2015年11月1日(日)昼夜二回公演(入れ替え制):喜多直毅クアルテット『峻嶺』〜沈黙と咆哮の音楽ドラマ〜

喜多直毅クアルテット, 北村聡, 三枝伸太郎, 田辺和弘
フライヤーデザイン:山田真介

11/1は年内最後の喜多直毅クアルテット…。
今回は昼と夜、入れ替え制の公演を行います。
曲目は完全に別のものに致します。


このグループを結成した当初は、ヴァイオリンが映える様なアルゼンチン・タンゴのスタンダードをやろうと思っていました。
でもいざ編曲に取り掛かろうと五線紙に向かっても何だか筆が進みませんでした。
“El Ultimo Cafe”、“Uno”、“El Dia Que Me Quieras”、etc、そんな曲をロマンティックに弾こうと思っていたのですが…。

直感したのは『自分が本当にやりたいのはこれじゃない!』って事。
やっぱりオリジナル曲で勝負したいと思いました。
しかも出来るだけピアソラや伝統的なタンゴに使われる常套句や型に頼らず、自分が今までの音楽経験で学んできたもの(タンゴ以外も含む)を目いっぱい活かして音楽を作ってみたいと思いました。
※プグリエーセのジュンバのリズムだけは拝借しています、大好きだから。

けれどタンゴの持つ精神的な側面は堅持しようと思いました。
何故ならその側面にこそ共感が有り、僕はタンゴと繋がっているから。
前に月刊ラティーナでクアルテットのアルバムを記事にして頂いた時、インタビュアーの鈴木一哉さんが『狂気、葛藤、情感、美しさ』と言う言葉を使って下さいました。
そして同じ記事でバンドネオンの北村聡君が『悲しみ、憂い、暴力性、郷愁』と言う単語でこの音楽を言い表してくれました。
こうしたタンゴの持つ内面性は失いたくない、と言うか、失うはずがない。
失ってしまったら僕は僕自身でなくなる…、そうとまで思いました。

勿論、こうした内面的なものがあるからこそ、“表れ”としてタンゴに良くあるあのフレーズ、コード進行、リズムなわけです。
しかしこれら伝統的なタンゴの様式やピアソラ的なフレーズよりも、“表れ”としては僕のオリジナリティを優先的に打ち出したいと思いました。

そんな風に考えてこのグループの音楽作りを始めて今に至ります。


以前、とても嬉しいことがありました。
あるご高齢のタンゴファンの方にお会いして食事をご馳走になりました。
その方は伝統工芸の職人さんです。
頑固一徹、誇りを持って仕事をして来られた方です。
そんな自分の生き様をタンゴと言う音楽の中に感じるのだそうです。
だから長い間、人生の朋友としてタンゴを聴き続けてきたのだと思います。

職人さんはクアルテットの音楽にも同じものを感じると言って下さいました。
タンゴにとって大事なもの(表層的な演奏の上手さとかではなく)がちゃんとあると言って下さいました。
大事なもの、それは“生き方”だと思います。
その生き方の上に、鈴木さんや北村君の使ってくれた様な言葉が滲んでいるのだと思います。

職人さんにそう言われた時、僕は嬉しくて嬉しくて本当に涙が出ました。
人前で涙を流すなんて恥ずかしいのですが、その時ばかりは堪え切れませんでした。
自分の音楽を認めてくれたのがタンゴファンだから嬉しいのではありません。
ひたすら頑固に、信念を持ち、そして誇り高く仕事をして来た人に自分の音楽を評価して貰えたから嬉しかったのです。


今回のコンサートタイトル“峻嶺”とは高くそびえる山と言う意味です。

アイゼンを履きピッケルを持ち、風にびゅうびゅう吹かれながら登って行く。
高山にのみ生きる動植物。
遠く連なる峰々…。
そこは厳しい世界ですが、人を惹きつけて止まない美しさがある。
そんな風景を音楽で描きたいと思います。

皆さんどうぞ聴きにお越し下さい。
宜しくお願い致します。


喜多直毅クアルテット『峻嶺』〜沈黙と咆哮の音楽ドラマ〜

出演:喜多直毅クアルテット
   喜多直毅(音楽とヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

日時:2015年11月1日(日)
   昼公演 13:30開場 14:00開演 15:30頃終演予定
   夜公演 18:00開場 18:30開演 20:00頃終演予定
   完全入れ替え制
  ※昼夜共に異なる曲目でお送りします。

場所:公園通りクラシックス(渋谷)
   〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町19-5
   東京山手教会B1F

料金:
◉予約(昼or夜)¥4,000 
◉当日(昼or夜)¥4,500 
◉昼夜連続予約 ¥7,000(昼のご来場時に¥4,000、夜のご来場時に¥3,000を申し受けます。)
※昼夜連続予約は10月31日までにお願い致します。
※昼公演にて夜公演のご予約を頂いた場合は¥4,000を申し受けます。

※お申込み方法
下記の電話番号(留守番電話)、又はメールアドレスまで《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》《予約時間帯(昼・夜・連続)》をお知らせ下さい。
nkita.tokyo@gmail.com(喜多)
080-6887-5857(横田)

※お問い合わせ
nkita.tokyo@gmail.com(喜多)
080-6887-5857(横田)


喜多直毅クアルテット, 喜多直毅, 北村聡, 三枝伸太郎, 田辺和弘
喜多直毅クアルテット:喜多直毅(vln)三枝伸太郎(pf)北村聡(bn)田辺和弘(cb)