7月30日&31日二夜連続公演・喜多直毅クアルテット『月と星のシンフォニー ~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~』@公園通りクラシックス

デザイン:山田真介 自分が現在リーダーとして行っているプロジェクト、それが喜多直毅クアルテットです。 僕が人前で演奏するようになって一番自分の好きな音楽を自由に奏でられているグループだと思っています。 このクアルテットでしたい事、それはまず自分がリスナーとして聴きたい音楽を出来るだけそのままの形で作曲し演奏する。 或いは霊感(“心霊”ではない)によって与えられたものを形にする。 音楽家ならば当然の事です。 特別な事情でも無い限り聴きたくもない音楽、嫌いな音楽をわざわざ演奏する人はいません。 ところが! 案外時流に流されたり他の人に無理をして合わせたりしてしまい、自分の中にある音楽に素直に耳を傾けられなかったりします。 またそれらが聴こえているにも関わらず、色々な点が未熟でどう表現して良いか分からない。 理想の音楽を作るための共演者に巡り合えない。 僕にはそう言う時期が長くありました。 僕の聴きたい音楽、もっと大きく言えば必要とする音楽って何だろう? それは生活に寄り添う音楽です。 僕は勉強や研究の為に沢山の音楽を聴きますが、それ以外はプレイヤーをオフにしています。 仕事を離れて、本当に心の底から音楽を求めるのは悲しい時、辛い時、心が疲れた時です。 ユニークで刺激的、知的好奇心を満足させる音楽も好きですが、心の為には余り聴きません。 一人、深夜の街を歩きながら、ポルトガル・ギターの音色や讃美歌、アタウアルパ・ユパンキの声とギター、キース・ジャレットの奏でるジャズバラードに耳を澄ますとほんの少し気持ちが安らぎます。 こんな風に生活に寄り添う音楽を集めて行き、その中でもより好きなものをピックアップする。 すると“人生の音楽コレクション”が出来上がります。 ドラマティックだったり、逆にシンプルで短い歌だったり。 激しい叫びのようだったり、静かな祈りのようだったり。 形態もサウンドも様々ですが、どれも僕にとって欠かせない音楽。 僕の人生と共にある音楽達です。 僕は喜多クアルテットではこうした音楽(人生に必要な音楽)を自分で作ってみたいと思いました。 言わばセルフメイドの音楽です。 自分で自分の背広を仕立てる様な感じ。 凄く身体にフィットして良く似合う。 流行に左右されない。 着ていて快適。 ち...