2020年2月20日木曜日

2/22(土)は即興ダンス・矢萩竜太郎さんとのパフォーマンス@CafeMURIWUI(祖師ヶ谷大蔵)


2/22(土)、ダンサーの矢萩竜太郎さんと祖師ヶ谷大蔵のMURIWUIというカフェでパフォーマンスを行います。
これは5月下旬にロンドンで行われるダンスフェスティバルへの参加のため、我々の呼吸を合わせておこうという目的で企画したセッション。
(ロンドンのことはまた改めてお知らせいたします。)

さてここでは竜太郎さん、とは呼ばずに竜ちゃんといつもの呼び名を使いたいと思います。
彼と知り合ったのは齋藤徹さんと出会ってしばらくしてからなので、まだ十年は経ちません。
しかし彼の本拠地のいずるば(ダンススペース)では頻繁に顔を合わせているし、即興パフォーマンスに一緒に参加していたりするので良く知った仲です。

彼は僕の4歳年下ですが、その言動はもはやオヤジの域に達していると思います。
オヤジギャグ寒い…。
そしてオフの時の言動がまるで町工場の社長の様なのです。
どのように町工場の社長か…、それはご想像にお任せします。

左から:喜多直毅、矢萩竜太郎(ダンス)、ジャン・サスポータス(ダンス)
ジャンさんはピナ・バウシュ舞踏団のソリストを務め、現在は世界各国で演出やワークショップをしています。
竜太郎さんも大いに影響を受け、ドイツ公演でも様々なサポートをして頂きました。
2017年9月14日@いずるば(東京・田園調布)

彼はダウン症という障がいを持っています。
障がいの話は、正直なところ僕はとても苦手なのです。
というか、障がいについて良く分からないと言った方が良いかも知れません。
知ったかぶりで無責任なことを言ってはならないし、障がい者本人や周りの方々を傷つける発言をしてはいけない。
しかし『障がい・障がい者を知らないから』という言い方そのものが彼らを傷つけるのかも知れません。

そういえば僕は自分のこととして障がいを知っていた、差別を知っていた。
ダウン症や近年ドイツで参加している自閉症をモチーフにしたダンス作品に関わって、忘れていた何かが自分の中にあったのを思い出しました。
それは胸に秘めて、将来お話出来たらと思います(遠い将来)。

彼と初めて会った時、僕はどういう態度をとって良いのか、何を話して良いのか分かりませんでした。
他の出演者、コントラバスの齋藤徹さん、舞踏の岩下徹さんのお二人は竜ちゃんとは前から親しい関係。
三人で仲が良さそう。
会場も初めてで馴染むまで時間がかかりました。

所在無く楽屋に寝転ぶと竜ちゃんが隣に寝転び、僕の手の中に小さな握りこぶしを挿し入れて来たのが忘れられません。
大勢が集まってリハーサルやイベントを行うと、初めて来た人はなかなか輪に入れなかったりするでしょ?
彼はそういう人に近づいて必ず声をかけてあげるのです。

これは障がいによるものでもなく、彼に与えられたキャラクターなのではないかと思います。
前にどこかでダウン症の人たちの基本キャラクターは朗らかでユーモアに富む、と読んだことがあります。
それはまさに竜ちゃんに当てはまります。
いや、あまり断定しない方が良い。
色んな性格の人がいるでしょうから…。
しかし彼はこれまでに傷付くことも数多経験している、ということは付け加えておきたいと思います。

彼のダンスは初めて出会った頃から長足の進化を遂げています。
それは最初から彼の人柄を感じさせてくれるものでした。
例えば力強さとかユーモアとか、そう言ったものが動きから感じられた。

しかしドイツ公演や徹さんとの共演、岩下さんによるレッスンを重ねて、ちょっと神がかったものになって来ています。

彼の動きに何か高次元なものを感じる。
ダンスの場が異空間になるような…。
それは動きというより存在そのもの?
そして孤独とか祈りも感じるようになって来ました。
深さと高さが加わりました。



障がいと言うアングルから見るか、ダンスと言うアングルから見るか、それは全く人それぞれだと思います。
でもこの二つだけではなく、様々なものが交差するところから彼のダンスは生まれているに違いない。
ダンスが素晴らしいんだから障がいなんてどうでも良いじゃん!と言う感想もあるかも知れない。
しかし僕は彼が障がいを持っていると言うことも大事なことではないかと考えています。

障がいと言うアングルから見るか、ダンスと言うアングルから見るか、或いは矢萩竜太郎という人?または存在そのものに目を凝らすか?
否、それでもない。
もちろん彼の人柄でもない。
矢萩竜太郎という器(身体)に宿る何か…。
それが一番重要なのではないかと思います。

彼はずっと徹さんとセッションを行って来ました。
徹さんが亡くなって、大事な共演者を失った竜ちゃんですがそれは僕にとっても同じこと。
何だか天国の徹さんが「二人でやりなさい」と言っている気もします。
そして徹さんは『竜ちゃんにはいつも教えられる』と言っていました。
それは本当なのです!
僕も今回多くを学ばせて頂けるに違いありません!

矢萩竜太郎 / 齋藤徹
矢萩竜太郎 / 齋藤徹

どうぞ皆さん、お誘い合わせの上お越しください!

喜多直毅・矢萩竜太郎セッション
ヴァイオリンとダンスのインプロヴィゼーション

蕾の中で季節を待っているのは自由の花…。
二人のインプロヴァイザーが放つ優しく強いエネルギー。

コントラバス奏者の故・齋藤徹氏の引き合わせによって出会った喜多直毅(ヴァイオリン)、矢萩竜太郎(ダンス)の初の即興デュオセッションです。昨年4月には矢萩竜太郎さんのホームグラウンドとも言うべき“いずるば”にて喜多直毅クアルテットとのコラボレーションが行われ、大変見事なパフォーマンスとなりました。
矢萩竜太郎さんはダウン症のダンサーとして様々な場所で踊り続けています。彼のダンスには何ものをも超えて伝わる確かな力があり、そして優しさがあります。そのダンスをどのように例えたら良いかと言葉を探してみました。浮かんだのは“蕾の中の自由の花”。冬の只中にあって確かに伝わってくる生命の息吹。その鼓動のようなものを本公演から感じて頂ければ幸いです。

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   矢萩竜太郎(ダンス)
内容:即興パフォーマンス

日時:2020年2月22日(土)19:00開場/19:30開演
会場:カフェムリウイ(祖師谷大蔵)
   東京都世田谷区祖師谷4-1-22-3F
   
料金:予約2,500円/当日3,000円(ワンドリンクオーダー)
ご予約・お問い合わせ:violin@nkita.net

【出演者プロフィール】
◉喜多直毅(ヴァイオリン)
国立音楽大学卒業後、渡英し作編曲を学ぶ。その後アルゼンチンにてタンゴヴァイオリン奏者のフェルナンド・スアレス・パスに師事。タンゴからプログレッシヴロック、アラブ音楽、フリージャズなどに演奏分野を拡大し、近年は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。2011年よりメインプロジェクトとして喜多直毅クアルテットを開始。出自であるタンゴと様々な音楽の融合による独自の世界を創り出している。黒田京子とのデュオでは、即興性を重視したユニークな編曲で映画音楽・昭和歌謡・オリジナル作品を演奏している。即興演奏を中心とする齋藤徹の企画へも多数参加。日本や韓国の伝統音楽奏者との共演(久田舜一郎、沢井一恵、他)、コンテンポラリーダンス作品への参加では国内のみならず欧州での演奏活動も多い(角正之、Jean Sasportes、他)。翠川敬基、田中信正、西嶋徹とのデュオも頻繁に行う。また朗読家とのコラボレーションも多数行なっている。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。

◉矢萩竜太郎(ダンス)
1976年生まれ。1990年、ヴォルフガング・シュタンゲ(ロンドン在住,舞踊教育家)との出会いをきっかけにダンスを始める。2014年夏、「竜太郎10番勝負」(東京 「いずるば」にて6公演、ドイツ各地で4公演)を齋藤徹、ジャン・サスポータスと共に成功させる。この東京公演とドイツツアーの詳細を、ドキュメンター作品「ダンスとであって」(近藤真左典監督)として発表。
ライブハウス「エアジン」での定期公演、北海道、岩見沢でのアール・ブリュットフォーラムでのオープニングアクト(齋藤徹、ジャン・サスポータスと共に)2019年4月喜多カルテットライブにゲスト出演し、圧倒的なダンスで好評を博す。
2018年、2019年 それぞれ1年間の「いずるばオープンリハーサル」を経て、「いずるばフェスティバル」に出演。
2019年 DVD第2作「ぼくのからだはこういうこと」(近藤真左典監督)を発表する。
ダンスのスタイルは常に “即興”。かたちに捉われない自分自身の表現を目指し、彼の存在がその場に与えるポジティブな影響は多方面で注目されている。

《追記》
長々と竜ちゃんについて、障がいについて、ダンスについて書かせていただきました。
しかしいつかフライヤーに一言も『ダウン症』とか『障がい』と書かずに公演を行えたらと僕は思っています。
ダウン症の人々は顔立ちに特徴があるので、客席の方々はお気づきになるでしょう。
でもハッと気がついて、でも目の前の竜ちゃんを見て、そしてひょっとしたら他の観客達の反応を見て…。
何か大事なものを感じられるステージになると思うし、帰り道も家についてシャワーを浴びる時もベッドに横になった時も、そして時間が経った後もずーっと考え続けると思います。

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