12/28(水)午後、おとがたり朗読公演『おとうと 幸田文』@六本木ストライプスペース

皆さん、こんばんは。

今日は12月25日クリスマス。
2022年も終わろうとしています。

さて来週水曜日、朗読家・女優の長浜奈津子さんと共に朗読公演を行います。
演目は幸田文の遺した名作『おとうと』。
この作品は市川崑監督によって映画化されており、僕も子供時代にたまたまテレビで見て以来ずっと好きな映画です。
映像が美しく、登場する役者たち(岸惠子、川口浩、田中絹代、森雅之)の演技も素晴らしい。

『おとうと』と言えば誰にとっても原作小説と並んでこの映画がまず浮かぶと思いますが、このような強いイメージを既に持つ作品を取り上げるのはある意味チャレンジングかと思います。
しかし、姉と弟の心の通い合いや両親との葛藤など、心の機微に富んだこの作品を是非朗読と音楽で描いてみたいと思っていました。
朗読は映画に比べて圧倒的に情報量が少なく、その分、聴き手が想像を膨らませるスペースが広く設けられています。
映画とはまた違った魅力を感じて頂けるに違いありません。

今日、奈津子さんとリハーサルをしましたが、なかなか良い仕上がり。
これまでも2人で色々な作品に取り組んできましたが、今回は案外スムーズに読みや音楽が流れ出てきます。
我々が気持ちを乗せやすい作品だからかな?
ぜひ皆さんにもお越しいただけますように!

おとがたり:朗読:長浜奈津子 ヴァイオリン:喜多直毅


幸田文「おとうと」
おとがたり 朗読:長浜奈津子 ヴァイオリン:喜多直毅

幸田文『おとうと』おとがたり 朗読:長浜奈津子 ヴァイオリン:喜多直毅


「ひどい哀しさなんかまだいいや、少し哀しいのがいつも滲みついちゃってるんだよ、おれに。癪に障らあ、しみったれてて。」(本文より)

<あらすじ>
げんと碧郎 (へきろう) は、作家の父と義母の四人家族。姉のげんはリウマチで家事のできない母の代わりを一手に引き受けて、家庭を支える。貧しい暮らし、家族同士や人とのしがらみ、思うようにいかない現実の暮らしの中、碧郎は冤罪から悪い仲間とつきあい、さまざまな事件を起こす。義母への反抗、家庭不和。やりきれない様々な思いを抱える、思春期の碧郎を一心に思いやり、愛情をかけて身の回りの世話をするげん。やがて碧郎は重篤な結核を患い入院。げんは感染を恐れることもなくいっそう献身的に看病するのであった___。

<作品について>
雨の四月、葉桜の土手。美しく細やかな情景描写で、鮮やかに浮かびあがる場面の数々。姉と弟、弟と義母、姉と父、父と義母、家族同士それぞれの関係性と個々の心情。人と人との関わりの中にある、表立ちしない微妙なおもむき。つややかな情感と飾らない語り口で描かれる、幸田文の私小説。亡き弟への鎮魂歌。
<公演情報>
日時 2022年12月28日(水) 開場14時30分 開演15時

   〒106-0032 東京都港区六本木5-10-33 地下1階 Mフロア
   (六本木駅3番出口より徒歩4分)

料金:前売り¥3,500 当日¥4,000 (全席自由)

<ご予約・お問合せ>
電話 09033391281 (長浜)
メール nappy_malena@icloud.com(長浜)
*件名に「おとがたり予約」、メール本文に《12/28》《代表者氏名》《人数》《ご連絡先電話番号》を必ずご記入の上、お申し込み下さい。

【ご案内】会場では感染症対策として会場内の換気・消毒他、衛生管理に努めます。

おとがたり
ー 出演者プロフィールー
女優・長浜奈津子とヴァイオリン奏者・喜多直毅による朗読ユニット。首都圏を中心に意欲的に活動を行なっている。物語の持つファンタジーを声や楽器の音を通して空間にありありと描き出すために、即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行するパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている。

オリジナル台本とレパートリー
近年はオリジナルの台本と音楽による作品上演をする。漂白の詩人:石川啄木『啄木といふ奴 』~A Guy called Takuboku~、極北の詩人:吉田一穂『白鳥古丹 −カムイコタン−』、太宰治『人間失格~道化と狂気のモノロギスト~』、坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』、永井荷風『 濹東綺譚』『にぎり飯』他多数。小川未明『港に着いた黒んぼ』、小泉八雲『耳なし芳一』、岡本かの子『鮨』、オスカー・ワイルド『幸福の王子』『わがままな大男』『ナイチンゲールと紅いバラ』等、レパートリーは多岐に渡る。市川市文学ミュージアム、小樽文学館、室蘭港の文学館、北海道函館市芸術ホール、札幌俊カフェにおける朗読公演など、ユニークな活動が注目を集めている。

桐朋学園演劇科卒業後、劇団俳優座へ。女優・朗読家。2016年から市川市文学ミュージアム「市川荷風忌」へ出演。 “荷風ひとり語り”『ひかげの花』他三味線語り。ヴァイオリニスト喜多直毅氏との朗読ユニット“おとがたり”では『濹東綺譚』他、永井荷風作品を多数上演。於:六本木ストライプハウス「朗読空間 ~ひとり語り~」では、泉鏡花『高野聖』『外科室』他、坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』、小川未明『赤い蝋燭と人魚』、小泉八雲の怪談、宮澤賢治の詩と童話、他多数。 ときに“女優の語り” として物語の登場人物を演じ読み、ときに声のみで言葉や物語を聞き手に読み渡す。

国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。他に黒田京子、齋藤徹 (故人) との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・現代舞踏家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行う。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。

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