2015年1月2日金曜日

海外ジャズ系ウェブマガジン“all about jazz”にCD評が掲載されました!


海外ジャズ系ネットマガジン“all about jazz”に齋藤徹さんの近年の作品のCD・DVD評が掲載されました。
※僕の事も少し書いてあります。

The Rich Musical Vision Of Japanese Double Bass Player Tetsu Saitoh
by EYAL HAREUVENI


全文英語ですので日本語訳(齋藤徹さんによる)をご紹介します。
※スミマセン、長くなりますので僕の参加させて頂いたCD・DVDのみのご紹介です…。



齋藤徹・喜多直毅
「明 キッドアイラックホールにおけるデュオインプロビゼーション」
  Travessia 2014年


明, 齋藤徹, 喜多直毅 

バイオリン奏者喜多直毅はこの10年来のもっとも身近な共演者、その理由は明らかです。齋藤と同様に喜多の多様な音楽のスペクトルと多能性は、彼自身の、そして共演者のボキャブラリーを豊かにします。彼はクラシックの訓練を受け、アルゼンチンに住んでいるときはアストル・ピアソラ楽団のバイオリン奏者にヌエボタンゴを習いました。ジャズの、伝統にも、最も自由な領域にも精通、そして素晴らしい臨機応変のインプロバイザーでもあるのです。
このデュオ「メイ(日本語で明るいと言う意味の)」は東京でのライブ録音、齋藤と喜多のテレパシーのようなインタープレイを記録しました。単なるコントラバスとバイオリンをはるかに超えた大きなユニットの音なのです。どちらがどちらの楽器の音かほとんど分からなくなるような高速かつ有機的な動きの中で、お互いのアイディアを拡張・拡大させていくことが何度も起こっているのです。
2曲にわたる齋藤と喜多のインプロビゼーションにおいて、彼らは決して、これでいいや、というところに行きません。緊張・カオス・ドラマ・新しい音や色の探求の演奏性や興奮を常に楽しんでいます。二人ともテクニックの拡張もしますが、それは、強烈で詩的な楽曲を深化させるために音響的選択肢を拡張し豊かにするためのものに過ぎません。
本当にファンタスティックで奥深いインプロデュオが出現しました。



「うたをさがして」LIVEアットポレポレ坐   Travessia 2012年


うたをさがして, 齋藤徹, さとうじゅんこ, 喜多直毅

うたをさがして「Looking for Songs」は齋藤・喜多のデュオにボーカリストのさとうじゅんこが加わったものです。2011年に「むがさり唄」(マルメロ)としてすでにCDがあります。齋藤はこの楽曲を2011年東北大震災と津波(311地震として知られ、福島で3つの原子炉がメルトダウンし16000名が亡くなりました。)の後に書きました。このトリオ盤は2011年11月30日、この悲劇的な地震と津波のほんの7ヶ月後、に東京でライブ録音されました。
最初の8つの曲の言葉は、偉大なギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロス(「永遠と1日」、「エレニの旅」、「霧の中の風景」オリジナルサウンドトラックはエレニ・カランドロウによって作曲され1998,2004,2005年にECMよりリリースされています。)の映画のシーンにインスパイアされています。そして盤の後半は、古いスペインのグレゴリア聖歌、隠れキリシタンの歌、宮沢賢治、乾千恵の詩による楽曲が収録されています。
すべて日本語で歌われるこれらの室内楽的・詩的楽曲はさとうじゅんこにより美しく届けられています。彼女の暖かく、オペラのような声は情感に満ち溢れ、エレガントにかつ、威厳を保ち歌われています。 彼女はこれらのメランコリックな物語歌を、ガラスのように繊細な無垢さとやさしさ、謙虚、敬意そしてドラマティックな緊張感を保ちつつ歌います。アンゲロプロスの映画にしばしば現れる荒涼とした風景や、スピリチュアルなテキストを伝えるさとうじゅんこのエモーショナルな語りを、齋藤と喜多は出しゃばらず、控えめに縁取りますが、たった二挺の弦楽器とは思えない大きな音の世界を提示、時には火の出るような演奏もありますが、常に歌手にリードを任せています。
感動的で胸を打つ1枚です。



Jean Sasportes & Tetsu Saitoh
With Friends in Tokyo, May 2012 

Travessia  2013 年


 Jean Sasportes & Tetsu Saitoh with Friends in Tokyo, May 2012

このDVDは齋藤とジャン・サスポータスの3つのLIVEパフォーマンスが含まれています。サスポータスは、ピナ・バウシュの振付で踊り、1985年からは偉大なベーシスト故ペーター・コヴァルトとフリーダンスインプロビゼーションを始め、2006年からは齋藤としばしば共演。このDVDは、2012年5月の東京周辺でのショートツアーの中から、3つのホールでゲストを交えて収録されました。
最初のパフォーマンスは「うたをさがしてトリオ」(齋藤・さとうじゅんこ〈うた〉、喜多直毅〈バイオリン〉)との共演。サスポータスはこのトリオの敬虔なスピリットと彼自身の落ち着いた動きを有機的に絡ませて、このトリオの歌のドラマティックでしばしばメランコリックな歌を強調させています。
第2のトラック、57分におよぶ最長のパフォーマンスは齋藤とサスポータス、喜多の緊張感に満ちたフリーインプロビゼーションが収録されています。なんでもアリ、たった一つの動き、たった1音でも「フツー」は無しの空間。長年の経験と共有された知恵によってしか得ることのできない独自かつテレパシーのような共感をこの三者が共有しているように思えるのです。このインプロにおけるサスポータスの動きはスピリチュアルで時に詩的な完全なる即興アートの精神探求を壮大に具現化しているのです。サスポータス、齋藤、喜多は 地図に無い領域上の想像上の崖を安全ネットなしにジャンプし続け、ただただ新鮮な驚きと発見を、時に痛みを伴い落下しながらも求めているのです。
ピナ・バウシュの言葉を使えば「ともかくやる、なぜなら、やらねばならないから。さもなくば、彼らは死んでしまうのと同然なのです。」
このフィルムの最後は東京都美術館の広いホールでの収録です。齋藤、サスポータス、ベースアンサンブル弦311から瀬尾高志、ダンサー上村なおか、が参加。小林裕児の巨大な色彩豊かな絵画の前でパフォーマンスを繰り広げています。この絵画は現実と想像の境界が溶けていく視座を示唆しています。(齋藤は小林と「浸水の森」Travessia 2011年で共演しています)前作に比べ今回はよりリズミックでメロディックになり、情熱的なアルゼンチンタンゴの要素を採用したりしています。齋藤と瀬尾が独創的な奏法も披露。(2本の弓を持ち、床に寝かせたベースを弾く奏法も現れます。)サスポータスと上村は ゆっくりとミニマルな、しかし官能的な動きを始め、齋藤と瀬尾の忙しく暗く深い音色と軽く対照的になるように、やさしく男女のパッションを匂わせる表現をしています。しかし両ベーシスト、両ダンサーともにこの印象的なインプロビゼーションにおいて、共通するエレガンスと明晰なユーモアを伝えているのです。



Eurasian Echoes, Vol. 2 
Travessia  2014 年


ユーラシアンエコーズ vol.2

齋藤は1993年韓国ソウルでユーラシアンエコーズvol.1を3人の日本人ミュージシャン、4人の韓国人ミュージシャンとのアンサンブルで録音しました。ほとんどが伝統音楽家でした。
それと似た編成の今回の新しい大きなアンサンブルは齋藤の1995年の作曲「Stone Out」を演奏すべく招集されました。Stone OutはOmba recordsから1996年に出版、韓国シャーマンの金石出と日本の箏マスターの沢井一恵に捧げられています。澤井のレパートリーはジョン・ケージ、ソフィア・グバイドゥーリナなどの現代作曲家から、齋藤とは1996年の「八重山游行」jabara、革新的ベーシストジョエル・レアンドルと「Organic-Mineral」 In Situ 2001までおよびます。澤井はこの収録において、バイオリンの喜多、サックスの姜泰煥とともにメインソリストになっています。
ライナーノートによると齋藤は両国の伝統の「力、融通性、過激さ」を感じていて、実際、Stone Outは伝統や因習に寄りかかるのではなく、伝統の外へ演奏によって引き出そうとしています。この音楽は音の儀式、時にはシャーマニックな儀式の匂いも残しながら進みます。しかし、すべての演奏家には(伝統楽器演奏家にも)多くの自由が割り当てられていて、即興をしたり、ソロパートでは自分の個人的な解釈を展開できるようになっています。実際、伝統楽器演奏家達は、本当に鮮やかに演奏をしていて、如何に極東の伝統音楽が過激な音響、さらには不協和音の音響の探求にもオープンであるかが分かります。
モロッコ生まれ、ヨーロッパ育ちのサスポータス、彼同様ピナ・バウシュの訓練を受けた韓国人ダンサー南貞鎬の参加によって齋藤のグローバルなビジョンが拡大しています。ダンサー達はミュージシャン同様に「ジャンル、国籍、人種、年齢」に関係なくこの共感に満ちた、平等な舞台で、開かれ、探求しているこの最も美しい作品の実現を強調しています。



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