喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』:有難うございました!

昨日、喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』の公演、無事終了いたしました。
満席として下さって本当に有難うございます。
お越しの皆様には楽しんで頂けましたら幸いです。
Jeanさん、Bénédicteさんのダンス(そして我々の音楽)には大変好評を頂きました。
来日中のお二人にとっては日本でのファイナル公演でしたが、彼らにも楽しんで踊って頂けたなら僕にとって喜びもひとしおです。

リハーサル中の画像をいくつかご覧ください。

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景

喜多直毅クアルテット+Jean Sasportes & Bénédicte Billet『舞曲』@いずるば:リハーサル風景


公演プログラムの一番最後には『海に向かいて ~Facing The Sea~』という曲を使いました。
彼らの古巣であるピナ・バウシュ舞踏団では恐らく使われないタイプであろうエモーショナルでドラマティックなバラードです。
ある意味“ベタ”な曲調で、この曲を使うことには選曲の時点で若干の躊躇がありました。
しかし僕としては、彼らならきっと素晴らしい世界を表現してくれるという確信もあったのです。

彼らがこれまでの人生で向き合ってきた様々な海。
ダンスに捧げた時間。
ピナ・バウシュ舞踏団で得た様々な体験と知識。
また一個人として経てきたであろう様々な経験。
出会いと別れ、喜びと悲しみ、希望と失望、家族・友人との時間。

これらは彼らの“海”の中に漂い流れているに違いありません。
思い出は波のようにうねり、岸辺に繰り返し打ち寄せる。
この人生の“海”を何千マイルも泳ぎ続けてきた二人が、今どんな眼差しで“海”に向き合っているのか…。
それを昨日の公演では本当に見事に表現してくれて、胸が熱くなりました。
言葉に言い表すことの出来ぬほど素晴らしいダンサー達です。


さて昨日は彼らの美しいダンスにすっかり魅了されてしまったわけですが、一つ凄く驚いた出来事が!
それは喜多クアルテットの音楽を僕が作曲していると知らなかったお客さんが結構いたことです!
ほんと、ビックリ!
何とジャンさんにまで『この曲誰が作ったの?』と言われました!
CDにもフライヤーにも『作曲:喜多直毅』とクレジットしてあるのですが…。
今まで喜多クアルテットのレパートリーは、ヤ○ハとか宮○楽器とかから買ってきた楽譜だと思われていたのでしょうか!?

別に少しも怒っていません。
むしろ僕自身で面白がっているくらい。
もしかしたらこの匿名性こそ喜多クアルテットの音楽の良い点かも知れません。
どこかから立ち上っていつの間にか充満しているガスみたい。

ということで、誰が作ったか分からない(気にならない)音楽のライヴが11月17日(木)に行われます。
もちろんダンサーのいないガッツリ音楽のみのライヴ。
昨日の公演は割とマイルドな曲調でしたが、次回は重金属がぶつかり合うような音楽をお届けします。

会場は新宿ピットインです。

2022年11月17日喜多直毅クアルテット@新宿ピットイン
2022年11月17日喜多直毅クアルテット@新宿ピットイン

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)
内容:喜多直毅オリジナル作品

日時:2022年11月17日(木) 19:00開場/19:30開演/40分二部制
   東京都新宿区新宿2-12-4 アコードビルB1F
   03-3354-2024

料金:¥4,400(1ドリンク付き)
予約:電話 03-3354-2024(新宿ピットイン)

感情やエナジーのとめどない奔流、それと対を成す出し抜けの抑止と意識層の急激な切り替わり―タンゴを重要なベースとするこのクァルテットがはらむのは、凍てつくような寒さと紙一重の熱。深層から絞り出されるメロディの儚(はかな)さはリアリティへの絶望を映す鏡だ。なぜ沈黙や郷愁の残滓に心震えるのか。それを意識して改めて気づく薄ら寒い現況がある。
文章:伏谷佳代
2021年1月2日 JazzTokyo このパフォーマンス2020 No.273 #01 喜多直毅クァルテット『異土』

プロフィール

【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲は全て喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチンタンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽である。濃厚な旋律と激しいリズムによって生み出される圧倒的な音楽劇は高い精神性を宿し、幅広い層からの支持を集める。
4人のメンバーはそれぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、卓越した実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり“ドゥエンデ(Duende)”を呼び醒ます。

喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)
1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。作家の高樹のぶ子の朗読舞台でも演奏と作曲を行なっている。ソングライターとしては上條恒彦に作品提供(敬称略)。

北村聡(バンドネオン)
関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。世界各国のフェスティバルで演奏。これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN'、川井郁子、中島ノブユキ、カルロス・アギーレ、東京交響楽団と共演。NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

三枝伸太郎(ピアノ)
1985年神奈川県出身。東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。アルゼンチンタンゴのピアニストとして 2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のコンサート・ツアー、レコーディングに参加。その後、タンゴのみならずジャズ、ポップス、ブラジル音楽など様々なジャンルで活躍。また、作曲家として、シンガーへの楽曲提供、映画音楽、舞台作品への作曲と演奏での参加など数多く手掛ける。近年は坂東玉三郎のコンサート音楽監督、劇作家・演出家点女優渡辺えりの舞台音楽、NHKBS8K「国宝へようこそ」音楽担当など。

田辺和弘(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からタンゴと出会い、本国アルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。即興演奏の第一人者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受け、共演をきっかけに様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。喜多直毅クアルテットや様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。


どうぞお誘い合わせの上お越しください!
お楽しみに!

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