2019年6月27日(木)喜多直毅ヴァイオリンソロリサイタル@sonorium(永福町)

齋藤徹(コントラバス)喜多直毅(ヴァイオリン) 2018年5月28日独・ボンでの演奏
齋藤徹(コントラバス)喜多直毅(ヴァイオリン)
2018年5月28日独・ボンでの演奏

前回の記事でも書かせて頂きましたし、既にご存知の方も多いと思います。
先月18日にコントラバス奏者の齋藤徹さんが長い闘病生活の末、天に召されました。
改めて哀悼の意を表したいと思います。

先月末にご自宅近くの葬儀場でお通夜と告別式が行われ、僕も参列させて頂きました。
ご家族中心の内々の式にしたいという事でしたが、いずるば関係の演奏家からの供花の取りまとめや音楽演奏・弔辞の役割も頂いたので僭越ですが出席させて頂きました。
弔辞を読ませて頂くのは人生初の経験でした。
徹さんとのこれまでや徹さんが辿ってきた道を思い書かせて頂きました。
ちょっと綺麗にまとめ過ぎたかも知れませんが、偽りなく綴ったつもりです。

徹さんが亡くなってもう2週間が経ちますが、実は未だに徹さんの死が実感できずにおります。
遺体を拝見したり出棺直前にその冷たい額に触れたりもしたのに。
電話をすれば出てくれるような気がするし、メールをすれば返信がある気がする。
生と死の境目とは一体何でしょう。

ずっと前、徹さんと出会ったばかりの頃、「徹さんにとって良い音楽ってどんな音楽ですか?」と尋ねたことがあります。
するとメガネの奥の徹さんの目がキラリと光り、「“死のある音楽”です。」とおっしゃいました。
その言葉が未だに忘れられず、僕も“死のある音楽”をやりたいと思っています。
でもそれがどういう音楽なのか、それさえハッキリとは分からずに手探りをしている状態です。
聴く人が“生き死に”に思いを馳せずにいられない…、そんな音楽でしょうか。

僕個人の印象ですが、徹さんの演奏を聴くたびに、冥界とこの世が紙一重である事をそのサウンドやリズムから感じずに入られませんでした。
確実に他の演奏家の音楽とは一線を画すものです。
こういう音楽は練習や勉強だけで出来るものではなく(もちろんそれも必要ですが)、何かこう生まれ持ってのアンテナやアクセス回路が必要だと思います。
ご本人は無意識だったかも知れませんが、徹さんは容易に冥界の音を聴きコントラバスで表現できる能力を持っていたのではないかとさえ思います。

その徹さんが向こう側に旅立ってしまった。
向こう側で一体どんなふうに過ごしているのだろう。
そんなことを考えています。

さて6月27日(木)にコントラバス奏者・齋藤徹さんとのデュオリサイタルを予定しておりました。
思えば出会いからのこの10年間、徹さんによって導かれ様々な演奏の機会を与えられて参りました。

この日の公演自体をキャンセルしようかとも思いましたが、天国の徹さんがそれを望むはずはありません。
生前、徹さんは後輩の成長のために敢えて試しを与えることがありました。
今回も同様に徹さんから試されているのではないかと感じ、喜多直毅ヴァイオリンソロリサイタルとして公演を行うことにしました。
これが徹さんが僕に残した最後の課題ではないかと思っています。

そしてこの公演は徹さんへの追悼リサイタルとはせず、自分の公演として行います。
徹さんはご自分が育てた演奏家が独り立ちし、その手を離れて道を切り拓いて行くのを何よりも喜ぶ方でした。
今回、プログラムに徹さんの作品も一、二曲入れさせて頂くかもしれません。
しかし基本的には僕がデザインする公演とし、その中で今の自分の持てる力を存分に発揮するような内容にしたいと思っています。
その姿を天国にいる徹さんに見てもらうことが何よりの“追悼”となるに違いありません。
ぜひお運び頂きたいと存じます。

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
内容:オリジナル作品、即興演奏、他

日時:2019年6月27日(木)19:00/19:30
会場:ソノリウ(永福町)
   168-0063 東京都杉並区和泉3-53-16 
   TEL 03-6768-3000
   京王井の頭線 永福町駅下車(北口) 徒歩7分 
   東京メトロ丸の内分岐線 方南町駅下車 徒歩10分

料金:予約¥3,000/当日¥3,500

ご予約/お問い合わせ
◾︎メール:violin@nkita.net
※メールタイトルは「喜多ソロ」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》《予約日》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

◉ ご予約に際しての注意事項
・ご予約の締め切りは公演前日6月26日深夜12:00までとさせて頂きます。
・10歳以下のお子様のご入場はお断りする場合がございます。

主催・企画制作:喜多直毅
制作アシスタント:山本悦子
協力:齋藤真妃

皆さんにどうぞ宜しくお願いします!


徹さんが亡くなってからずっとこの言葉が頭の中に浮かんでいます。

名声は香油にまさる。死ぬ日は生まれる日にまさる。 
弔いの家に行くのは酒宴の家に行くのにまさる。そこには人皆の終りがある。命あるものよ、心せよ。
旧約聖書コヘレトの言葉7:1-2

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