2022年9月16日金曜日

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』:有難うございました!

昨日、喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』の公演、無事終了いたしました。
満席として下さって本当に有難うございます。
お越しの皆様には楽しんで頂けましたら幸いです。
Jeanさん、Bénédicteさんのダンス(そして我々の音楽)には大変好評を頂きました。
来日中のお二人にとっては日本でのファイナル公演でしたが、彼らにも楽しんで踊って頂けたなら僕にとって喜びもひとしおです。

リハーサル中の画像をいくつかご覧ください。

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景


公演プログラムの一番最後には『海に向かいて ~Facing The Sea~』という曲を使いました。
彼らの古巣であるピナ・バウシュ舞踏団では恐らく使われないタイプであろうエモーショナルでドラマティックなバラードです。
ある意味“ベタ”な曲調で、この曲を使うことには選曲の時点で若干の躊躇がありました。
しかし僕としては、彼らならきっと素晴らしい世界を表現してくれるという確信もあったのです。

彼らがこれまでの人生で向き合ってきた様々な海。
ダンスに捧げた時間。
ピナ・バウシュ舞踏団で得た様々な体験と知識。
また一個人として経てきたであろう様々な経験。
出会いと別れ、喜びと悲しみ、希望と失望、家族・友人との時間。

これらは彼らの“海”の中に漂い流れているに違いありません。
思い出は波のようにうねり、岸辺に繰り返し打ち寄せる。
この人生の“海”を何千マイルも泳ぎ続けてきた二人が、今どんな眼差しで“海”に向き合っているのか…。
それを昨日の公演では本当に見事に表現してくれて、胸が熱くなりました。
言葉に言い表すことの出来ぬほど素晴らしいダンサー達です。


さて昨日は彼らの美しいダンスにすっかり魅了されてしまったわけですが、一つ凄く驚いた出来事が!
それは喜多クアルテットの音楽を僕が作曲していると知らなかったお客さんが結構いたことです!
ほんと、ビックリ!
何とジャンさんにまで『この曲誰が作ったの?』と言われました!
CDにもフライヤーにも『作曲:喜多直毅』とクレジットしてあるのですが…。
今まで喜多クアルテットのレパートリーは、ヤ○ハとか宮○楽器とかから買ってきた楽譜だと思われていたのでしょうか!?

別に少しも怒っていません。
むしろ僕自身で面白がっているくらい。
もしかしたらこの匿名性こそ喜多クアルテットの音楽の良い点かも知れません。
どこかから立ち上っていつの間にか充満しているガスみたい。

ということで、誰が作ったか分からない(気にならない)音楽のライヴが11月17日(木)に行われます。
もちろんダンサーのいないガッツリ音楽のみのライヴ。
昨日の公演は割とマイルドな曲調でしたが、次回は重金属がぶつかり合うような音楽をお届けします。

会場は新宿ピットインです。

2022年11月17日喜多直毅クアルテット@新宿ピットイン
2022年11月17日喜多直毅クアルテット@新宿ピットイン

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

日時:2022年11月17日(木) 19:00開場/19:30開演/40分二部制
   東京都新宿区新宿2-12-4 アコードビルB1F
   03-3354-2024

料金:¥4,400(1ドリンク付き)
予約:電話 03-3354-2024(新宿ピットイン)

感情やエナジーのとめどない奔流、それと対を成す出し抜けの抑止と意識層の急激な切り替わり―タンゴを重要なベースとするこのクァルテットがはらむのは、凍てつくような寒さと紙一重の熱。深層から絞り出されるメロディの儚(はかな)さはリアリティへの絶望を映す鏡だ。なぜ沈黙や郷愁の残滓に心震えるのか。それを意識して改めて気づく薄ら寒い現況がある。
文章:伏谷佳代
2021年1月2日 JazzTokyo このパフォーマンス2020 No.273 #01 喜多直毅クァルテット『異土』

プロフィール

【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。濃厚な旋律と激しいリズムによって生み出される圧倒的な音楽劇は高い精神性を宿し、幅広い層からの支持を集める。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。作家の高樹のぶ子の朗読舞台でも演奏と作曲を行なっている。ソングライターとしては上條恒彦に作品提供(敬称略)。

北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。世界各国のフェスティバルで演奏。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN'、川井郁子、中島ノブユキ、カルロス・アギーレ、東京交響楽団と共演。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

三枝伸太郎(ピアノ)
1985年神奈川県出身。東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。アルゼンチンタンゴのピアニストとして 2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のコンサート・ツアー、レコーディングに参加。その後、タンゴのみならずジャズ、ポップス、ブラジル音楽など様々なジャンルで活躍。また、作曲家として、シンガーへの楽曲提供、映画音楽、舞台作品への作曲と演奏での参加など数多く手掛ける。近年は坂東玉三郎のコンサート音楽監督、劇作家・演出家点女優渡辺えりの舞台音楽、NHKBS8K「国宝へようこそ」音楽担当など。

田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からタンゴと出会い、本国アルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。即興演奏の第一人者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受け、共演をきっかけに様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。喜多直毅クアルテットや様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。


どうぞお誘い合わせの上お越しください!
お楽しみに!

2022年9月12日月曜日

【海に向かいて】

久しぶりに喜多直毅クアルテットのイメージ動画を作ってみました。
9/15に行うJean Sasportes、Bénédicte Billet両氏(共にダンス)との公演のためです。



この公演ではいつものライヴの如く、一時間を通して映画の如きストーリーを作りたいと思っています。
そこにJeanさんとBénédicteさんに加わっていただくわけですが、僕が思い描いた通りに展開するとは思いません。
むしろ思い通りにならない方が良いのです。
音楽とダンスのタイムラインはそれぞれ別の次元で進行していたりする。
考え方も感じ方も微妙に違う。
それが面白さを生むのです。

この公演の音楽には、ボッティチェリの女神やさすらい人、酔漢、津波、売春婦、氷の大地など、様々な人物・場面が登場します。
しかし今回共演する二人のダンサーは、僕とは全く異なる次元で音楽と関わってくれるに違いありません。
僕が想定した人物・場面なんか出てこなくても構いません。
何が二人を通して出現するのか予想できず、未知なだけにますます期待が膨らみます。

中でもこの曲『海に向かいて』を二人がどのように踊ってくれるのか。
(彼らの古巣“ピナ・バウシュ舞踏団”ではこのタイプの音楽は使わないかも?)

凪も嵐も経験し、人生という海を何千マイルも泳ぎ続けたダンサーたち。
どんな眼差しで海を見つめ、どんな波音を聞いているのだろう。
どんな顔をしているのだろう。
このように想像させてくれるのがJeanさん、Bénédicteさんです。
人生を感じさせるダンス、です。

きっと素晴らしい公演になるに違いありません。
どうぞお誘い合わせの上、お越しください。
お待ちしております。


喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

特別出演:Jean Sasportes(ダンス)
     Bénédicte Billet(ダンス)

内容:喜多直毅オリジナル作品+ダンス

日時:2022年9月15日(木)19:00開場/19:30開演
会場:いずるば(沼部・多摩川)
   東京都大田区田園調布本町38-8
   03-3721-8760

料金:ご予約¥4,500/当日¥5,000
ご予約・お問い合わせ:violin@nkita.net
メールタイトルは「喜多クアルテット9月予約」、メール本文に「代表者氏名、人数、連絡先電話番号」を必ずご記入の上、お申し込みください。



【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。濃厚な旋律と激しいリズムによって生み出される圧倒的な音楽劇は高い精神性を宿し、幅広い層からの支持を集める。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

【ジャン・サスポータス Jean Laurent Sasportes】
1952年カサブランカ(モロッコ)生まれ。マルセイユで数学、物理学、哲学を学ぶ。パリでモダンダンスを始め、ダンサーとダンス教師のディプロマを取得。1979年、ヴッパータールのピナ・バウシュ・カンパニーのソロダンサーとして活動を開始。世界中の劇場で踊り続け、ピナの代表作「カフェ・ミュラー」は以来35年400回を越える。1997年から2017年までゲストソリストとしてレパートリー作品に出演。
1989年以降、多くの音楽家とダンスと即興演奏のコラボレーションを展開している。作曲家でコントラバス奏者の齋藤徹と出会い、コラボレーションによるデュオ作品を日本全国15以上の都市で発表。彼と共にヨーロッパと日本のアーティストとの文化交流のプラットフォームを構築する。
1998年以降、ヨーロッパと日本に於いて多くの振付作品を発表する。代表作は「Looking for Kenji」、「うたをさがしてオペリータ」、「私の城」「Am Anfang war das Chaos」。「カフェ・アダ・ダンスシアター」主宰。オペラの演出・振付も行う。また、俳優としても多くの映画に出演する。ペドロ・アルモドバル監督作品「トークトゥーハー」(アカデミー賞受賞)では「世界で一番哀しい顔の男」と評される。
1985年より合気道から派生した「気の道」を学び、25年以上にわたりヴッパータールにある自身の道場で指導を行っている。2000年よりプロのダンサーからハンディキャップのある人まで、世界中のあらゆる人にフロアロア&スタンディング・ボディワークを指導する。

【ベネディクト・ビリエ Bénédicte Billet】
1954年、フランス生まれ。パリ国立高等音楽院でクラシック・バレエを学んだ後、リヨン・オペラ座で踊る。1975年、パリに戻り、ピーター・ゴスのモダンダンス・カンパニーに参加。1981年にドイツに渡り、ヴッパータールにあるピナ・バウシュのタンツシアターに参加し、1989年までダンサーとして活躍する。2001年にヴッパータール舞踊団に復帰し、「Kontakthof with ladies and gentlemen from the age of 65」プロジェクトに参加、リハーサルディレクターも務める。現在は、ピナ・バウシュの作品の再演の共同リハーサル・ディレクターを務めるほか、「ピナ・バウシュ・アーカイヴ」のアーカイヴの構築にも携わっている。

2022年9月5日月曜日

9月15日(木)喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』
喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』
2020年9月5日リハーサル@いずるば

今日は喜多直毅クアルテットとJean Sasportesさん&Bénédicte Billetさんとの顔合わせ。
クアルテットの生演奏を直にお二人に聞いて頂きました。

JeanさんもBénédicteさんもドイツが誇るピナ・バウシュ舞踏団で活躍したダンサーです。
現在も欧州各地でダンサーとして、振付家・ディレクターとして活躍していらっしゃいます。

本拠地・ヴッパタールにお住まいですが、共にフランス国籍。
ですので二人同士の会話はフランス語。
僕らと話すのは英語。
北村君(Bandoneon)とはスペイン語。

今回のお二人の主な来日目的はJeanさん振り付けによる『Mein Schloss ~私の城~』の公演やワークショップの講師、他にBénédicteさんとお嬢さんのSophiaさんによる『Entre-temps au grenier』の上演、等々です。
二人の来日に合わせて僕も喜多クアルテットとの共演をお願いしました。

喜多クアルテットの音楽と言えば、“音楽ドラマ”と称するように一曲の中に一つのストーリーが展開します。
ここにお二人がどのように絡んで下さるのか、本当に楽しみで仕方がありません。
演奏を予定している曲目を一曲ずつ聴いて頂いた結果、お二人とも気に入って下さった様子で僕も大変嬉しかったです。
最初、お二人は即興ダンスでの参加を考えていらしたようですが、我々のストーリー的な音楽を聴いて、少しだけコンセプチュアルな場面も作ってくれそうな予感。
これは期待せずにはいられません!

Jeanさんとは故・齋藤徹さんを通して知り合い、これまで日本やドイツで共演をさせて頂きました。
前述の『Mein Schloss ~私の城~』や宮沢賢治と東日本大震災をテーマにした『Looking for Kenji』など、Jeanさんの演出・振り付け公演にも幾つか参加させて頂きました。
『世界一悲しい顔を持つ男』と称されるJeanさんですが、彼の踊りにはいつもユーモアと同時にペーソスを感じます。
また一才無駄のない静かな動きには雪の降り積もった静かな日本庭園の佇まいを感じます。
激しいリズムや暗いカオスを持つ喜多クアルテットの音楽にJeanさんがどんなダンスで応えてくれるのか、ぜひ皆さんにもご覧いただきたいと願っています。

そしてBénédicteさん。
実は昨夜、彼女とお嬢さんのSophiaさんによるダンス作品・『Entre-temps au grenier』を拝見しました。
この作品は“母”という存在を通して、人生のヒストリーや親から子へ受け継がれる命の流れを描く大変感動的な作品でした。
流麗かつ繊細な動き、四肢を大きく動かすユーモラスな動き、ニュアンスに富んだ表情の変化。
魅力的なシーンが次々と展開しますが、作品の最後には人生の終わりと共に受け継がれる命が描かれます。
僕の文章ではその素晴らしさを書き表すことは到底不可能なのですが、作品の後半では熱いものがこみ上げました。

二人のダンスの素晴らしい点は、究極的に言えば『人間を、人生を描くところ』だと思います。
この円熟のダンサーお二人と共に音楽を奏でられるのが嬉しくて堪りません。
いえいえ、僕一人で喜んでいるわけにはまいりません。
ぜひ皆さんにもお越しいただき、我々のステージをご覧いただきたいと思います!

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

特別出演:Jean Sasportes(ダンス)
     Bénédicte Billet(ダンス)

内容:喜多直毅オリジナル作品+ダンス

日時:2022年9月15日(木)19:00開場/19:30開演
会場:いずるば(沼部・多摩川)
   東京都大田区田園調布本町38-8
   03-3721-8760

料金:ご予約¥4,500/当日¥5,000
ご予約・お問い合わせ:violin@nkita.net
メールタイトルは「喜多クアルテット9月予約」、メール本文に「代表者氏名、人数、連絡先電話番号」を必ずご記入の上、お申し込みください。


どうぞお誘い合わせの上、お越しください。

お待ちしています! 

2022年8月9日火曜日

『やめる』ってこと。

喜多直毅
2020年9月3日北海道函館市・石川啄木一族の墓の前にて。

最近思っていること。

それは『時間がない!』ということなのです。
『タスクが多過ぎ』とも言えるし『時間の使い方が下手』とも言える。
能率が悪いのかも。
一生懸命やっているようだけれど、どこかの国みたいに生産性が低いのかも知れません。
(でもその国の国民だから仕方ないよね。)

今まで色々な音楽に携わってきましたが、ここ最近、ずっと同じことをやっていてはマズいと思ってきました。
では手当たり次第に色々なことにチャレンジしたら良いのか。
しかし内面からの強い欲求も感じないので、そんなことはしたくありません。

もしかしたら同じ道の上であっても良いのかも。
それがさらに深まっていったり尖っていったり濃くなっているのであれば。
そしてそれが今最も熱く燃えるものであれば。

ところがそうでもないものに精を出している。
そこまで心底打ち込めるものでもないのに、何だか“義理”とか“都合”で続けている。
これ、絶対ダメですよね。

生き方と音楽が反映し合うものだとすれば、今の有り様はきっと音楽をダメにする。
もっと怖いのは自分自身が塩を盛られたナメクジのように溶けていってしまうこと。
自分が分からなくなってしまう。

義理とか都合のために、本当にやりたいことに割くべき時間もエネルギーも残っていないとしたら誠に馬鹿馬鹿しい限りです。
だって自分の曲(作編曲)をどんどん作りたいし、練習だってしたい。
インプットとして観たい映画も読みたい本もある。
実は大事なことが沢山あるのにそれらに取りかかれずにいたとしたら、それこそ大事な大事な人生を粗末にしていることになる。
本当に人生って大事。

耳の奥にナイフがあり、血でヌラヌラしている。
耳の中にそんなものがあると激しく痛い。
しかしその痛みこそが自分の音楽の源泉だとしたら。
そういう音はどこから響いてくるの?
その生ぬるくて甘ったるい葛湯みたいなものの中にはきっと響いていない。
ナイフを本当に持っていないとダメなんだ。

『やめる』って本当に大事、僕だけではなく皆んなにとって。
僕の方が一方的にやめるのではなく『やめられる』可能性もあるので覚悟しなきゃならないですよね。
やめたり、諦めたり、見限ったり、する方もされる方も大きな痛手を受ける。
ナイフ同士なのであれば刺し違える。

でもこれも仕事のうち。
やめてもやめられても自分のせい。
他人じゃなくて全部自分のせい。
すなわち人生ってかなり自由だってこと。