演奏後記:喜多直毅クアルテット公演『呪詛』無事終了!

喜多直毅クアルテット 左から:vln:喜多直毅、pf:三枝伸太郎、bn:北村聡、cb:田辺和弘
喜多直毅クアルテット
左から:vln:喜多直毅、pf:三枝伸太郎、bn:北村聡、cb:田辺和弘
2018年3月11日
中野テルプシコール(東京)、リハーサル風景

日曜日の喜多クアルテット公演、大勢の方々にお越し頂き無事終了いたしました!
ご来場の皆様、本当に有難うございました!
お楽しみ頂けましたら幸いです!

初めての会場でしたが、スタッフの皆さんの協力によってつつがなく公演が出来て本当に感謝です。
また演奏面ではメンバーの北村・三枝・田辺各氏の実力によって本当に助けられました。
彼らの理解力と演奏力の高さによって僕の拙い曲にも命が吹き込まれ、お客さんに届く…。
何とも贅沢な仕事をさせてもらっていると感謝しています!
有難う!

さて今回のセットリストです。

1. 月と星のシンフォニー(部分)
2. 焦土
3. さすらい人
4. 疾走歌
5. 孤独
6. 昭和 ~泥の川~
7. 峻嶺
encore: ふるさと

『さすらい人』は新曲です。
このグループを始めた頃は余り音符を書き込まず、メモ書き程度の楽譜をざっくりと演奏することが多かったのです。
しかし最近は書き込んだ音符でスコアが重くなって来ている気がしていました。
なので、今回はちょっと初心に戻って“雰囲気もの”みたいな曲を一曲作ってみました。
曲調はタイトル通り、どこか寒い土地をさすらう人のイメージ。
それと松尾芭蕉のこんな句も頭に浮かびました。

旅に病んで夢は枯野をかけ廻る

『昭和』は前回(昨年10月)のライヴに向けて作った曲ですが、今回は構成を変えたり新たな部分を加えたりしました。
更に、かなり前に作った曲『泥の川』を真ん中に挿入しました。
これによって作品がかなり重くなってしまった感は否めませんが、かなりフィットしているので変えずにおこうと思います。
ただ公演の録音を聴くとまだまだ手直しの必要を感じました。
もう少し増改築を繰り返すと思います。
(僕は本番で間違えてばかりいましたね、すみません…。)

喜多クアルテットでは、音楽のみによって聴いている人の頭の中に映像とかストーリーとか人物を浮き上がらせることをしたいと思っています。
脳をスクリーンとした映画みたいな感じ。
音楽をやっているのですからきちんと演奏することは必要なのですが、演奏自体を目的とするのではなく、イメージの投げかけを第一の役割としたいと思っています。
そのイメージの投げかけですが、音による『匂い』はとても大事にしたい。
汗、草いきれ、何かが焼け焦げる匂い、冬の匂い。
匂いは記憶に直接訴えかける。
言葉に出来ないような複雑な記憶、さらに、忘れてしまっていた記憶にダイレクトに作用する。

それと最近、表情筋の感覚と演奏の結びつきが気になります。
人は喜怒哀楽の感情を抱く時、表情が変わる。
僕は普段の生活で余り感情を悟られたくないので、出来るだけ無表情・ポーカーフェイスでいようと努めています(多分出来てないけど)。
でもどんなにポーカーフェイスでいようとしても、わずかな感情の動きで自分の頭蓋骨に張り付いた表情筋の変化を感じる。
ごく微細な変化で相手には気付かれなくても、自分自身には良く分かる。
これが演奏にとって何かヒントになっている気がする。
良く『遠い目をする』って言い方するでしょ?
この遠い目をする筋肉の動きなんかも演奏にとって欠かせない。
他に、歯を食いしばる、眉間にしわを寄せる、睨む、ニヤニヤ笑い、などなど(全部良くない表情ですね!)。
本当は身体全体にまで意識が及ぶと良いのですが、僕はまだ表情筋までしか意識出来ないでいます。

こんな事を考えつつ、次回の公演の準備をしたいと思っています。

次は夏真っ盛りの8/11(土)、12(日)の二日連続公演です!
会場はおなじみの渋谷・公園通りクラシックス。
時間、料金、予約方法など、詳細は決まり次第お知らせ致します。
どうぞお楽しみに!

最後に今回の公演のために作ったPVをご紹介します。
PVと言っても動画ではなく音楽のみですが…。
お聴き頂ければ幸いです!


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