2022年9月16日金曜日

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』:有難うございました!

昨日、喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』の公演、無事終了いたしました。
満席として下さって本当に有難うございます。
お越しの皆様には楽しんで頂けましたら幸いです。
Jeanさん、Bénédicteさんのダンス(そして我々の音楽)には大変好評を頂きました。
来日中のお二人にとっては日本でのファイナル公演でしたが、彼らにも楽しんで踊って頂けたなら僕にとって喜びもひとしおです。

リハーサル中の画像をいくつかご覧ください。

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景


公演プログラムの一番最後には『海に向かいて ~Facing The Sea~』という曲を使いました。
彼らの古巣であるピナ・バウシュ舞踏団では恐らく使われないタイプであろうエモーショナルでドラマティックなバラードです。
ある意味“ベタ”な曲調で、この曲を使うことには選曲の時点で若干の躊躇がありました。
しかし僕としては、彼らならきっと素晴らしい世界を表現してくれるという確信もあったのです。

彼らがこれまでの人生で向き合ってきた様々な海。
ダンスに捧げた時間。
ピナ・バウシュ舞踏団で得た様々な体験と知識。
また一個人として経てきたであろう様々な経験。
出会いと別れ、喜びと悲しみ、希望と失望、家族・友人との時間。

これらは彼らの“海”の中に漂い流れているに違いありません。
思い出は波のようにうねり、岸辺に繰り返し打ち寄せる。
この人生の“海”を何千マイルも泳ぎ続けてきた二人が、今どんな眼差しで“海”に向き合っているのか…。
それを昨日の公演では本当に見事に表現してくれて、胸が熱くなりました。
言葉に言い表すことの出来ぬほど素晴らしいダンサー達です。


さて昨日は彼らの美しいダンスにすっかり魅了されてしまったわけですが、一つ凄く驚いた出来事が!
それは喜多クアルテットの音楽を僕が作曲していると知らなかったお客さんが結構いたことです!
ほんと、ビックリ!
何とジャンさんにまで『この曲誰が作ったの?』と言われました!
CDにもフライヤーにも『作曲:喜多直毅』とクレジットしてあるのですが…。
今まで喜多クアルテットのレパートリーは、ヤ○ハとか宮○楽器とかから買ってきた楽譜だと思われていたのでしょうか!?

別に少しも怒っていません。
むしろ僕自身で面白がっているくらい。
もしかしたらこの匿名性こそ喜多クアルテットの音楽の良い点かも知れません。
どこかから立ち上っていつの間にか充満しているガスみたい。

ということで、誰が作ったか分からない(気にならない)音楽のライヴが11月17日(木)に行われます。
もちろんダンサーのいないガッツリ音楽のみのライヴ。
昨日の公演は割とマイルドな曲調でしたが、次回は重金属がぶつかり合うような音楽をお届けします。

会場は新宿ピットインです。

2022年11月17日喜多直毅クアルテット@新宿ピットイン
2022年11月17日喜多直毅クアルテット@新宿ピットイン

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

日時:2022年11月17日(木) 19:00開場/19:30開演/40分二部制
   東京都新宿区新宿2-12-4 アコードビルB1F
   03-3354-2024

料金:¥4,400(1ドリンク付き)
予約:電話 03-3354-2024(新宿ピットイン)

感情やエナジーのとめどない奔流、それと対を成す出し抜けの抑止と意識層の急激な切り替わり―タンゴを重要なベースとするこのクァルテットがはらむのは、凍てつくような寒さと紙一重の熱。深層から絞り出されるメロディの儚(はかな)さはリアリティへの絶望を映す鏡だ。なぜ沈黙や郷愁の残滓に心震えるのか。それを意識して改めて気づく薄ら寒い現況がある。
文章:伏谷佳代
2021年1月2日 JazzTokyo このパフォーマンス2020 No.273 #01 喜多直毅クァルテット『異土』

プロフィール

【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。濃厚な旋律と激しいリズムによって生み出される圧倒的な音楽劇は高い精神性を宿し、幅広い層からの支持を集める。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。作家の高樹のぶ子の朗読舞台でも演奏と作曲を行なっている。ソングライターとしては上條恒彦に作品提供(敬称略)。

北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。世界各国のフェスティバルで演奏。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN'、川井郁子、中島ノブユキ、カルロス・アギーレ、東京交響楽団と共演。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

三枝伸太郎(ピアノ)
1985年神奈川県出身。東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。アルゼンチンタンゴのピアニストとして 2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のコンサート・ツアー、レコーディングに参加。その後、タンゴのみならずジャズ、ポップス、ブラジル音楽など様々なジャンルで活躍。また、作曲家として、シンガーへの楽曲提供、映画音楽、舞台作品への作曲と演奏での参加など数多く手掛ける。近年は坂東玉三郎のコンサート音楽監督、劇作家・演出家点女優渡辺えりの舞台音楽、NHKBS8K「国宝へようこそ」音楽担当など。

田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からタンゴと出会い、本国アルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。即興演奏の第一人者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受け、共演をきっかけに様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。喜多直毅クアルテットや様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。


どうぞお誘い合わせの上お越しください!
お楽しみに!

2022年9月12日月曜日

【海に向かいて】

久しぶりに喜多直毅クアルテットのイメージ動画を作ってみました。
9/15に行うJean Sasportes、Bénédicte Billet両氏(共にダンス)との公演のためです。



この公演ではいつものライヴの如く、一時間を通して映画の如きストーリーを作りたいと思っています。
そこにJeanさんとBénédicteさんに加わっていただくわけですが、僕が思い描いた通りに展開するとは思いません。
むしろ思い通りにならない方が良いのです。
音楽とダンスのタイムラインはそれぞれ別の次元で進行していたりする。
考え方も感じ方も微妙に違う。
それが面白さを生むのです。

この公演の音楽には、ボッティチェリの女神やさすらい人、酔漢、津波、売春婦、氷の大地など、様々な人物・場面が登場します。
しかし今回共演する二人のダンサーは、僕とは全く異なる次元で音楽と関わってくれるに違いありません。
僕が想定した人物・場面なんか出てこなくても構いません。
何が二人を通して出現するのか予想できず、未知なだけにますます期待が膨らみます。

中でもこの曲『海に向かいて』を二人がどのように踊ってくれるのか。
(彼らの古巣“ピナ・バウシュ舞踏団”ではこのタイプの音楽は使わないかも?)

凪も嵐も経験し、人生という海を何千マイルも泳ぎ続けたダンサーたち。
どんな眼差しで海を見つめ、どんな波音を聞いているのだろう。
どんな顔をしているのだろう。
このように想像させてくれるのがJeanさん、Bénédicteさんです。
人生を感じさせるダンス、です。

きっと素晴らしい公演になるに違いありません。
どうぞお誘い合わせの上、お越しください。
お待ちしております。


喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

特別出演:Jean Sasportes(ダンス)
     Bénédicte Billet(ダンス)

内容:喜多直毅オリジナル作品+ダンス

日時:2022年9月15日(木)19:00開場/19:30開演
会場:いずるば(沼部・多摩川)
   東京都大田区田園調布本町38-8
   03-3721-8760

料金:ご予約¥4,500/当日¥5,000
ご予約・お問い合わせ:violin@nkita.net
メールタイトルは「喜多クアルテット9月予約」、メール本文に「代表者氏名、人数、連絡先電話番号」を必ずご記入の上、お申し込みください。



【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。濃厚な旋律と激しいリズムによって生み出される圧倒的な音楽劇は高い精神性を宿し、幅広い層からの支持を集める。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

【ジャン・サスポータス Jean Laurent Sasportes】
1952年カサブランカ(モロッコ)生まれ。マルセイユで数学、物理学、哲学を学ぶ。パリでモダンダンスを始め、ダンサーとダンス教師のディプロマを取得。1979年、ヴッパータールのピナ・バウシュ・カンパニーのソロダンサーとして活動を開始。世界中の劇場で踊り続け、ピナの代表作「カフェ・ミュラー」は以来35年400回を越える。1997年から2017年までゲストソリストとしてレパートリー作品に出演。
1989年以降、多くの音楽家とダンスと即興演奏のコラボレーションを展開している。作曲家でコントラバス奏者の齋藤徹と出会い、コラボレーションによるデュオ作品を日本全国15以上の都市で発表。彼と共にヨーロッパと日本のアーティストとの文化交流のプラットフォームを構築する。
1998年以降、ヨーロッパと日本に於いて多くの振付作品を発表する。代表作は「Looking for Kenji」、「うたをさがしてオペリータ」、「私の城」「Am Anfang war das Chaos」。「カフェ・アダ・ダンスシアター」主宰。オペラの演出・振付も行う。また、俳優としても多くの映画に出演する。ペドロ・アルモドバル監督作品「トークトゥーハー」(アカデミー賞受賞)では「世界で一番哀しい顔の男」と評される。
1985年より合気道から派生した「気の道」を学び、25年以上にわたりヴッパータールにある自身の道場で指導を行っている。2000年よりプロのダンサーからハンディキャップのある人まで、世界中のあらゆる人にフロアロア&スタンディング・ボディワークを指導する。

【ベネディクト・ビリエ Bénédicte Billet】
1954年、フランス生まれ。パリ国立高等音楽院でクラシック・バレエを学んだ後、リヨン・オペラ座で踊る。1975年、パリに戻り、ピーター・ゴスのモダンダンス・カンパニーに参加。1981年にドイツに渡り、ヴッパータールにあるピナ・バウシュのタンツシアターに参加し、1989年までダンサーとして活躍する。2001年にヴッパータール舞踊団に復帰し、「Kontakthof with ladies and gentlemen from the age of 65」プロジェクトに参加、リハーサルディレクターも務める。現在は、ピナ・バウシュの作品の再演の共同リハーサル・ディレクターを務めるほか、「ピナ・バウシュ・アーカイヴ」のアーカイヴの構築にも携わっている。

2022年9月5日月曜日

9月15日(木)喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』
喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』
2020年9月5日リハーサル@いずるば

今日は喜多直毅クアルテットとJean Sasportesさん&Bénédicte Billetさんとの顔合わせ。
クアルテットの生演奏を直にお二人に聞いて頂きました。

JeanさんもBénédicteさんもドイツが誇るピナ・バウシュ舞踏団で活躍したダンサーです。
現在も欧州各地でダンサーとして、振付家・ディレクターとして活躍していらっしゃいます。

本拠地・ヴッパタールにお住まいですが、共にフランス国籍。
ですので二人同士の会話はフランス語。
僕らと話すのは英語。
北村君(Bandoneon)とはスペイン語。

今回のお二人の主な来日目的はJeanさん振り付けによる『Mein Schloss ~私の城~』の公演やワークショップの講師、他にBénédicteさんとお嬢さんのSophiaさんによる『Entre-temps au grenier』の上演、等々です。
二人の来日に合わせて僕も喜多クアルテットとの共演をお願いしました。

喜多クアルテットの音楽と言えば、“音楽ドラマ”と称するように一曲の中に一つのストーリーが展開します。
ここにお二人がどのように絡んで下さるのか、本当に楽しみで仕方がありません。
演奏を予定している曲目を一曲ずつ聴いて頂いた結果、お二人とも気に入って下さった様子で僕も大変嬉しかったです。
最初、お二人は即興ダンスでの参加を考えていらしたようですが、我々のストーリー的な音楽を聴いて、少しだけコンセプチュアルな場面も作ってくれそうな予感。
これは期待せずにはいられません!

Jeanさんとは故・齋藤徹さんを通して知り合い、これまで日本やドイツで共演をさせて頂きました。
前述の『Mein Schloss ~私の城~』や宮沢賢治と東日本大震災をテーマにした『Looking for Kenji』など、Jeanさんの演出・振り付け公演にも幾つか参加させて頂きました。
『世界一悲しい顔を持つ男』と称されるJeanさんですが、彼の踊りにはいつもユーモアと同時にペーソスを感じます。
また一才無駄のない静かな動きには雪の降り積もった静かな日本庭園の佇まいを感じます。
激しいリズムや暗いカオスを持つ喜多クアルテットの音楽にJeanさんがどんなダンスで応えてくれるのか、ぜひ皆さんにもご覧いただきたいと願っています。

そしてBénédicteさん。
実は昨夜、彼女とお嬢さんのSophiaさんによるダンス作品・『Entre-temps au grenier』を拝見しました。
この作品は“母”という存在を通して、人生のヒストリーや親から子へ受け継がれる命の流れを描く大変感動的な作品でした。
流麗かつ繊細な動き、四肢を大きく動かすユーモラスな動き、ニュアンスに富んだ表情の変化。
魅力的なシーンが次々と展開しますが、作品の最後には人生の終わりと共に受け継がれる命が描かれます。
僕の文章ではその素晴らしさを書き表すことは到底不可能なのですが、作品の後半では熱いものがこみ上げました。

二人のダンスの素晴らしい点は、究極的に言えば『人間を、人生を描くところ』だと思います。
この円熟のダンサーお二人と共に音楽を奏でられるのが嬉しくて堪りません。
いえいえ、僕一人で喜んでいるわけにはまいりません。
ぜひ皆さんにもお越しいただき、我々のステージをご覧いただきたいと思います!

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

特別出演:Jean Sasportes(ダンス)
     Bénédicte Billet(ダンス)

内容:喜多直毅オリジナル作品+ダンス

日時:2022年9月15日(木)19:00開場/19:30開演
会場:いずるば(沼部・多摩川)
   東京都大田区田園調布本町38-8
   03-3721-8760

料金:ご予約¥4,500/当日¥5,000
ご予約・お問い合わせ:violin@nkita.net
メールタイトルは「喜多クアルテット9月予約」、メール本文に「代表者氏名、人数、連絡先電話番号」を必ずご記入の上、お申し込みください。


どうぞお誘い合わせの上、お越しください。

お待ちしています! 

2022年8月9日火曜日

『やめる』ってこと。

喜多直毅
2020年9月3日北海道函館市・石川啄木一族の墓の前にて。

最近思っていること。

それは『時間がない!』ということなのです。
『タスクが多過ぎ』とも言えるし『時間の使い方が下手』とも言える。
能率が悪いのかも。
一生懸命やっているようだけれど、どこかの国みたいに生産性が低いのかも知れません。
(でもその国の国民だから仕方ないよね。)

今まで色々な音楽に携わってきましたが、ここ最近、ずっと同じことをやっていてはマズいと思ってきました。
では手当たり次第に色々なことにチャレンジしたら良いのか。
しかし内面からの強い欲求も感じないので、そんなことはしたくありません。

もしかしたら同じ道の上であっても良いのかも。
それがさらに深まっていったり尖っていったり濃くなっているのであれば。
そしてそれが今最も熱く燃えるものであれば。

ところがそうでもないものに精を出している。
そこまで心底打ち込めるものでもないのに、何だか“義理”とか“都合”で続けている。
これ、絶対ダメですよね。

生き方と音楽が反映し合うものだとすれば、今の有り様はきっと音楽をダメにする。
もっと怖いのは自分自身が塩を盛られたナメクジのように溶けていってしまうこと。
自分が分からなくなってしまう。

義理とか都合のために、本当にやりたいことに割くべき時間もエネルギーも残っていないとしたら誠に馬鹿馬鹿しい限りです。
だって自分の曲(作編曲)をどんどん作りたいし、練習だってしたい。
インプットとして観たい映画も読みたい本もある。
実は大事なことが沢山あるのにそれらに取りかかれずにいたとしたら、それこそ大事な大事な人生を粗末にしていることになる。
本当に人生って大事。

耳の奥にナイフがあり、血でヌラヌラしている。
耳の中にそんなものがあると激しく痛い。
しかしその痛みこそが自分の音楽の源泉だとしたら。
そういう音はどこから響いてくるの?
その生ぬるくて甘ったるい葛湯みたいなものの中にはきっと響いていない。
ナイフを本当に持っていないとダメなんだ。

『やめる』って本当に大事、僕だけではなく皆んなにとって。
僕の方が一方的にやめるのではなく『やめられる』可能性もあるので覚悟しなきゃならないですよね。
やめたり、諦めたり、見限ったり、する方もされる方も大きな痛手を受ける。
ナイフ同士なのであれば刺し違える。

でもこれも仕事のうち。
やめてもやめられても自分のせい。
他人じゃなくて全部自分のせい。
すなわち人生ってかなり自由だってこと。

2022年7月18日月曜日

7/22(金)は喜多直毅トリオ『短調に次ぐ短調』@公園通りクラシックス。

皆さん、こんばんは。
ドイツから帰国し、再び忙しい日々。
蒸し暑く雨の多い今日この頃ですがいかがお過ごしですか?

7/22(金)は田中信正さん(pf.)と西嶋徹さん(cb.)によるトリオでライヴを行います。
会場は渋谷・公園通りクラシックス。
実は今このトリオで演奏するための曲を作っているところ。

基本的にこのトリオではメロディの美しい曲を演奏しようと思っており、オリジナル曲もそのコンセプトに従った曲にしたいと思います。
そしてもう一つ。

『ものおもい』を音楽で表現したいと思っています。
『ものおもい』と言っても色々あって、大抵は心配なことや不安なことなどを鬱々と思い巡らしている様を言うのだと思います。
しかし僕の言う『ものおもい』とは、バーカウンターで一人ウイスキーを飲んでいる時、頭の上に煙のようなものが出てきて、そこに次々と浮かんでは消えていく幻影のようなものです。

それは風景かも知れないし、人物かも知れない。
あるいは風景、またはストーリー。

そう言った幻そのものか、幻に寄り添うような音楽。
甘くて苦い音楽。
こんなのが出来たらと思います。

ぜひお越しください!

喜多直毅トリオ『短調に次ぐ短調』

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   田中信正(ピアノ)
   西嶋徹(コントラバス)

日時:2022年7月22日(金)19:00/19:30
会場:公園通りクラシックス(渋谷)
   〒150-0042東京都渋谷区宇田川町19-5
   東京山手教会B1F
   03-6310-8871
   ※JR・東京メトロ・東急線・京王井の頭線渋谷駅下車徒歩8分

料金:予約¥3,500/当日¥4,000(ドリンク代別)
メール予約:violin@nkita.net(喜多)
※メールタイトルは「7/22喜多田中西嶋」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

電話予約:03-6310-8871(公園通りクラシックス) 


2022年7月22日喜多直毅トリオ『短調に次ぐ短調』
2022年7月22日喜多直毅トリオ『短調に次ぐ短調』@公園通りクラシックス

2022年5月18日水曜日

昨夜の喜多直毅クアルテット/次回は9月15日Jean Sasportesさん(dance)と共に



昨日の喜多直毅クアルテット公演には大勢の方にお越し頂きまして大変有難うございました。
途中楽器のトラブルがありましたが、予定されていた曲を全て演奏出来て良かったと思います。

僕自身弦が切れてしまったり、ヴァイオリンのブリッジが割れてしまったり(!)したことが何度もありますが、自分のトラブルなら案外焦ったりしません。
絶対に何とかしよう!と腹を決める。
しかしメンバーのトラブルだと何だか焦ってしまう。

だいぶ前、明大前のキッドアイラックアートホールで齋藤徹さんとの演奏中、僕の楽器にトラブルが起きたのです。
(何だったか忘れた。)
演奏後、徹さんが『自分のトラブルだったら落ち着いていられるけど共演者のトラブルは本当に焦る』と言っていたのを思い出しました。

昨日は新曲を二曲演奏しました。
一つはライヴのタイトルとした『狼の夜』。
もう一つは『別れ』。

狼の方は、当初狼が集団で獲物を狩るスピード感や自分が獲物になって群れに取り巻かれている様を音楽にしたいと思っていました。
しかし作曲途中で寺山修司さんの書いた『明日のジョー』の歌詞が頭に浮かんでしまったのです。

親のある奴は くにへ帰れ
俺とくる奴は 狼だ
吠えろ!吠えろ!吠えろ!
俺らにゃ 荒野がほしいんだ

『明日のジョー』作詞:寺山修司

その為にボクサーのステップやストレート、フック、アッパー、ジャブなどをリズムに取り入れたりして、結局相当作曲に手こずりました…。
結局、冬のオオカミに戻したのですが、ボクシングはボクシングで音楽作りに面白い題材だと思うのでいつか取り組んでみたいと思います。

やはり僕の場合、冬とか寒さを土台とした方がイメージが湧きやすいのだと実感しました。
シベリアオオカミという種類が実際にいるのです。

この曲はもっと演奏回数を重ねると、さらに牙の鋭さやスピード感が増してカッコ良くなるはずです。

もう一曲の新曲『別れ』は実は田中信正さん(Pf.)、西嶋徹さん(cb.)とのトリオ用に作りました。
それに手を加えて四人用に書き直しました。

この曲はともするとジャズっぽい曲になってしまう傾向がありますが、演奏のニュアンスによって『気温を下げる』ことにより喜多クアルテットでも上手くいくのではないかと思いました。
例えば一曲の中にひまわり畑を出す。
夏空と照りつける太陽を出す。
しかしそれは記憶の中の風景であって、現実に今佇んでいるのは真冬。

実はこの『温度を下げる』感覚を忘れていたところがあり、闇雲に曲作りをしてきた感があります。
しかし原点に再び帰り、今後の喜多直毅クアルテットの曲作りがまた楽しみになってきました。
皆さん、今後ともどうぞ宜しくお願いします!

さて次回のクアルテットのライヴは9/15(木)夜。
東急線・多摩川と沼部の中間地点にある“いずるば”にて行います。
この日はスペシャルゲストとしてダンサーのジャン・サスポータスさんと共にお届けします。



こちらがジャンさんのプロフィール。
ぜひご一読ください。

ジャン・サスポータス Jean Laurent Sas Portas

1952年カサブランカ(モロッコ)生まれ。マルセイユで数学、物理学、哲学を学ぶ。パリでモダンダンスを始め、ダンサーとダンス教師のディプロマを取得。1979年、ヴッパータールのピナ・バウシュ・カンパニーのソロダンサーとして活動を開始。世界中の劇場で踊り続け、ピナの代表作「カフェ・ミュラー」は以来35年400回を越える。1997年から2017年までゲストソリストとしてレパートリー作品に出演。
1989年以降、多くの音楽家とダンスと即興演奏のコラボレーションを展開している。作曲家でコントラバス奏者の齋藤徹と出会い、コラボレーションによるデュオ作品を日本全国15以上の都市で発表。彼と共にヨーロッパと日本のアーティストとの文化交流のプラットフォームを構築する。
1998年以降、ヨーロッパと日本に於いて多くの振付作品を発表する。代表作は「Looking for Kenji」、「うたをさがしてオペリータ」、「私の城」「Am Anfang war das Chaos」。「カフェ・アダ・ダンスシアター」主宰。オペラの演出・振付も行う。また、俳優としても多くの映画に出演する。ペドロ・アルモドバル監督作品「トークトゥーハー」(アカデミー賞受賞)では「世界で一番哀しい顔の男」と評される。
1985年より合気道から派生した「気の道」を学び、25年以上にわたりヴッパータールにある自身の道場で指導を行っている。2000年よりプロのダンサーからハンディキャップのある人まで、世界中のあらゆる人にフロアロア&スタンディング・ボディワークを指導する。

ジャンさんとは故・齋藤徹さん(コントラバス奏者)を通して知り合いました。
その後、ドイツのヴッパタールで行われたジャンさんの振り付け・演出公演の『Looking for Kenji』や『Mein Schloss ~私の城~』に参加させて頂いた他、日本で行われた様々な公演でもご一緒させて頂きました。

僕の説明よりもまずジャンさんのダンスをご覧いただいた方が良いのはいうまでもないのですが、敢えて言葉で表せば“力強いエレガンス”かも。
そして人生の機微のようなものを感じさせてくれます。
まるで美しい映画を見ているような。
もう一つ付け加えれば独特な“ユーモア”。

この共演をお願いした時、ジャンさんは『もう年をとったから余り動けないよ〜』と言っていましたが、沢山動けば良いというものではありません。
喜多クアルテットの音楽が衝動やスピードを内包した“動”であれば、ジャンさんのダンスは人生や心の機微を滲ませる“静”と言えるかも知れません。
どんな曲を一緒にやろうか、今から楽しみにしています!

皆さん、是非9/15(木)の夜はお出かけください!
心よりお待ちしています!

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

特別出演:Jean Sasportes(ダンス)

内容:喜多直毅オリジナル作品+即興ダンス

日時:2022年9月15日(木)19:00開場/19:30開演
会場:いずるば(沼部・多摩川)
   東京都大田区田園調布本町38-8
   03-3721-8760

料金:ご予約¥4,000/当日¥4,500
ご予約・お問い合わせ:violin@nkita.net

【ウタウタ plays 齋藤徹】本日のライヴのお知らせです!


当日のご案内となってしまいましたが、本日西荻窪の音や金時でウタウタのライヴがあります。

いつも演奏しているメンバーのオリジナル曲の他に、本日はコントラバス奏者・齋藤徹さんの命日ということもあり、徹さんの作った歌の作品を何曲か演奏させて頂きます。

晩年の徹さんは即興演奏の他、歌作りに精力的に取り組んでいらっしゃいました。
日本人による優れた詩に徹さんがメロディを付ける、という方法でいくつもの歌を残しました。

普通のポピュラー音楽の場合、一番と二番のメロディは同じであるため両コーラスの歌詞の音節を揃えてあるのですが、徹さんの作った歌はその形を取らないものが多く声楽曲(日本歌曲など)のフォームを持ちあわせています。
現代詩という音節の縛りのない言葉によっているため、単純に“一番→二番→間奏→サビ”の繰り返しとならず、曲の最初の部分が二度と現れずに最後まで異なるメロディで構成されていたりする。
レチタティーヴォの部分やメロディを朗々と歌う部分など様々な形式からなる作品は、まさに現代詩との融合とも言え、変化に富んでいます。

そもそも歌の言葉には言偏に“寺” と“司”があり、徹さんはどちらかというと“寺” の方を選んだ。
結果、“司”よりも言葉に沿った自由な旋律づけが可能となり、日本語の美しさや面白さがより引き立つようになっているのではないかと思います。

今回ウタウタで演奏する作品は比較的耳馴染みのしやすい楽曲が多いのですが、それでも言葉とメロディが織りなす徹さんだからこその世界に魅力を感じていただけるのではないでしょうか。

ある時、徹さんとの仕事で世界中の割とポップな曲を演奏することがありました。
かなり多くの曲を演奏しなければならなかったのですが、徹さんに渡された楽譜の中にはフォルクローレやピアソラ、ブラジル音楽の他に、美空ひばりやザ・ピーナッツや中村八大などの曲もたくさん含まれていたのです。
こうした曲を選んだことを徹さんは少し恥ずかしそうにして笑っていました。

しかしそれらは徹さんが子供の頃、ラジオなどで耳にし、いつの間にか身体に染み付いていたメロディだったのではないかと想像します。
こうした子供の頃に聴いた音楽はなかなか払拭できるものではありませんし、大人になってからもふと作曲の中に現れたりするのです。
僕自身、曲の中に80年代の『スニーカーぶる〜す』とか戦隊ヒーローものの主題歌が出てきたりするから面白い…。
今日演奏する齋藤徹ソングにもそんな片鱗が感じられるはず。
日本歌曲のような面と昭和歌謡的な面が混在する歌の数々、齋藤徹ファンの皆様にとってもユニークなライヴになると思います。
(あぁ、徹さんは今頃また天国で恥ずかしそうに笑っていることでしょう。)

歌うのは齋藤徹さんの作品を歌い続け、もはや最強のインタープリターと称して過言ではない松本泰子さん。

皆様のお越しをお待ちしております!

出演:ウタウタ
   松本泰子(vocal)
   喜多直毅(violin)
   長谷川友二(guitar)
   和田啓(percussion)
内容:齋藤徹作品、メンバーそれぞれのオリジナルソング

日時:2022年5月18日(水)18:30開場 19:00開演
会場:音や金時(西荻窪)
   
   東京都杉並区西荻北2-2-14喜志コーポB1
   03-5382-2020

料金:3,000円+オーダー

無料配信となりますが、 出演者へのご支援として、「投げ銭」を以下にて受け付けております。
どうぞ宜しくお願い致します。

※写真は2014年1月9日、墨田トリフォニーで行われた『オペリータ うたをさがして』の一場面。バンドネオン演奏はオリヴィエ・マヌーリ氏。

2022年4月28日木曜日

2022年4月30日(土)おとがたり朗読公演「夜長姫と耳男」 坂口安吾@六本木ストライプスペース


 
「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげればそれでいいのだ。」

坂口安吾の良く知られた作品の一つ。

耳男は兎のように長い耳を持つ20歳の青年で、飛騨随一と言われる匠の弟子である。アナマロに導かれ、師匠の代わりに夜長の里の長者のもとへ赴くが、それは名高い三人の匠に腕を競わせ、まだ13歳の夜長姫のために護身仏を彫らせるだった。

「好きな物は咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して、いま私を殺したように立派な仕事をして・・・」

創作に取り組むものとして、とても突き刺さる作品です。
否、僕だけではなく、ありとあらゆる創作者(美術・演劇・文学・ダンス)にとっても強く響く物語に違いありません
もしかしたら作品作りでは結果が大切なのではなく、プロセスの方が大事なのかも。
五線紙に一粒一粒音符を刻み込んでいく時間、内なる音を逃すまいと執念を燃やしている時間。

鑑賞者からの評価はどこか遠いところで聞える波や風の音。
創作者が命を燃やすべきは、過去でも未来でもなく“今”。
そこだけに生きる。
獲物を狩る野生動物のように。

これは芸術家だけではなく命ある人、全てに通ずること。
全ての“生きる人“に聴いていただきたい朗読作品となるに違いありません。

「夜長姫と耳男」 坂口安吾
Princess YONAGA and MIMIO


<出演>
おとがたり
長浜奈津子(朗読)
喜多直毅(ヴァイオリン)
 
<公演日時>
2022年4月30日(土)
開場 14時 /開演 14時半
 
 <会場>
六本木ストライプスペース(六本木駅 3番出口より徒歩4分)
〒106-0032  東京都港区六本木5-10-33
Tel:03-3405-8108  Fax:03-3403-6354
 
<入場料金>
予約¥3,000  当日¥3,500(全席自由)
 
<問合せ・ご予約>
電話 09033391281 (長浜)
メール nappy_malena@icloud.com(長浜)
*件名に「おとがたり予約」、メール本文に《4/30》《代表者氏名》《人数》《ご連絡先電話番号》を必ずご記入の上、お申し込み下さい。

【出演者プロフィール】

女優・長浜奈津子とヴァイオリン奏者・喜多直毅による朗読ユニット。首都圏を中心に意欲的に活動を行なっている。物語の持つファンタジーを声や楽器の音を通して空間にありありと描き出すために、即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行するパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている。

桐朋学園演劇科卒業後、劇団俳優座へ。女優・朗読家。2016年から市川市文学ミュージアム「市川荷風忌」へ出演。 “荷風ひとり語り”『ひかげの花』他三味線語り。ヴァイオリニスト喜多直毅氏との朗読ユニット“おとがたり”では『濹東綺譚』他、永井荷風作品を多数上演。於:六本木ストライプハウス「朗読空間 ~ひとり語り~」では、泉鏡花『高野聖』『外科室』他、坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』、小川未明『赤い蝋燭と人魚』、小泉八雲の怪談、宮澤賢治の詩と童話、他多数。 ときに“女優の語り” として物語の登場人物を演じ読み、ときに声のみで言葉や物語を聞き手に読み渡す。

国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。他に黒田京子、齋藤徹 (故人) との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・現代舞踏家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行う。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。

2022年2月5日土曜日

喜多直毅クアルテット次回の公演は5/17(火)@公園通りクラシックス / PAを使うことについて

喜多直毅クアルテット:作曲/Vln喜多直毅 Bandoneon北村聡 Pf三枝伸太郎 Cb田辺和弘

喜多直毅クアルテット:作曲/Vln喜多直毅 Bandoneon北村聡 Pf三枝伸太郎 Cb田辺和弘

昨日は喜多カル@新宿ピットイン公演へお越しくださいまして有難うございました!

普段と違う環境で演奏が出来て、とても新鮮!
普段は60分一本勝負のところ、休憩を挟んで50分2セットの演奏。
時間配分、そして体力気力の持続を考慮としてのライヴとなりましたし、僕個人に関してはやはり2ndセットの途中では消耗した感も否めません。
しかし喜多カル独自のストーリーも表現できて、お越しの方から「まるで映画のようだった」と言って頂きました。
嬉しい!

次回は5/17(火)の夜。
会場は渋谷に戻り、公園通りクラシックスです!
ぜひお越しください!

さて昨日は喜多カルには珍しくPAを使いました。
これには今までの喜多カルを聴いて下さっている方からは賛否両論のご意見を頂くでしょうが、しかしヴァイオリンを担当する僕にはとてもとても弾きやすい環境でした。

普段、出来ない表現が出来ました。
例えば微弱音の中でのサウンドの変化を明瞭に客席に届けられる。
音を激しく弾き切った後に残る残響によって、無伴奏部分に十分な間を作れる。
他の楽器がmfからf程度の音量で鳴っている中で、多少静かに弾いてもしっかりとヴァイオリンが前面に出る。

自分で作曲して自分のバンドを演奏してきて約10年。
これほど自作曲の中で、ヴァイオリンを有効に使えたのは恐らく今回が初めてです。
実は何を隠そう、今まではバンドネオン・ピアノ・コントラバスが中心のアンサンブルとして作っており、ヴァイオリンは香り付けとか装飾としての役割にその存在を当てて来ました。
そして『聴こえなくても仕方がない』という気持ちも若干あったのです。
しかし昨日はヴァイオリンの存在感を前面に出して、“曲の心”を更にむき出しに出来たのではないかと思います。
(もちろんこれはステージ上の僕の印象であって、客席の方はまた別の印象を抱いて当然です。)

ここ10数年、タンゴ以外の現場では僕はPAやアンプを使うことはほとんどして来ませんでした。
特に即興演奏の場合はほぼ100%生音です。
会場が狭くても広くても、です。

ところが先日、ピアニストの照内央晴さんとのライヴで思い切ってPAを使ってみたら、本当に本当に本当に楽だったのです!!!
今まで出来なかった表現も可能になり、しかもいつも以上にインスピレーションも湧いて来る!
照内さんにはこれまでヴァイオリンの音量を考慮して小さく弾いてくださいと頼んで来たのですが、そのライヴでは照内さんも普段通りの音量で思い切り弾けたのではないでしょうか。
もちろん照内さんはppでも演奏できる方ですが、やはり盛り上がった時は思い切りffで弾きたいはずです。
僕がPAを使って音量を得た分、照内さんのダイナミクスも広がったのでは?と想像しています…。

対してタンゴの場合、ピアノもバンドネオンもガッツリ・ガンガン弾いて欲しい。
しかしその音量にヴァイオリンは到底太刀打ち出来ない、ということで、タンゴ演奏の場合はマイクを使っています。
実は喜多カルの場合も楽器編成とか曲の持つパッションはタンゴと同レベル、否、それ以上であって、やはりヴァイオリンはマイクを使ってこそ歌えて、バンドネオンに並ぶメロディ楽器として音楽に参与できるのではないかと思いました。

アンサンブルの鉄則として、音量は一番小さな楽器に合わせる、というのがあります。
ヴァイオリンとピアノのデュオ、例えばブラームスのヴァイオリンソナタなんてピアノは信じられないほど小さな音で弾きます。
歌曲の伴奏も然り。
音数が多い曲の場合、小さい音で弾き続けるのは至難の技だと思います。

しかし喜多カルの音楽の場合、ブラームスとか歌曲とは違うのです。
やはり曲のクライマックスでは“ガッツリ弾かなければ出ない音”を出して欲しいと思っています。

…と、かなり長い記事になってしまいました。
そのうちリヴァーブ(電気的な残響効果)についても書きたいと思います。

これからどのライヴにもPAを使うわけではありませんが、もう少し機会は増えるかも。
会場によって、演奏する音楽によって、です。

ストイックに生音で演奏して来ましたが、ヴォーカリストのようにマイクを使用するのもありかな。
大きめのライヴハウスならなおさら。
歌手って声を張ったかと思えば、囁いたりもするでしょ?
僕はベルカントのヴァイオリン奏者ではありません。
大声で歌ったり金切り声もあげるけど、囁いたり、呟いたり、うめいたり、口ごもったりもしたい。
音の濁流の中にあっても、心の中に微かな叫びはあって、それをしっかり伝えたい。

2022年1月29日土曜日

2/4(金)喜多直毅クアルテットLIVE@新宿ピットイン

喜多直毅クアルテットでやりたいこと。

【例1.】
無差別に人を刺したくなり、ナイフだの火炎瓶だのを手に夕暮れの駅の人混みを歩くが、耳には何の音も入ってこない。
他人の人生も自分の人生も壊してしまいたい、そんな思いで頭がいっぱいで、聴覚は物理的な振動に対して閉じているから。
その“無音”を音楽にしたい。

【例2.】
『仔犬に石を投げるのはアイツ 殴られて育った小さなアイツ
殴り返しもせず 諂(へつら)ってしまった
悔しさが目の奥で 溢れる』
(誰かが書いた歌詞)
この溢れるものの熱さ、込み上げるものの苦辛い味を音楽にしたい。
殴られて口の中に広がる血の鉄臭さも。

【例3.】
さんざん迷惑をかけた父母も死んでしまって幾星霜。
寒い駅に降り立った時、街の人が物陰でひそひそ声でそしっているのを聞く。
方言で何というのか分からないけど、『あれだけ迷惑かけて良く帰って来れたな』とか。
一言一言が平手打ちのよう。
こんなことをひそひそ囁きあっているのです。
たまったものじゃありません。
この訛りの抑揚を音楽にしたい。

【例4.】
躁鬱のちょうどはざかい、燃えるような頭を枕の上に載せる。
脳底は真っ赤に燃えて頭蓋を黒煙が満たす。
枕はぶすぶすと焼け焦げていく。
脳の中を漆黒の蒸気機関車が猛スピードで疾走する。
その汽笛の音や車輪の音を音楽にしたい。


【例】とした割には具体的すぎたかも知れません。
これらは僕が思っていることで、聴く人が全く別の印象を持って当然です。
そもそも音楽の良さの一つは『具体的な意味合いを持たない』『特定の解釈を強要しないところ』にもあるのですから。
(おそらくこんな記事を書かない方がお客さんは聴きに来てくれるのではないかと思います。何で書いてるんでしょうね???)

僕は、喜多クアルテットの音楽は人間の精神のドキュメンタリーであるとも思っています。
生まれて生きて死んでいく。
その間に苦悩もあれば葛藤もある。
希望もあれば歓喜もある。
愛も、裏切りも、嫉妬も…、とにかくありとあらゆる姿を心は見せる。
そして一瞬たりとも同じではないのです。

これは音楽家として看過できないもの。
人の心は一筋縄ではいきませんが、何とかドキュメンタリーのように生き生きと描いてみたい。
そう思って約10年間、喜多クアルテットの活動を続けて来ました。


今回の公演は初めて新宿ピットインで行います。
これまでは渋谷の公園通りクラシックスという『白い空間』で演奏をして来ましたが、『黒い空間』としてのピットインに喜多クアルテットの音楽を置いてみたくなりました。
ニュートラルにどんな音楽をも受け入れるクラシックスに対して、いわゆるライヴハウスの匂いの濃いピットイン。
何度か喜多クアルテットのライヴにお越しの方にとっては、音楽と『ハコ』(演奏会場)の関係の違いとそれに伴う変化も楽しんでいただけるのではないかと思っています。

ぜひぜひ2/4(金)は新宿ピットインへ!
心よりご来場をお待ちしています!



出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

日時:2022年2月4日(金) 18:30開場/19:00開演/二部制
会場:新宿ピットイン
   http://pit-inn.com
   東京都新宿区新宿2-12-4 アコードビルB1F
   03-3354-2024

料金:¥4,400(1ドリンク付き)
予約:電話 03-3354-2024(新宿ピットイン)
   予約フォーム 
   http://pit-inn.com/artist_live_info/220204喜多直毅クアルテット/

感情やエナジーのとめどない奔流、それと対を成す出し抜けの抑止と意識層の急激な切り替わり―タンゴを重要なベースとするこのクァルテットがはらむのは、凍てつくような寒さと紙一重の熱。深層から絞り出されるメロディの儚(はかな)さはリアリティへの絶望を映す鏡だ。なぜ沈黙や郷愁の残滓に心震えるのか。それを意識して改めて気づく薄ら寒い現況がある。
文章:伏谷佳代
2021年1月2日 JazzTokyo このパフォーマンス2020 No.273 #01 喜多直毅クァルテット『異土』

【喜多直毅クアルテット・プロフィール】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。ロシア音楽を彷彿とさせる濃厚な旋律と共に、日本の伝統音楽に通ずる“間”の感覚を併せ持った彼らの音楽は、その深い精神性を高く評価されている。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。作家の高樹のぶ子の朗読舞台でも演奏と作曲を行なっている。ソングライターとしては上條恒彦に作品提供(敬称略)。

北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。世界各国のフェスティバルで演奏。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN'、川井郁子、中島ノブユキ、カルロス・アギーレ、東京交響楽団と共演。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

三枝伸太郎(ピアノ)
1985年神奈川県出身。東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。アルゼンチンタンゴのピアニストとして 2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のコンサート・ツアー、レコーディングに参加。その後、タンゴのみならずジャズ、ポップス、ブラジル音楽など様々なジャンルで活躍。また、作曲家として、シンガーへの楽曲提供、映画音楽、舞台作品への作曲と演奏での参加など数多く手掛ける。近年は坂東玉三郎のコンサート音楽監督、劇作家・演出家点女優渡辺えりの舞台音楽、NHKBS8K「国宝へようこそ」音楽担当など。

田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からタンゴと出会い、本国アルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。即興演奏の第一人者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受け、共演をきっかけに様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。喜多直毅クアルテットや様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。

2022年1月19日水曜日

【1/23(日)は喜多直毅タンゴ四重奏団+矢萩竜太郎(即興ダンス)@いずるば】

アルゼンチンタンゴには“タンゴダンス”という確立された舞台芸術がありますが、今回は即興ダンサーの矢萩竜太郎さんとパフォーマンスを行います。
演奏曲は全てアルゼンチンタンゴ。
そして矢萩竜太郎にしか踊れないダンス。
この二つのコラボレーションです。



もともと竜太郎さんとはコントラバス奏者の齋藤徹さん(故人)の引き合わせによって知り合いました。
それ以後、ドイツで齋藤徹さんを中心に一緒にパフォーマンスを行ったり、デュオで即興演奏&ダンスの公演を行ったり。
喜多クアルテットのゲストとしても二回踊っていただきました。

先日、この公演のために会場となるいずるばでリハーサルを行いました。
タンゴダンスの動きは見慣れていますが、音楽に合わせて自然に踊り始めた竜太郎さんの動きはとてもユニーク。
期待を遥かに超えたものが生まれそうだぞと嬉しくなりました。

彼のダンスの素晴らしいところは、音楽に全く違う角度から光を投げかけてくれるところです。
以前、喜多クアルテットで共演した時は深刻で陰々滅々たるシーンにスキップで登場してくれました。
これはほんの一例で、作曲者である僕が『この音楽のここの部分はこうです』とか『こういう曲だからこう反応するに違いない』と決めてかかっているところを遥かに裏切るダンスをしてくれるのです。
『障がいとはこうだ』とか『障がい者だからこうだ』という思いをさえ遥かに裏切ってくれるのも、素敵なところです。

彼とのセッションにはそうした気づきがあり、また胸の中を太陽の光が満たしてくれるような力を感じます。

今度の日曜日(1/23)、アルゼンチンタンゴと竜太郎さんとの共演をどうぞお楽しみに!
いずるばでお待ちしています!


出演:喜多直毅タンゴ四重奏団
   喜多直毅(ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   松永裕平(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
   矢萩竜太郎(ダンス)
内容:アルゼンチンタンゴの演奏と即興ダンス

日時:2022年1月23日(日) 開場14:30/開演15:00
会場:いずるば(沼部・多摩川)
   東京都大田区田園調布本町38-8

料金:予約¥4,000 当日¥4,500
ご予約・お問い合わせ:
※予約のメールタイトルは「いずるばタンゴ」、メール本文に「代表者氏名、人数、連絡先電話番号」を必ずご記入の上、お申し込みください。

主催:喜多直毅 協力:いずるば


【喜多直毅タンゴ四重奏団】
2018年に喜多直毅(ヴァイオリン)を中心に北村聡(バンドネオン)、松永裕平(ピアノ)によるトリオとして結成され、後に田辺和弘(コントラバス)が参加し四重奏団となる。全員が日本のタンゴシーンを牽引する奏者として演奏活動を行なっている。
レパートリーは馴染み深い『ラ・クンパルシータ』や『エル・チョクロ』、『ロス・マレアドス』などのオリジナル編曲が中心。一方でセステート・マジョール等、名楽団による既存作品もプログラムに取り入れ、ヴァラエティに富んだステージを創り上げている。
現在は東京・雑司が谷のタンゴバー“エル・チョクロ”にてマンスリーライヴを開催し、会場での演奏のほか、ストリーミング配信も行なっている。
そのエネルギーに満ちた演奏と喜多による個性的なアレンジは多くの音楽ファンから注目を集めている。

●喜多直毅(ヴァイオリン)
1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。作家の高樹のぶ子の朗読舞台でも演奏と作曲を行なっている。(敬称略)。

●北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。世界各国のフェスティバルで演奏。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN'、川井郁子、中島ノブユキ、カルロス・アギーレ、東京交響楽団と共演。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

●松永裕平(ピアノ)
国立音楽大学卒業。盛岡市の老舗「アンサンブル」で8年間ピアニスト、アレンジャーとして活躍し、アルゼンチンタンゴの研鑽を積む。
ポピュラーピアノを小原孝氏、音楽理論全般を箱石啓人氏に師事。
小松亮太らの「ハッピー・タンゴ・アワー」に参加、NHK歌謡コンサートでクミコ氏と共演。2017年より菅原洋一氏の伴奏も務める。
古典タンゴを軸足に据え、多数のタンゴユニットに参加し、幅広い活動を展開。古いタンゴをこよなく愛し、真摯に向き合う素晴らしい演奏技術とタンゴ魂は往年のタンゴファンから絶大な人気を誇り、熱く期待されている。
3月にソロアルバムをリリース予定。

●田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からタンゴと出会い、本国アルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。即興演奏の第一人者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受け、共演をきっかけに様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。喜多直毅クアルテットや様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。


【矢萩竜太郎(即興ダンス)】
1990年、ヴォルフガング・シュタンゲ(ロンドン在住,舞踊教育家)との出会いをきっかけにダンスを始める。2014年夏、「竜太郎10番勝負!」(東京 「いずるば」にて6公演、ドイツ各地で4公演)を齋藤徹(音楽家 コントラバス奏者)、ジャン・サスポータス(ダンサー、振付家、演出家)と共に成功させる。
ライブハウス「エアジン」での定期公演、北海道、岩見沢でのアール・ブリュットフォーラムでのオープニングアクト(齋藤徹、ジャン・サスポータスと共に)、2019年よりヴァイオリン奏者・喜多直毅のクアルテット公演に2回出演する。
ダンスのスタイルは常に “即興”。かたちに捉われない自分自身の表現を目指し、彼の存在がその場に与えるポジティブな影響は多方面で注目されている。

2022年1月8日土曜日

【1/15(土)は喜多直毅(vln.) 照内央晴(pf.)西嶋徹(cb.)即興演奏ライヴ@成城Cafe Beulmans】

最近、公園通りクラシックスでピアニストの照内央晴さんと即興演奏ライヴを行いました。
Facebookで宣伝しようと思い、完全に逆説的に『このライヴは余りオススメしません』と書いたのです。
そしたら結構沢山の方が『いいね!』をつけて下さったので、「この宣伝は効くに違いない、しめしめ」とほくそ笑んでいたのです。

ところが当日会場にいらしたのは何と約五名!
やっぱり『オススメしません』と書いたのがいけなかったのか。
オススメしないという言葉をそのまま受け取ってしまった方が多かったのか。
あるいはそもそも聴きに来る気なんかなかったのか。
人の心は良く分かりません。

さて今度の土曜日2/15にも即興演奏のライヴがあります。
懲りずに申し上げますが、このライヴもオススメしません。
知っている曲はやらないし、客席に座っていれば誰でも無条件に楽しめるというものではないと思うからです。

かつては、もっと多くの人に即興演奏の魅力を伝えたいとか多くの方に聴きに来てほしいと願い、宣伝を頑張ったり動画をYouTubeに載せていたこともありました。
しかし、今はそうした努力はしなくても良いと思うようになりました。
宣伝や集客努力で疲れ果てるよりも、演奏に全エネルギーと集中力を注いだ方が良い。
純粋に音楽だけに奉仕する。
それが演奏家にとっての最優先事項です。

即興演奏。
それは素晴らしきもの。
野生の肉食獣が獲物を追う。
草食動物が必死に逃げる。
生まれたばかりの赤子が産声を上げる。
年老いた象が森の奥でドサリと倒れる。
ここにはただただ死ぬまで必死に生きる時間があるだけ。
子鹿が虎に捕まって食べられて可愛そう!とか、そういうことはテレビの前の人が勝手に感じることです。

(僕の尊敬する方が、ある時以上のようなことを言ってくれました。)

生と死の営みに直接触れられる音楽、それが即興演奏だと思います。
そして実はクラシックでもジャズでも他のどんな音楽でも、良い演奏には生と死の営みの時間が流れているはずなのです。

ということで、知っている曲が聴きたければ、そして耳に馴染んだ西洋和声の方程式のみを音楽の条件とするならば、このライヴもまた余りオススメしません。
音楽を聴く、というよりも時間を感じることに面白さがあると思います。

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   照内央晴(ピアノ)
   西嶋徹(コントラバス)
内容:即興演奏

日時:2022年1月15日(土) 19:30開場/20:00開演
   緊急事態宣言などの発令によって17:30開場/18:00開演とさせて頂く場合もございます。
   会場や出演者のウェブサイト、SNSなどでご確認ください。
   2stages(入れ替え無し)
会場:Cafe Beulmans(成城)
   東京都世田谷区成城6-16-5
   カサローザ成城2F
   03-3484-0047

料金:3,700円+2drinks order
予約:03-3484-0047 
            info.cafebeulmans@gmail.com