下さいました!
田中さんとのCDに加えて、喜多直毅クアルテットの1stアルバムと2ndアルバムも沢山お買い求め頂き有難うございました!

喜多直毅(violin)、田中信正(piano) 2017年8月24日@名古屋gallery feel art zero

喜多直毅(violin)、田中信正(piano) 2017年8月24日@名古屋gallery feel art zero
喜多直毅(violin)、田中信正(piano)
2017年8月24日@名古屋gallery feel art zero


さて田中さんとのアルバムのジャケットには名古屋の写真家・辻徹さんの作品を使わせて頂きました。

『Contigo en La Distancia』喜多直毅(vln)、田中信正(pf)
『Contigo en La Distancia』喜多直毅(vln)、田中信正(pf)
写真:辻徹、アートワークデザイン:正木なお

正木さんからは辻徹さんの『刻 ~Toki~』と言う写真集を頂きました。
タイトルのごとく、どの写真にも時間が停止した世界を見るようです。
そして静寂。
否、無音だからこそ、耳の奥で何か音楽が生まれて来る感じもします。
喜多直毅クアルテットで使わせて頂いた小島一郎さんの写真の世界にも、どこか通ずるところがあるように思います。

皆さんにも是非御覧頂きたく、ここに辻さんの過去の作品展のサイトのリンクを貼っておきます。
VOL.94_Toru Tsuji_Exhibition 辻 徹 刻

当日は辻さんの奥様が聴きに来てくださり、ご挨拶をさせて頂きました。
有難うございました!

終演後は僕もホフマンのピアノを弾いてみました。
丸くて優しい音色。
モーツァルトのピアノソナタに合うかも。

打ち上げは正木さんの行きつけのモロッコ料理店。
タジン料理、その他諸々。
実に美味くて大満足!





打ち上げは今回の演奏会に色々とご協力下さった佐藤貢さんも交えて、深夜まで盛り上がりました!
貢さんは手作り楽器による演奏もされていて、ちょっと音源を聴かせて頂きましたがこれが素晴らしい。

僕も含めて音楽家はその演奏の価値を巧さに求めてしまう傾向がある。
『良い音楽=上手な演奏』と言うふうに。
それは決して間違いではないと思いますが、貢さんの様に音楽活動をしている美術家の演奏を聴くと、また違った音楽の可能性に気づかされる。
(貢さんの演奏が下手だと言っているのではありません。)
美術の方々の音楽へのアプローチは大変刺激になります。
『上手・下手』だけの価値観ではなく、技術的な精進もした上で、そこに依存しすぎない音楽を探し求めたいと思います。
名古屋の皆さん、機会があったらどうぞ貢さんのライヴやCDを聴いてみて下さい!

ちなみに田中信正さんとは12月に東京でライヴを行います。
何と12/24のクリスマスイヴ!
会場は雑司が谷のエル・チョクロです。
名古屋での演奏、とても喜んで頂けましたので、東京でも頑張りたいと思います!

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   田中信正(ピアノ)
内容:中南米音楽、スタンダードナンバー、クリスマスソング、etc.

日時:2017年12月24日(日)14:00開場 15:00開演
会場:雑司が谷TANGO BAR エル・チョクロ
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-2-8
   03-6912-5539

料金:ご予約¥3,500 当日¥3,800
予約・問合せ:エル・チョクロ
   03-6912-5539/info@el-choclo.com
   violin@nkita.net(喜多)

この日はクリスマスソングも何曲か演奏したいと思っています。
何か良い曲ないだろうか。
これから探します…。

それともう一つお知らせ。
『Contigo en La Distancia』のCDレビューが、タワーレコードのウェブサイト“Mikiki”に掲載されました。
文章は板谷祐輝さん。
皆さん、どうぞお読み下さい!



Mikiki
喜多直毅 , 田中信正
『Contigo en La Distancia』~遠く離れていても~



さて翌日は一人軽井沢へ。
※時間が無くて名古屋おもしろグルメの総本山・喫茶マウンテンには行けず…。
ちょっと残念。
このお店は“甘口いちごスパゲティ”や“納豆サボテン卵とじスパ”、“小倉丼”などの奇想天外なメニューで有名です。
次回の名古屋では絶対行ったるぜい!

軽井沢には“軽井沢朗読館”という朗読専門のホールがあり、今回はこちらで高樹のぶ子さんの書き下ろし短編小説“蜜蜂とバッタ”の朗読会で演奏させて頂きました。
朗読は元HNKアナウンサーの青木裕子さん、そして共に演奏するのはチェンバリストの小澤章代さん(ピアノも演奏)です。
青木裕子さんは朗読館の館長でいらっしゃいます。
こちらの会場では青木さんの朗読の他、他にも多くの朗読館・作家の方々や演奏家が出演しています。
僕が行った二日前は谷川俊太郎さん(詩人)・賢作さん(ピアノ奏者)親子、翌日は坂田明さん(サックス)のソロ公演でした。

朗読館のテラスで青木裕子さんと。手前のワンちゃんは青木さんの愛犬。
この後ここにテーブルと椅子を出して皆んなで朝食。

高木さんの短編は前もって読ませて頂いていたのですが、じんわりと感動が広がるような物語。
舞台は僕の大好きなイタリアなのが嬉しい!(正確にはベネツィアのリド島)
大人の男女の愛、別れ、老いと死が描かれており、人生についてしみじみと考えさせらる小説でした。
そして情景描写が本当に美しい。
優雅でちょっと感傷的な夕暮れのリド島の風景が浮かんだりしました。

小説の中ではビスコンティ監督の“ベニスに死す”や、この映画に使われたマーラーの“アダージェット”が重要な役割を果たしています。
ということで、朗読会でも小澤さんと共にアダージェットを演奏。
本来はオーケストラで演奏される楽曲ですが、ピアノソロ版の楽譜を用いて演奏。
遅めのテンポでピアノが3連音符のアルペジオを奏で、それがまるで打ち寄せる波のよう。
その上でヴァイオリンがゆったりと甘美で退廃的なメロディを歌います。

実は、僕はこう言う曲は弓が保たなくて苦手なのです。
ブラームスのヴァイオリンソナタにも良く出て来るのですが、ppからmpくらいの音量をキープしつつ息の長いフレーズがずっと続く。
直情的な性格故か、すぐガーッと弾きたくなってしまう。
ホント向いていないと思うのですが、今回は小澤さんのフワッと包むようなペダリングに助けられてたっぷりと歌うことが出来ました。

マーラー以外には、僕のオリジナル作品“月と星のシンフォニー”の一部分と“残された空”を演奏させて頂きました。
他に小澤さんが選んで下さったバッハのチェンバロ協奏曲に合わせて即興演奏をしたり。
実はチェンバロとの演奏は生まれて初めて。
ピアノとは違ったアンサンブルを楽しむことが出来ました。

本番では朗読と共に演奏も大変喜んで頂けました。
客席の反応がとても良くて嬉しかった!
客席で聴いていらした高樹のぶ子さんも喜んで下さった様で良かったなぁ!

朗読館で初めて高木さんにお目にかかってご挨拶をさせて頂いた時、『盛岡出身の45歳ね、ふ〜ん…』とちょっと意味ありげに言われたのです。
何でかなぁと思っていたのですが、高木さんが選考委員を務めておられる芥川賞の今年の受賞者(沼田真佑さん)は盛岡市在住だったんですね。
年齢は僕より若く38歳だけど、高木さんの中では“盛岡”で繋がったのでしょうか???
それは分かりません…。

実は軽井沢には本番の前日に前乗りして、リハーサルをしておりました。
人生初の軽井沢!
泊めて頂いた朗読館は山の中だったので一人で遊びに出歩くわけには行きませんでしたが、車で“星野温泉・トンボの湯”に連れていって頂きました。
露天風呂最高!

公演の後はお客様を交えた盛大なパーティ(高木さんの日本芸術院賞受賞記念)の後、スタッフのみによる楽しく激しい(!?)打ち上げが行われました。
ここで素晴らしい英語朗読を披露して下さったのが、元NHK英語アナウンサー・青谷優子さん。
夏目漱石の夢十夜の怪談をユーモアと臨場感たっぷりに朗読して下さいました。
いや〜面白かった!

小澤さんも僕も興に乗って、青谷さんの朗読に即興演奏で参戦!
これも大変盛り上がりました!
(この後、そして皆さんのリクエストにお応えして、ちょこっとヴァイオリンソロを演奏させて頂きました。)

ここは朗読館のエントランス。吹き抜けで響きは最高!

朗読館にはこの会の為に何人か協力者の方々が集まっていらして、和気藹々と良い雰囲気!(夜は酒盛り)
その中に料理研究家の女性がいらして、滞在中の三食と打ち上げやパーティの料理を作って下さいました。
健康的で美味い!
こんな料理を毎日食べられたらなぁ…。
最近ちょっとアレルギー体質になって来たので、尚更そう思います。





さてさて軽井沢の後は横浜へ直行。
横濱エアジンで行われた宮沢賢治生誕121年祭に参加。
企画とメンバーの人選はエアジン店主のうめもとさんです。

『イーハトーブ農学校』書はゆいさんです。

メンバーは小谷真由美さん(vo)、ゆい。Soleiyu Eyeさん(pf)、高原朝彦さん(10弦ギター)、喜多(vln)。
それぞれが賢治のテキストを朗読し、文章からイメージされる即興演奏を行いました。
僕は岩手弁で『永訣の朝』を読ませて頂きました。
ゆいさんはピアノ演奏と朗読の他、書のライヴペインティング。


2017年8月27日・宮沢賢治生誕121年祭@横濱エアジン
小谷真由美(vo)、ゆい。Soleiyu Eye(pf)、高原朝彦(10弦ギター)、喜多直毅(vln)

僕は主に賢治の詩集『疾中』から選ばせて頂きました。

『ひるすぎの三時となれば』

ひるすぎの三時となれば
わが疾める左の胸に
濁りたる赤き火ぞつき
やがて雨はげしくしきる
はじめは熱く暗くして
やがてまばゆきその雨の
杉と榊を洗ひつゝ
降りて夜明けに至るなれ

これは選んだうちの一編。
賢治には多くの作品があって、それぞれに違った味わいがあるのは言うまでもありません。
『疾中』にはその名の通り、病に臥せっている様子や心情が綴られています。
僕はこの詩集を通して描かれる“熱”、“吹きすさぶ風”、“静けさ”、“荒々しさ”にとても惹かれます。

詩集全体を通して“病”と言う言葉が何度も登場しますが、これは胸の病気(結核や肋膜炎)であることは明らかです。
そして迫り来る死の恐ろしさや身体的な苦しみが詩に表現されています。

しかし彼の脳裏に浮かんでいるイメージに思いを巡らすと、双極性障害の“鬱”と“躁”が混じり合った状態も感じてしまう。
死にまつわる黒々とした想念が物凄いスピードで脳内を回転する感じ。
頭を乗せている枕がブスブスと焼け焦げ始めるほどの灼熱の想念です。

『丁丁丁丁丁』

     丁丁丁丁丁
     丁丁丁丁丁
 叩きつけられてゐる 丁
 叩きつけられてゐる 丁
藻でまっくらな 丁丁丁
塩の海  丁丁丁丁丁
  熱  丁丁丁丁丁
  熱 熱   丁丁丁
    (尊々殺々殺
     殺々尊々々
     尊々殺々殺
     殺々尊々尊)
ゲニイめたうとう本音を出した
やってみろ   丁丁丁
きさまなんかにまけるかよ
  何か巨きな鳥の影
  ふう    丁丁丁
海は青じろく明け   丁
もうもうあがる蒸気のなかに
香ばしく息づいて泛ぶ
巨きな花の蕾がある

実際、彼が双極性障害を患っていたという説があるそうです(あくまでも“説”です)。
以上は僕の勝手な深読みで、学術的にはちっとも正しくないと思います。
(きっと研究者には怒られます、こんな事言ってたら…。)
でも僕には何だかこのように感じられて、どうも『疾中』には強烈に惹かれてしまいます。

ちなみにこれらの詩は高原朝彦さんに朗読をお願いしました。
とても素晴らしかったです!
『田園に死す』と言う映画で、監督・脚本の寺山修司自身が自分の短歌を朗読しているのですが、高原さんの朗読はまさに寺山の語りを思わせました。
朴訥としていて、飾りっ気がない。
闇の中から聞こえて来る呟きのようでした。


会場のエアジンは超満員!(今まで僕がエアジンに出演した中で最多動員数!)
そして偶然にもこの日は小谷まゆみさんの誕生日!
お店からはバースデーケーキが!
そして我々の演奏で会場のお客さんたちにハッピーバースデーの歌を歌って頂きました。
盛り上がったぜい!

小谷さんはロック出身ですが、最近は詩吟もパフォーマンスに取り入れていらして、一度ライヴを聴きに行ったのですがとても素晴らしかったです。
実は先日帰省した時に僕の叔父が詩吟の先生だと初めて知りました。
『今度宮沢賢治にちなんだライヴをやるんだけど、ヴォーカルの女性が詩吟を取り入れてるんだよ』と言ったところ、『雨ニモマケズ』の詩吟バージョンがあると教えてくれました。
おおお、小谷さんに知らせなくては。

さて、このライヴで共演した高原朝彦さんとは10月にデュオで演奏いたします。
皆さん、是非お越しください!

出演:高原朝彦(10弦ギター)
   喜多直毅(ヴァイオリン)
内容:即興演奏

日時:2017年10月6日(金)19:30開場/20:00開演
会場:喫茶茶会記(四谷三丁目)
   160-0015東京都新宿区大京町2-4-1F
   03-3351-7904

料金:2,500円(ドリンク付き)
ご予約・お問い合わせ:
   sakaiki@modalbeats.com
   03-3351-7904


ってなわけで、充実のミニツアーでした!
新しい出会いもあって、これからに繋げて行きたいと思います!
各地でお世話になった皆さん、演奏を聴いて下さった方々、本当に有難うございました!
(写真は共演者や会場などのFacebookから勝手に拝借しました…。ごめんなさい。)

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