喜多直毅&黒田京子デュオ東北ツアー:もりおか啄木・賢治青春館
ここは盛岡市中心部にある啄木賢治青春館二階の展示ホール。
普段はギャラリーや室内楽のコンサート会場として使われています。
それにしても実に素晴らしい響き!
ボディの小さなヴァイオリンにとっては演奏空間も楽器の一部。
気持ち良く演奏出来るスペースです。
そして建物も明治時代に建築された美しい煉瓦造り。
かつては銀行(楽屋として使わせて頂いた部屋のドアには“重役室”と札がかかっていました。)。
現在は一階にレトロなカフェを持つ文化スポットとして、地元の方々や観光の皆さんが頻繁に訪れています。
今回のコンサートは第一部を『啄木へのオマージュ』と題して、啄木の短歌や彼の人生にインスパイアされて作った楽曲を演奏しました。
第二部はCD『愛の讃歌』のレパートリーからシャンソンや映画音楽、昭和歌謡など。
第一部では普通に曲を弾く他、啄木の短歌を詠みながら演奏したり。
コアな啄木ファンがいらしてるかも知れません。
余り変な事は出来んぞ…と思っていたのですが、やっぱり普段通りの自分の演奏になりました。
そう言う性分です。
よそ行きの演奏は出来ません。
とにかく楽しかったです!
もう一回やりたいコンサート。
終わってしまったのが寂しいくらい。
お客さんの反応も良く、会場に流れる空気に暖かさを感じました。
皆さん、客席で顔をほころばせていましたよ!
東京から来て下さった方もいらっしゃいましたが、楽しんでくれたかな。
気て良かった!と感じて下さったなら我々も最高に嬉しいです!
さて。
啄木の望郷、葛藤、挫折、反骨、孤独、社会に対する批判精神。
それらはこの僕の中にもあって、ある意味、音楽作りのテーマになっていると言って過言ではありません。
僕の場合、自分自身がそう言うものを音楽で描きたいと思っているのと同時に、誰かに『これこそお前が音楽で描くべき事柄だ』と指し示されているような気がします。
そう感じるようになったのはここ数年です。
そして本当の意味で仕事が面白くなってきたのもここ数年。
何だか音楽を通しての自分の役割が見つかった様に思います。
啄木と僕。
二人の交わる所から紡ぎ出されたのがこの日演奏した音楽だったのかも知れない。
彼と共に故郷を訪ね、北海道を彷徨い、東京の雑踏に紛れ、恋をし、病んで、そして短歌の如く一瞬一瞬を凝縮して生きる…。
勿論啄木程には無理だとしても、彼の人生を心の中で追体験しました。
果たして啄木を通して自分自身を見つめる結果となりました。
ところで啄木派の僕に対して黒田さんは賢治派らしいです(あ、啄木が嫌いというわけではありませんから!)。
次回は賢治をテーマに二人でコンサートが出来るかも知れません。
実現したら嬉しいです。
ところでこの写真。
周りを取り囲んでかけられている絵は画家・杉本みゆきさんの作品。
ブルーやホワイトの使われた伸び伸びとした絵は僕の大好きな世界。
こんな作品に囲まれて演奏出来て本当に嬉しかったです!
『杉本みゆき展 〜銀の劇場〜』はもりおか啄木・賢治青春館二階展示ホールで9/3まで開催されています。
お近くの方、是非ご覧下さい!
さて次はこの写真。
最後に。
今回は多くの方のご協力とご理解があってこの様なコンサートを開く事ができました。
青春館の田口善政館長、鐙浩史さんには心からお礼を申し上げます。
そして宣伝と集客に力を貸してくれた両親、本当に有難う。
いらして下さった方々がもしこのコンサートを楽しんで下さったのなら、少しは故郷に恩返しが出来た様に思います。
またいつか盛岡の皆さんに演奏を聴いて頂きたいです!
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