2022年4月30日(土)おとがたり朗読公演「夜長姫と耳男」 坂口安吾@六本木ストライプスペース


 
「一心不乱に、オレのイノチを打ちこんだ仕事をやりとげればそれでいいのだ。」

坂口安吾の良く知られた作品の一つ。

耳男は兎のように長い耳を持つ20歳の青年で、飛騨随一と言われる匠の弟子である。アナマロに導かれ、師匠の代わりに夜長の里の長者のもとへ赴くが、それは名高い三人の匠に腕を競わせ、まだ13歳の夜長姫のために護身仏を彫らせるだった。

「好きな物は咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して、いま私を殺したように立派な仕事をして・・・」

創作に取り組むものとして、とても突き刺さる作品です。
否、僕だけではなく、ありとあらゆる創作者(美術・演劇・文学・ダンス)にとっても強く響く物語に違いありません
もしかしたら作品作りでは結果が大切なのではなく、プロセスの方が大事なのかも。
五線紙に一粒一粒音符を刻み込んでいく時間、内なる音を逃すまいと執念を燃やしている時間。

鑑賞者からの評価はどこか遠いところで聞える波や風の音。
創作者が命を燃やすべきは、過去でも未来でもなく“今”。
そこだけに生きる。
獲物を狩る野生動物のように。

これは芸術家だけではなく命ある人、全てに通ずること。
全ての“生きる人“に聴いていただきたい朗読作品となるに違いありません。

「夜長姫と耳男」 坂口安吾
Princess YONAGA and MIMIO


<出演>
おとがたり
長浜奈津子(朗読)
喜多直毅(ヴァイオリン)
 
<公演日時>
2022年4月30日(土)
開場 14時 /開演 14時半
 
 <会場>
六本木ストライプスペース(六本木駅 3番出口より徒歩4分)
〒106-0032  東京都港区六本木5-10-33
Tel:03-3405-8108  Fax:03-3403-6354
 
<入場料金>
予約¥3,000  当日¥3,500(全席自由)
 
<問合せ・ご予約>
電話 09033391281 (長浜)
メール nappy_malena@icloud.com(長浜)
*件名に「おとがたり予約」、メール本文に《4/30》《代表者氏名》《人数》《ご連絡先電話番号》を必ずご記入の上、お申し込み下さい。

【出演者プロフィール】

女優・長浜奈津子とヴァイオリン奏者・喜多直毅による朗読ユニット。首都圏を中心に意欲的に活動を行なっている。物語の持つファンタジーを声や楽器の音を通して空間にありありと描き出すために、即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行するパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている。

桐朋学園演劇科卒業後、劇団俳優座へ。女優・朗読家。2016年から市川市文学ミュージアム「市川荷風忌」へ出演。 “荷風ひとり語り”『ひかげの花』他三味線語り。ヴァイオリニスト喜多直毅氏との朗読ユニット“おとがたり”では『濹東綺譚』他、永井荷風作品を多数上演。於:六本木ストライプハウス「朗読空間 ~ひとり語り~」では、泉鏡花『高野聖』『外科室』他、坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』、小川未明『赤い蝋燭と人魚』、小泉八雲の怪談、宮澤賢治の詩と童話、他多数。 ときに“女優の語り” として物語の登場人物を演じ読み、ときに声のみで言葉や物語を聞き手に読み渡す。

国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。他に黒田京子、齋藤徹 (故人) との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・現代舞踏家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行う。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。

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