2015年7月27日月曜日

7月30日&31日二夜連続公演・喜多直毅クアルテット『月と星のシンフォニー ~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~』@公園通りクラシックス

喜多直毅クアルテット, 喜多直毅, 北村聡, 三枝伸太郎, 田辺和弘
デザイン:山田真介




自分が現在リーダーとして行っているプロジェクト、それが喜多直毅クアルテットです。
僕が人前で演奏するようになって一番自分の好きな音楽を自由に奏でられているグループだと思っています。

このクアルテットでしたい事、それはまず自分がリスナーとして聴きたい音楽を出来るだけそのままの形で作曲し演奏する。
或いは霊感(“心霊”ではない)によって与えられたものを形にする。
音楽家ならば当然の事です。
特別な事情でも無い限り聴きたくもない音楽、嫌いな音楽をわざわざ演奏する人はいません。

ところが!
案外時流に流されたり他の人に無理をして合わせたりしてしまい、自分の中にある音楽に素直に耳を傾けられなかったりします。
またそれらが聴こえているにも関わらず、色々な点が未熟でどう表現して良いか分からない。
理想の音楽を作るための共演者に巡り合えない。
僕にはそう言う時期が長くありました。

僕の聴きたい音楽、もっと大きく言えば必要とする音楽って何だろう?
それは生活に寄り添う音楽です。
僕は勉強や研究の為に沢山の音楽を聴きますが、それ以外はプレイヤーをオフにしています。
仕事を離れて、本当に心の底から音楽を求めるのは悲しい時、辛い時、心が疲れた時です。
ユニークで刺激的、知的好奇心を満足させる音楽も好きですが、心の為には余り聴きません。
一人、深夜の街を歩きながら、ポルトガル・ギターの音色や讃美歌、アタウアルパ・ユパンキの声とギター、キース・ジャレットの奏でるジャズバラードに耳を澄ますとほんの少し気持ちが安らぎます。

こんな風に生活に寄り添う音楽を集めて行き、その中でもより好きなものをピックアップする。
すると“人生の音楽コレクション”が出来上がります。
ドラマティックだったり、逆にシンプルで短い歌だったり。
激しい叫びのようだったり、静かな祈りのようだったり。
形態もサウンドも様々ですが、どれも僕にとって欠かせない音楽。
僕の人生と共にある音楽達です。

僕は喜多クアルテットではこうした音楽(人生に必要な音楽)を自分で作ってみたいと思いました。
言わばセルフメイドの音楽です。
自分で自分の背広を仕立てる様な感じ。
凄く身体にフィットして良く似合う。
流行に左右されない。
着ていて快適。
ちょっと体型が変わってもサイズを直し、一生大事に着られるような背広。

実は、子供の頃、僕は地図を作るのが好きだったのです。
夢に出てきた、或いは空想した街や港、田園風景。
それらを自分で書いた白地図の上に配置していく。
小学生の頃は仮面ライダーやウルトラマンの基地が登場しましたが、大きくなるに連れ碧く光る摩天楼、人気のない冬の港、伸びやかな草原が地図の上に描かれるようになりました。
その地図の世界には自分にとって一番美しい風景があり、懐かしい風が吹いている。
海は夕陽に染まり、草原には朽ちた教会がポツンと建っている。
その世界に一人、僕は入って行き、暫く安らかな時を過ごすのです。

こんな風に、最初は自分の心が慰められる音楽を作ろうと思っていました。
良くも悪くも心の傷口を意識した音楽と言えるかもしれません。
しかし暫く経つうちに、別な理由でこの音楽作りが必要だと思うようになりました。

何故僕はクアルテットの音楽を作るのか。
それは楽しいからです。
人生にとって楽しいことは絶対に必要です。
否、人生は楽しむためにあるのです。
クアルテットの曲を作る時、楽しさに寝食を忘れて五線紙に向かう事が出来ます。
もし辛いことがあっても、それが音楽に姿を変えて心を満たしてくれます。
そんな時の心の有り様は水をたっぷりと吸い込んだ海綿のようで、少し触れただけで水分が溢れ出てきます。

例えば失恋の時。
心はむき出しの状態になり、些細な刺激にも敏感に反応します。
普段はどんなに鈍感な人でも感受性が豊かになるのです。
音楽家にとってこんな心持ち程幸せな状態は無いと思います。

一人で空想しているだけのファンタジーの世界でしたが、今はそうではありません。
僕が地図に描いた国や街に住んでくれる人、旅人のように訪れてくれる人がいて欲しい。
楽しみながら作った音楽です。
きっと聴く人にも同じような気持ちが伝わると思うのです。
楽しめば楽しむほど、人はそれを誰かに伝えたくなるものかも知れません。

喜多クアルテットの音楽は確かにシリアスです。
殆どの曲が短調でテンポも遅い。
でも描きたいのは“絶望”や“死”だけではありません。
絶望から希望を目指すエネルギー、死と生を行き来する命…、そう言ったものを音楽にしたいと思っています。
そして、そんな音楽をこそ僕は聴きたい、リスナーとしても。

だとしたらその音楽を作る僕自身が絶望していてはなりません。
まず思い切り楽しんで作曲していなければ、そして演奏していなければ、このエネルギーは生まれて来ません。

僕が作った曲、そしてメンバーの理解と協力による演奏に共感し共有して下さる方がいらしたなら、これほど有りがたく嬉しい事はありません。
客席に皆さんがいて下さること、それが僕の幸せです。
『聴きに来て良かった』、『感動した』と言って下さるような音楽をご用意し、提供したいと思っています。
そして僕が音楽作りに感じている幸せを一人でも多くの方に手渡せたらと思っています。

どうぞ喜多クアルテットの音楽を聴きにおいで下さい。
夜明け前の海、草いきれと陽炎、霞むふるさと、凍てつく大地…。
様々な風景をご覧に入れたいと思います。



喜多直毅クアルテット 二夜連続公演
『月と星のシンフォニー』~沈黙と咆哮の音楽ドラマ~

出演:喜多直毅(音楽とヴァイオリン)
   北村聡(バンドネオン)
   三枝伸太郎(ピアノ)
   田辺和弘(コントラバス)

日時:第一夜 2015年7月30日(木)
   第二夜 2015年7月31日(金)
   19:30開場 20:00開演 21:30頃終演予定(両日とも)
  ※二日とも異なる曲目でお送りします。

場所:公園通りクラシックス(渋谷)
   〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町19-5
   東京山手教会B1F
   03-3423-6343(オフィス)
   03-3464-2701(ホール)

料金:どちらか一日分のご予約:¥4,000
   二夜連続予約:¥7,000(7/30のご来場時に¥4,000、翌7/31に¥3,000を申し受けます。)
   当日(両日とも):¥4,500

※お申込み方法
下記の電話番号(留守番電話)、又はメールアドレスまで《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》《予約日》をお知らせ下さい。
nkita.tokyo@gmail.com(喜多)
080-6887-5957(横田)

※ご予約に際しての注意事項
・二夜連続予約は7月29日までにお願い致します。
・7月30日に翌日7月31日のご予約を頂いた場合は¥4,000を申し受けます。

※お問い合わせ
nkita.tokyo@gmail.com(喜多)
080-6887-5957(横田)