2022年1月29日土曜日

2/4(金)喜多直毅クアルテットLIVE@新宿ピットイン

喜多直毅クアルテットでやりたいこと。

【例1.】
無差別に人を刺したくなり、ナイフだの火炎瓶だのを手に夕暮れの駅の人混みを歩くが、耳には何の音も入ってこない。
他人の人生も自分の人生も壊してしまいたい、そんな思いで頭がいっぱいで、聴覚は物理的な振動に対して閉じているから。
その“無音”を音楽にしたい。

【例2.】
『仔犬に石を投げるのはアイツ 殴られて育った小さなアイツ
殴り返しもせず 諂(へつら)ってしまった
悔しさが目の奥で 溢れる』
(誰かが書いた歌詞)
この溢れるものの熱さ、込み上げるものの苦辛い味を音楽にしたい。
殴られて口の中に広がる血の鉄臭さも。

【例3.】
さんざん迷惑をかけた父母も死んでしまって幾星霜。
寒い駅に降り立った時、街の人が物陰でひそひそ声でそしっているのを聞く。
方言で何というのか分からないけど、『あれだけ迷惑かけて良く帰って来れたな』とか。
一言一言が平手打ちのよう。
こんなことをひそひそ囁きあっているのです。
たまったものじゃありません。
この訛りの抑揚を音楽にしたい。

【例4.】
躁鬱のちょうどはざかい、燃えるような頭を枕の上に載せる。
脳底は真っ赤に燃えて頭蓋を黒煙が満たす。
枕はぶすぶすと焼け焦げていく。
脳の中を漆黒の蒸気機関車が猛スピードで疾走する。
その汽笛の音や車輪の音を音楽にしたい。


【例】とした割には具体的すぎたかも知れません。
これらは僕が思っていることで、聴く人が全く別の印象を持って当然です。
そもそも音楽の良さの一つは『具体的な意味合いを持たない』『特定の解釈を強要しないところ』にもあるのですから。
(おそらくこんな記事を書かない方がお客さんは聴きに来てくれるのではないかと思います。何で書いてるんでしょうね???)

僕は、喜多クアルテットの音楽は人間の精神のドキュメンタリーであるとも思っています。
生まれて生きて死んでいく。
その間に苦悩もあれば葛藤もある。
希望もあれば歓喜もある。
愛も、裏切りも、嫉妬も…、とにかくありとあらゆる姿を心は見せる。
そして一瞬たりとも同じではないのです。

これは音楽家として看過できないもの。
人の心は一筋縄ではいきませんが、何とかドキュメンタリーのように生き生きと描いてみたい。
そう思って約10年間、喜多クアルテットの活動を続けて来ました。


今回の公演は初めて新宿ピットインで行います。
これまでは渋谷の公園通りクラシックスという『白い空間』で演奏をして来ましたが、『黒い空間』としてのピットインに喜多クアルテットの音楽を置いてみたくなりました。
ニュートラルにどんな音楽をも受け入れるクラシックスに対して、いわゆるライヴハウスの匂いの濃いピットイン。
何度か喜多クアルテットのライヴにお越しの方にとっては、音楽と『ハコ』(演奏会場)の関係の違いとそれに伴う変化も楽しんでいただけるのではないかと思っています。

ぜひぜひ2/4(金)は新宿ピットインへ!
心よりご来場をお待ちしています!



出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

日時:2022年2月4日(金) 18:30開場/19:00開演/二部制
会場:新宿ピットイン
   http://pit-inn.com
   東京都新宿区新宿2-12-4 アコードビルB1F
   03-3354-2024

料金:¥4,400(1ドリンク付き)
予約:電話 03-3354-2024(新宿ピットイン)
   予約フォーム 
   http://pit-inn.com/artist_live_info/220204喜多直毅クアルテット/

感情やエナジーのとめどない奔流、それと対を成す出し抜けの抑止と意識層の急激な切り替わり―タンゴを重要なベースとするこのクァルテットがはらむのは、凍てつくような寒さと紙一重の熱。深層から絞り出されるメロディの儚(はかな)さはリアリティへの絶望を映す鏡だ。なぜ沈黙や郷愁の残滓に心震えるのか。それを意識して改めて気づく薄ら寒い現況がある。
文章:伏谷佳代
2021年1月2日 JazzTokyo このパフォーマンス2020 No.273 #01 喜多直毅クァルテット『異土』

【喜多直毅クアルテット・プロフィール】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。ロシア音楽を彷彿とさせる濃厚な旋律と共に、日本の伝統音楽に通ずる“間”の感覚を併せ持った彼らの音楽は、その深い精神性を高く評価されている。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。作家の高樹のぶ子の朗読舞台でも演奏と作曲を行なっている。ソングライターとしては上條恒彦に作品提供(敬称略)。

北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。世界各国のフェスティバルで演奏。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN'、川井郁子、中島ノブユキ、カルロス・アギーレ、東京交響楽団と共演。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

三枝伸太郎(ピアノ)
1985年神奈川県出身。東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。アルゼンチンタンゴのピアニストとして 2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のコンサート・ツアー、レコーディングに参加。その後、タンゴのみならずジャズ、ポップス、ブラジル音楽など様々なジャンルで活躍。また、作曲家として、シンガーへの楽曲提供、映画音楽、舞台作品への作曲と演奏での参加など数多く手掛ける。近年は坂東玉三郎のコンサート音楽監督、劇作家・演出家点女優渡辺えりの舞台音楽、NHKBS8K「国宝へようこそ」音楽担当など。

田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からタンゴと出会い、本国アルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。即興演奏の第一人者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受け、共演をきっかけに様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。喜多直毅クアルテットや様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。

2022年1月19日水曜日

【1/23(日)は喜多直毅タンゴ四重奏団+矢萩竜太郎(即興ダンス)@いずるば】

アルゼンチンタンゴには“タンゴダンス”という確立された舞台芸術がありますが、今回は即興ダンサーの矢萩竜太郎さんとパフォーマンスを行います。
演奏曲は全てアルゼンチンタンゴ。
そして矢萩竜太郎にしか踊れないダンス。
この二つのコラボレーションです。



もともと竜太郎さんとはコントラバス奏者の齋藤徹さん(故人)の引き合わせによって知り合いました。
それ以後、ドイツで齋藤徹さんを中心に一緒にパフォーマンスを行ったり、デュオで即興演奏&ダンスの公演を行ったり。
喜多クアルテットのゲストとしても二回踊っていただきました。

先日、この公演のために会場となるいずるばでリハーサルを行いました。
タンゴダンスの動きは見慣れていますが、音楽に合わせて自然に踊り始めた竜太郎さんの動きはとてもユニーク。
期待を遥かに超えたものが生まれそうだぞと嬉しくなりました。

彼のダンスの素晴らしいところは、音楽に全く違う角度から光を投げかけてくれるところです。
以前、喜多クアルテットで共演した時は深刻で陰々滅々たるシーンにスキップで登場してくれました。
これはほんの一例で、作曲者である僕が『この音楽のここの部分はこうです』とか『こういう曲だからこう反応するに違いない』と決めてかかっているところを遥かに裏切るダンスをしてくれるのです。
『障がいとはこうだ』とか『障がい者だからこうだ』という思いをさえ遥かに裏切ってくれるのも、素敵なところです。

彼とのセッションにはそうした気づきがあり、また胸の中を太陽の光が満たしてくれるような力を感じます。

今度の日曜日(1/23)、アルゼンチンタンゴと竜太郎さんとの共演をどうぞお楽しみに!
いずるばでお待ちしています!


出演:喜多直毅タンゴ四重奏団
   喜多直毅(ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   松永裕平(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
   矢萩竜太郎(ダンス)
内容:アルゼンチンタンゴの演奏と即興ダンス

日時:2022年1月23日(日) 開場14:30/開演15:00
会場:いずるば(沼部・多摩川)
   東京都大田区田園調布本町38-8

料金:予約¥4,000 当日¥4,500
ご予約・お問い合わせ:
※予約のメールタイトルは「いずるばタンゴ」、メール本文に「代表者氏名、人数、連絡先電話番号」を必ずご記入の上、お申し込みください。

主催:喜多直毅 協力:いずるば


【喜多直毅タンゴ四重奏団】
2018年に喜多直毅(ヴァイオリン)を中心に北村聡(バンドネオン)、松永裕平(ピアノ)によるトリオとして結成され、後に田辺和弘(コントラバス)が参加し四重奏団となる。全員が日本のタンゴシーンを牽引する奏者として演奏活動を行なっている。
レパートリーは馴染み深い『ラ・クンパルシータ』や『エル・チョクロ』、『ロス・マレアドス』などのオリジナル編曲が中心。一方でセステート・マジョール等、名楽団による既存作品もプログラムに取り入れ、ヴァラエティに富んだステージを創り上げている。
現在は東京・雑司が谷のタンゴバー“エル・チョクロ”にてマンスリーライヴを開催し、会場での演奏のほか、ストリーミング配信も行なっている。
そのエネルギーに満ちた演奏と喜多による個性的なアレンジは多くの音楽ファンから注目を集めている。

●喜多直毅(ヴァイオリン)
1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。作家の高樹のぶ子の朗読舞台でも演奏と作曲を行なっている。(敬称略)。

●北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。世界各国のフェスティバルで演奏。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN'、川井郁子、中島ノブユキ、カルロス・アギーレ、東京交響楽団と共演。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

●松永裕平(ピアノ)
国立音楽大学卒業。盛岡市の老舗「アンサンブル」で8年間ピアニスト、アレンジャーとして活躍し、アルゼンチンタンゴの研鑽を積む。
ポピュラーピアノを小原孝氏、音楽理論全般を箱石啓人氏に師事。
小松亮太らの「ハッピー・タンゴ・アワー」に参加、NHK歌謡コンサートでクミコ氏と共演。2017年より菅原洋一氏の伴奏も務める。
古典タンゴを軸足に据え、多数のタンゴユニットに参加し、幅広い活動を展開。古いタンゴをこよなく愛し、真摯に向き合う素晴らしい演奏技術とタンゴ魂は往年のタンゴファンから絶大な人気を誇り、熱く期待されている。
3月にソロアルバムをリリース予定。

●田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からタンゴと出会い、本国アルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。即興演奏の第一人者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受け、共演をきっかけに様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。喜多直毅クアルテットや様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。


【矢萩竜太郎(即興ダンス)】
1990年、ヴォルフガング・シュタンゲ(ロンドン在住,舞踊教育家)との出会いをきっかけにダンスを始める。2014年夏、「竜太郎10番勝負!」(東京 「いずるば」にて6公演、ドイツ各地で4公演)を齋藤徹(音楽家 コントラバス奏者)、ジャン・サスポータス(ダンサー、振付家、演出家)と共に成功させる。
ライブハウス「エアジン」での定期公演、北海道、岩見沢でのアール・ブリュットフォーラムでのオープニングアクト(齋藤徹、ジャン・サスポータスと共に)、2019年よりヴァイオリン奏者・喜多直毅のクアルテット公演に2回出演する。
ダンスのスタイルは常に “即興”。かたちに捉われない自分自身の表現を目指し、彼の存在がその場に与えるポジティブな影響は多方面で注目されている。

2022年1月8日土曜日

【1/15(土)は喜多直毅(vln.) 照内央晴(pf.)西嶋徹(cb.)即興演奏ライヴ@成城Cafe Beulmans】

最近、公園通りクラシックスでピアニストの照内央晴さんと即興演奏ライヴを行いました。
Facebookで宣伝しようと思い、完全に逆説的に『このライヴは余りオススメしません』と書いたのです。
そしたら結構沢山の方が『いいね!』をつけて下さったので、「この宣伝は効くに違いない、しめしめ」とほくそ笑んでいたのです。

ところが当日会場にいらしたのは何と約五名!
やっぱり『オススメしません』と書いたのがいけなかったのか。
オススメしないという言葉をそのまま受け取ってしまった方が多かったのか。
あるいはそもそも聴きに来る気なんかなかったのか。
人の心は良く分かりません。

さて今度の土曜日2/15にも即興演奏のライヴがあります。
懲りずに申し上げますが、このライヴもオススメしません。
知っている曲はやらないし、客席に座っていれば誰でも無条件に楽しめるというものではないと思うからです。

かつては、もっと多くの人に即興演奏の魅力を伝えたいとか多くの方に聴きに来てほしいと願い、宣伝を頑張ったり動画をYouTubeに載せていたこともありました。
しかし、今はそうした努力はしなくても良いと思うようになりました。
宣伝や集客努力で疲れ果てるよりも、演奏に全エネルギーと集中力を注いだ方が良い。
純粋に音楽だけに奉仕する。
それが演奏家にとっての最優先事項です。

即興演奏。
それは素晴らしきもの。
野生の肉食獣が獲物を追う。
草食動物が必死に逃げる。
生まれたばかりの赤子が産声を上げる。
年老いた象が森の奥でドサリと倒れる。
ここにはただただ死ぬまで必死に生きる時間があるだけ。
子鹿が虎に捕まって食べられて可愛そう!とか、そういうことはテレビの前の人が勝手に感じることです。

(僕の尊敬する方が、ある時以上のようなことを言ってくれました。)

生と死の営みに直接触れられる音楽、それが即興演奏だと思います。
そして実はクラシックでもジャズでも他のどんな音楽でも、良い演奏には生と死の営みの時間が流れているはずなのです。

ということで、知っている曲が聴きたければ、そして耳に馴染んだ西洋和声の方程式のみを音楽の条件とするならば、このライヴもまた余りオススメしません。
音楽を聴く、というよりも時間を感じることに面白さがあると思います。

出演:喜多直毅(ヴァイオリン)
   照内央晴(ピアノ)
   西嶋徹(コントラバス)
内容:即興演奏

日時:2022年1月15日(土) 19:30開場/20:00開演
   緊急事態宣言などの発令によって17:30開場/18:00開演とさせて頂く場合もございます。
   会場や出演者のウェブサイト、SNSなどでご確認ください。
   2stages(入れ替え無し)
会場:Cafe Beulmans(成城)
   東京都世田谷区成城6-16-5
   カサローザ成城2F
   03-3484-0047

料金:3,700円+2drinks order
予約:03-3484-0047 
            info.cafebeulmans@gmail.com